つわりには個人差があり、まったく感じない人もいれば、何を食べても吐いてしまい、ほとんど食べることができないという人もいます。症状がひどければ治療が必要になることも。
つわりと栄養の関係には不明な点も多いのですが、ビタミンB6にはつわりを緩和する作用があるといわれています。そこで今回はビタミンB6の効果や妊娠中の摂取量についてご説明します。
つわりに対するビタミンB6の効果は?

つわりは妊娠初期に起こる生理現象の一つで、吐き気などの消化器官の不快症状が現れます。明確な原因はわかっていませんが、妊娠5〜6週頃に始まって胎盤ができる妊娠12〜16週に落ち着く人が多いので、妊娠初期のホルモンバランスの変化が関係しているのではないかと考えられています(※1)。
妊娠初期の悩みの種であるつわりの症状は、研究によって結果がまちまちですが、ビタミンB6を摂取すると吐き気が和らぐという報告があります。
日本産科婦人科学会によると、ビタミンB6を1日あたり5~60㎎摂取することが、嘔吐の軽減に効果的です(※2)。
そのため、つわりの症状がひどいときに病院を受診すると、ビタミンB6を含んだ点滴を受けて症状を和らげることもあります。
つわりをなぜビタミンB6が緩和してくれるの?

ビタミンB6をしっかり摂取することで、皮膚や粘膜が丈夫に保たれる効果があります(※3)。これは、ビタミンB6がたんぱく質の分解と合成に欠かせない栄養素であるためで、食べたものを分解して、新しいタンパク質を作り出すのをサポートしてくれます。
妊娠中は、何らかの原因でアミノ酸の一種である「トリプトファン」の代謝不良が起きることで、吐き気をもよおす場合があります。
そのため、たんぱく質やアミノ酸を分解・合成するビタミンB6の力によって、トリプトファンの代謝が改善され、つわりの症状を緩和してくれると考えられています(※3)。
妊娠中のビタミンB6の摂取量はどれくらい?

妊娠中のつわりを緩和するためには、ビタミンB6をどれくらい摂取すればいいのでしょうか?厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、18〜49歳の妊婦の推奨量は1.4mg/日で、摂取してもよい上限量は45mg/日とされています(※4)。
ビタミンB6は様々な食品に含まれているので、普通に食事をしているだけでも適度に摂取することはできます。しかし、効率的に摂取したいのであれば、ビタミンB6を多く含む食材を上手に食事に取り入れたいですね。
ビタミンB6を多く含む食べ物は?

ビタミンB6を多く含む食材としては、牛や鶏のレバー、かつおなど赤身の魚、ピスタチオ・ピーナッツなどの木の実類、バナナ等が挙げられます。牛レバー100gで0.89mg、バターピーナッツ100gで0.48mg、バナナ1本で0.38mgのビタミンB6が含まれます(※5)。
妊娠中は栄養バランスをとることも大切なので、一つの食材で摂取しようとせず、いろいろな食材を食べるようにしてください。食事以外のデザートでバナナやピーナッツなどを食べるのもおすすめですよ。
ただし、レバーはレチノールを多く含んでいるため、関連記事を参考にしながら、食べる量に注意しましょう。
ビタミンB6を過剰摂取すると悪影響がある?

妊娠中に限らず、ビタミンB6を過剰摂取すると、手足のしびれや神経障害を引き起こすことがあります(※3)。
ただし、毎日上限量をはるかに超えるビタミンB6を摂取し続けた場合の悪影響であり、普通に食事をしているだけで障害を起こすほどの量を摂取してしまうことは基本的にありません。
ただし、ビタミンB6を豊富に含むサプリメントなどを飲むと過剰摂取になる恐れがあるので、摂取量には注意してください。妊娠中はバランスの良い食事を通して適度に摂取しましょう。
つわり中は上手にビタミンB6を摂取しよう

つわり中は、食事をすることも一苦労です。そのため、「そのときに食べたいものを、少しずつ食べる」ことが一番です。そして、そのなかにビタミンB6を多く含むものを上手に取り入れられれば、つわりの症状を軽減することにつながるかもしれません。
効果があるかどうかは個人差がありますが、つわりに悩まされている人はビタミンB6を積極的に摂取してみてくださいね。