妊娠中は、口にするもの一つひとつに気を遣いますよね。でも、気を遣うあまりに、「卵を食べていると子供が卵アレルギーになる」といった噂を聞いて心配になった人がいるかもしれません。妊娠中に卵を食べていると、赤ちゃんは本当に卵アレルギーになってしまうのでしょうか?今回は、妊婦さんは卵を食べてもいいのか、1日に何個までなら大丈夫なのかについてご説明します。
妊婦が卵を食べると、子供がアレルギーになるって本当?
「妊娠中に卵を食べると、生まれてくる子供が卵アレルギーになる」という説に医学的な根拠はありません。
食物アレルギーが起こる仕組みは、いまだわかっていないことも多くありますが、妊娠中の食事に左右される、ということを示す研究報告は今のところありません。
ただし、妊婦さんにもともと卵アレルギーがある場合は、アレルギー反応など体への影響を避けるため、卵の摂取は控えてくださいね。
なお、日本では食物アレルギーが見られる確率が乳児で約5~10%、保育所に通う子供だと約5%あります(※1)。
また、特に0歳児では、食物アレルギーのうち鶏卵が占める割合が62.1%と最も多いので、妊婦さんの食事に関係なく、赤ちゃんが卵アレルギーになる可能性はあると考えましょう(※2)。
妊娠中、1日に何個まで卵を食べてもいい?
卵はいろいろな料理に使われるので、妊娠中も口にする機会は多いでしょう。お腹の赤ちゃんにアレルギーの心配がないとしても、「1日に何個も食べて大丈夫なの?」と気になりますよね。
「妊娠中に何個までなら卵を食べても大丈夫」という基準は特にありません。しかし、どんな食材にも言えることですが、栄養が豊富だからといって毎食、卵料理を食べ続けるというような極端な食事をしていると、栄養素が偏って体に悪影響をもたらすこともあります。
そのため、卵を食べすぎたと思った次の日には卵料理を控えるなどの工夫をしてみましょう。
卵には、お腹の赤ちゃんの体をつくるのに不可欠な、たんぱく質などの栄養素が豊富に含まれます。食事全体の栄養バランスを考えたうえで、適切な量の卵を食べることは、ママと赤ちゃんの健康のために大切ですよ。
妊婦は卵かけご飯を食べてもいい?
適量であれば、妊娠中に卵を食べても問題はありませんが、「生卵」には注意が必要です。というのも、卵の殻や中身にサルモネラ菌がついていることがあり、生で食べると食中毒を引き起こす危険性があるからです。
お腹の赤ちゃんに直接影響するわけではありませんが、妊婦さん自身が嘔吐や腹痛、下痢などを起こす恐れもあります。
生卵を使う卵かけご飯が好きな人もいると思いますが、妊娠中は控え、十分加熱した卵料理を食べることをおすすめします(※3)。
また、卵を常温で置いておくとサルモネラ菌が繁殖しやすくなるので、食べる直前に冷蔵庫から取り出すようにしてください。加熱調理した料理についても、半熟状態で食べるものは調理開始から2時間以内、十分に加熱した料理でもなるべく早く食べきるようにしましょう(※3)。
妊婦が卵で食中毒になるのを防ぐには?
妊婦さんに限ったことではありませんが、卵による食中毒を予防するために、購入や保存、調理のときは以下のことに注意しましょう(※3)。
- 賞味期限を確認し、ひび割れのない新鮮な卵を買う
- 店内で低温で陳列されている卵を選ぶ
- 賞味期限内に食べきれるだけの量を買う
- 買った卵は洗わずに、すぐ冷蔵庫(10℃以下)に入れる
- 割った卵はすぐに調理に使う
- 割った卵の殻を放置せず、すぐゴミ箱に捨てる
妊娠中に卵を食べるときは加熱しよう
妊娠中に卵を食べるときは、加熱されたものを食べるようにしてください。サルモネラ菌は75度の温度で、1分以上加熱すると死滅するので、卵にサルモネラ菌がついていたとしても心配ありません。ただし、調理したといっても長時間放置しておくのはよくないので、なるべく早く食べましょう。
栄養価の高い卵は、たくさんの栄養が必要になる妊娠中に、赤ちゃんの発育のためにも欠かせない食べ物。十分に加熱したものを妊娠中の食事に上手に取り入れて、健康的なマタニティライフを過ごしてくださいね。