女性の基礎体温は、生理周期によって変化します。生理中は、基礎体温が下がるのが一般的です。そのはずなのに、「生理前から微熱が続く」「生理中に体温が上がる」ということがあると、不安になりますよね。そこで今回は、生理中の体温はどう変化するのかや、生理中に微熱が続くときの原因などをご説明します。
生理中は体温が下がるの?
女性の基礎体温は生理周期にあわせて変化しており、排卵をはさんで、大きく2つの時期にわけられます。生理開始から排卵日までは、基礎体温が低い「低温期」で、排卵後から次の生理開始までは、基礎体温が高い「高温期」です。
つまり通常、生理が始まると、基礎体温は下がります。
一般的に、低温期と高温期の体温の差は、約0.3~0.6度です(※1)。
低温期と高温期の差が0.3度以内のときは黄体機能不全、低温期と高温期の差が全く無いときは無排卵が疑われます(※1)。
生理中に体温が上がって微熱が続くこともある?
先にもご説明したとおり、生理が始まると基礎体温は下がります。生理中に基礎体温が上がることは、基本的にはありません。
そうはいっても、体温は寝不足や体調不良など、体の状態によって左右されやすいものです。体調がすぐれないときは、生理中でも体温が上がることがあるかもしれません。
生理中に体温が上がるのが1~2日ほどでおさまり、そのあと低温期に入るようであれば、それほど心配する必要はないでしょう。
しかし、生理中ずっと体温が上がり続けるときや、毎月の生理のたびに熱が出るようなときは、「子宮内膜症」が疑われます。
子宮内膜症とは、通常子宮のなかだけにあるはずの子宮内膜が、子宮以外の場所にできてしまう病気のことです。生殖可能年齢の女性の、約10%に起こるといわれています(※2)。
症状は発生部位や進行具合によって異なりますが、子宮内膜症が骨盤のなかで起こったときは、生理中に熱がでることがあります(※2)。
子宮内膜症になると、生理中の発熱の他に、強い生理痛や排便痛、排尿痛などがみられることがあります。生理中に体温が上がるだけでなく、このような症状がみられるときは、子宮内膜症を疑って、病院を受診することをおすすめします。
病院で検査をし、子宮内膜症であることがわかったら、薬の服用や手術などで治療を行います。
子宮内膜症は不妊の原因になりますし、ごくまれではありますが、悪性の腫瘍に変化することもあります(※2)。早めに治療を行うことが大切です。
生理中に微熱が続くときは妊娠の可能性も?
生理が始まっても生理前からの高温期が続き、微熱っぽいときは、妊娠している可能性もあります。
そもそも生理周期に合わせて基礎体温が変化するのは、排卵後から生理前にかけて分泌される「プロゲステロン」というう女性ホルモンの影響によるものです。プロゲステロンが分泌されている間は、高温期が続きます。
通常、プロゲステロンなどのホルモンの分泌が減少することで生理が来るので、生理が始まると基礎体温が下がるのです。
しかし妊娠すると、プロゲステロンの分泌が続き、高温期の基礎体温が維持されます。妊娠初期症状として、微熱っぽさを感じる人もいます。
妊娠すると通常、生理は起こりませんが、生理だと思っていた出血が、着床出血である可能性もあります。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に着床したときに起こる、微量の出血のことです。出血量や期間は人それぞれなので、生理との見分けがつけにくく、自分ではなかなか判断できないこともあります。
生理中なのに高温期が続き、妊娠が思い当たる場合は、一度妊娠検査薬で検査をしてみることをおすすめします。陽性の結果が出たら、産婦人科を受診しましょう。
生理中に熱がいつも出るときは病院へ
人間の体温は変化しやすいものなので、生理中に体温が高くなったからといって、必ずしも異常なわけではありません。
しかし、生理中に体温が上がるのが続くようであれば、病気が隠れている可能性もあります。自己判断で放っておくのは危険なので、病院を受診した方がいいでしょう。
また、生理は毎月のことなので、つらくても我慢をしてしまう人が多いかもしれません。生理中は体がデリケートになっているので、体温の上下にかかわらず、無理をしすぎないことも大切ですよ。