妊娠を望んでいた人にとって、産婦人科に診察に行くときはお腹の赤ちゃんの無事が確認できるかどうかドキドキしますよね。最初の超音波(エコー)検査で医師が見るのは、赤ちゃんを包む「胎嚢(たいのう)」。この胎嚢が小さいと言われて、不安な気持ちになっているママもいるのではないでしょうか。今回はこの「胎嚢」について、小さい原因や平均的なサイズなどをご説明します。
胎嚢とは?
胎嚢とは、赤ちゃんの元になる細胞(胎芽)を包んでいる袋のことです。胎嚢は楕円形をしていて、大きさには個人差があります。
妊娠検査薬で陽性反応が出た時点では、正常な妊娠かどうかまだわかりません。
産婦人科のエコー検査で「子宮内に胎嚢が確認でき、成長していること」と「赤ちゃんの心拍を認めること」が確認できた段階で、順調に妊娠が進んでいると判断されます。
胎嚢が小さいとエコーで見られる時期が遅いの?
多くの場合、妊娠5~6週頃にはエコーで胎嚢が確認できます(※1)。
一般的な妊娠検査薬を使うタイミングは、生理開始予定日を1週間過ぎた頃なので、このあと産婦人科を受診すれば、胎嚢が見えることが多くなります。
しかし、産婦人科に行くのが早すぎたり、胎嚢が小さかったりすると、妊娠6週までにはっきりと確認できないこともあります。
妊娠7週を過ぎてから胎嚢が見えた、というママもいるので、最初のエコーで確認できなくても不安になりすぎず、また日をあらためて検査を受けてみてください。
なお、生理日を間違えて把握していたり、生理不順だったりすると、妊娠週数を正確に計算できません。その場合、自分が思っているよりも実際の妊娠週数が少なく、胎嚢を確認するにはまだ早い、ということもありますよ。
胎嚢が小さいと言われた…平均的な大きさは?
胎嚢の大きさには個人差があり、一概には言えませんが、妊娠5~8週の場合、「胎嚢最大径(cm)=妊娠週数-4」という数値が一つの目安になります。
たとえば、妊娠6週頃であれば胎嚢の大きさはおおよそ2cmほど。この時期になると、そのなかに包まれている数mmくらいの赤ちゃん(胎芽)がエコーで見えることがあります。
エコー検査をしてみて「少し胎嚢が小さいですね」と医師から言われ、心配になっているママもいるかもしれませんが、そのあと心拍などが確認できていれば、赤ちゃんが順調に発育している証拠ですよ。
胎嚢が小さい原因は?何か対策できる?
「胎嚢が小さい」理由としては、妊娠週数を数え間違えている、エコーで見る角度によって全体がしっかり見えていない、などが考えられます。
そのほか、流産や胞状奇胎、子宮外妊娠(異所性妊娠)など、正常妊娠ではないこともあります。ただし、1回の診察では断定できないことも多く、日を置いて再検査となることもあります。
ママとしては、お腹の赤ちゃんが無事に育てるのかどうか、何か異常があるのではないかなど、様々なことを考えてしまうかもしれませんが、あまり気にしすぎてストレスを溜めこまないでくださいね。
最初のエコーで胎嚢が小さいと言われたとしても、そのあとは問題なく大きくなっていく可能性もあります。赤ちゃんの生命力を信じて、ママも元気に過ごしてください。
もし、強い腹痛や生理(月経)のような多めの不正出血など体に気になる変化が現れたら、かかりつけの産婦人科を受診し、エコーで赤ちゃんの様子を見てもらいましょう。
流産を繰り返すのは、胎嚢が小さいから?
過去に流産を経験したことがあり、いま新たに妊娠している人のなかには、「前回の妊娠のときも胎嚢が小さいと言われたから、今回も流産してしまうのではないか」と不安な気持ちを抱えている人もいるかもしれません。
しかし、胎嚢の大きさと流産との関係ははっきりとわかっていませんし、一度流産をしてもそのあとは無事に妊娠・出産できたママは多いので、あまり悪い方向に考えすぎないでくださいね。
もし流産や死産を繰り返している場合、胎嚢の大きさとは関係なく、何らかの原因による不育症の可能性も考えられます(※2)。一度、産婦人科で詳しい検査を受けてみることをおすすめします。
胎嚢の大きさには個人差があるもの
お腹に新しい命を宿しているママにとっては、産婦人科医の言葉一つひとつが気になってしまうもの。しかし、「胎嚢が小さい」と言われたとしても、最初の段階では赤ちゃんの状態がはっきりとわからず、しばらく経過を見ていく必要があります。
医師の診察を受けて心配しすぎたり、ネットの情報に動揺しすぎたりするのではなく、赤ちゃんが無事に育ってくれることを祈りながら、次の健診まで落ち着いて過ごしましょう。