妊娠5週!胎児の成長や妊婦の症状、注意点は?

監修医師 産婦人科医 丸田 佳奈
丸田 佳奈 日本産婦人科学会認定専門医。千葉県総合周産期母子医療センター勤務。一人でも多くのママと赤ちゃんを救いたいという想いで日々診療しています。また、現役の産婦人科専門医として、医療情報をテレビやラジオ、雑誌... 監修記事一覧へ

妊娠5週目になると、子宮内に妊娠の兆候が認められます。妊娠検査薬で陽性反応が現れ、病院の検査でも胎嚢を確認してもらえるようになります。また、妊娠による体調の変化も本格化し、マタニティライフが始まったことを実感する人も多いでしょう。今回は妊娠5週目の妊婦さんの症状や、胎嚢の大きさなどについてご紹介します。

妊娠5週目の体の状態は?

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妊娠5週目は、最終月経から数えて、次の生理予定日から1週間後にあたります。これまで生理周期が比較的一定だった人は、生理が遅れるので妊娠に気づく時期です。外見上は大きな変化は現れませんが、赤ちゃんの成長を守るために体内では急激な変化が現れます。

子宮内では妊娠初期の赤ちゃんである「胎芽」が形作られます。妊娠5週目の大きさは、大きい子でも2mmほど(※1)。

体は小さいですが、体内では心臓や呼吸器系、消化器系などの様々な器官が急ピッチで形作られているんですよ。また、臓器以外にも目・耳・口などの顔のパーツ、手足などもできてきます。

妊娠5週目はつわりが本格化する?出ない人もいるの?

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妊娠5週目は妊娠初期症状の一つ「つわり」が本格的に始まる時期です。つわりを経験する人の多くが、妊娠5週目頃から始まります。

その症状は様々で、吐き気をもよおす「吐きつわり」のほか、空腹になると気持ち悪くなる「食べづわり」などがあります。症状の重さは人によって異なり、なかにはつわりが現れない人もいます。

しかし、ほとんどの妊婦さんが何かしらのつわりの症状が現れ、全妊婦さんの約0.1%前後では日常生活に支障をきたす「妊娠悪阻」を発症します(※2)。つわりの症状がひどいときは我慢しすぎず、早めに病院を受診してください。

妊娠5週目に現れる症状は?

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妊娠5週目はつわり以外にも様々な妊娠初期症状が現れます。主な症状としては、「胸が張る」「体がだるい」「下腹部痛・腰痛」「熱っぽい」などが挙げられます。

妊娠すると基礎体温は高温期が維持されるので、熱っぽさやだるさを感じることがあります。これは妊娠を維持するためにたくさん分泌される「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの作用の一つです。

それ以外にも胸の張りや眠気なども引き起こします。また、胎児が成長し、子宮の血流量が増えてくると子宮が重くなり、子宮を支える靭帯や子宮広間膜が引っ張られるので、下腹部痛や腰痛、胃のむかつきなども引き起こされます。

便秘や頻尿、下痢などの症状のほか、情緒が不安定になりやすくなったり、涙もろくなったりするのも妊娠初期症状の一つです。一見妊娠とは関係なさそうにみえるものもありますが、周囲に妊娠初期の症状がどういうものかを理解してもらい、協力してもらってくださいね。

妊娠5週目には妊娠検査薬が陽性になる?

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妊娠5週目に入れば妊娠検査薬で妊娠判定ができます。市販されている一般の妊娠検査薬であれば、生理予定日の1週間後に使用できるからです。

そもそも妊娠検査薬は尿中に排出されたhCGの濃度に反応する仕組みになっています。市販されている商品で違いはありますが、一般的にはhCG濃度が50mIU/mL以上に達していれば妊娠していることを示す「陽性」反応が現れます。妊娠5週目であれば、かなりの確率でhCG濃度が50mIU/mLを超えているといえます。

妊娠5週目で陽性反応が現れない場合には、残念ながら妊娠していない可能性が高いといえます。ただし、妊娠5週目を過ぎても生理が来ないようなら、週数がずれている可能性もあるので再度妊娠検査薬を使ってみることをおすすめします。

妊娠5週目には胎嚢確認できる?

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妊娠5週目の妊娠検査薬で陽性反応が現れたら、早めに産婦人科を受診しましょう。妊娠5週目には病院のエコー検査で妊娠している兆候である「胎嚢」が子宮内に確認できます。

胎嚢というのは赤ちゃん(胎芽)を覆う袋のことで、エコー写真では黒い点になって見えます。妊娠5週目では赤ちゃん自体も小さく、胎嚢も1cmくらいです(※3)。

ただし、妊娠していたとしても排卵日がずれたことにより妊娠週数がずれていることがあるので、病院に行っても胎嚢が確認できないことがあります。そのようなときは、数日~1週間後に再度診察を受けるように指示されることが一般的です。

また、妊娠5~6週目になっても胎嚢が確認できない場合は「子宮外妊娠」の可能性が高くなります。子宮外妊娠では子宮内腔以外に受精卵が着床し、成長して卵管破裂や多量出血などを起こす危険性があるので、胎嚢が確認されるまでは定期的に産婦人科で診てもらいましょう。

また、胎嚢と同じく妊娠の判定に用いられるのが赤ちゃんの心音です。心臓が動いているかどうかを見るもので、心拍確認ともいわれます。心拍は早い人で妊娠5週目の前半から確認できるので、胎嚢とあわせて確認してもらいましょう。

妊娠5週目の出血は流産?注意したい症状は?

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妊娠5週目は妊娠判定ができるとはいっても、まだ流産などで妊娠が中断される可能性が十分にあります。全妊婦さんの約15%が自然流産を起こし、そのうちのほとんどが妊娠12週までに起こるといわれています(※4)。

この時期の流産は、受精卵に染色体異常などがあることが主な原因です。着床前からどんなに気をつけていても防ぐことはできません。

流産が起きたときは出血や腹痛などが現れます。出血が少量でだらだらと出続ける場合は流産が差し迫っている「切迫流産」の可能性もあるので早めに病院で見てもらってくださいね。ただし、妊娠すると異常がなくても不正出血することが多いため、少し出血しただけで腹痛などの症状がないのであれば、安静にして様子を見ましょう。

妊娠5週目は出産への第一歩!

人気の産婦人科などは、妊娠がわかってからすぐに分娩の予約をしないと予約できないところもあります。実際に妊婦健診が始まるのはまだ先ですが、妊娠5週目のタイミングで妊娠していることがわかったら、パートナーと相談しながら自分の希望に合った産婦人科を探し始めるのもよいかもしれません。

妊娠5週目は、お腹の中で赤ちゃんが育っている喜びを感じられる時期ですが、体調の変化に戸惑い、不安を感じて精神的につらくなることもあります。そんなときは一人でストレスを抱えこまず、パートナーや周囲を頼りましょう。また、趣味を楽しむなどで気を紛らわせることも大切ですよ。大きな変化に戸惑うことも多いと思いますが、おおらかな気持ちでマタニティライフを過ごせるといいですね。

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