妊婦はピザを食べてもいいの?宅配しても大丈夫?

監修専門家 管理栄養士 安蒜 ゆい
安蒜 ゆい 病院・保育園にて管理栄養士として献立作成・衛生管理や食育活動に携わり、現在は独立しフリーランス管理栄養士・彩り時短食プランナーとして活動しています。「季節や行事を通して食事・家族の時間の大切さを伝えて... 監修記事一覧へ

いろいろなトッピングが選べて美味しいピザ。でも、ピザは高カロリー食品の代表例で、妊娠中に控えたほうがいいとされる具材がトッピングされていることも。今回は、妊娠中にピザを食べてもいいのか、食べすぎるとどんな影響があるのか、食べるときの注意点をご紹介します。

妊娠中にピザを食べてもいいの?

ピザ カロリー チーズ ファーストフード

結論から言うと、しっかり火が通ったピザなら、妊娠中に食べても問題ありません。しかし、ピザのようなカロリーの高い食べ物を妊娠中に食べ続けて、体重が増加しすぎると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病にかかるリスクが高まります(※1)。

たとえば宅配ピザの場合、比較的カロリーが低いマルゲリータでも、Mサイズ1枚で約1000〜1200kcalあります。これに、具材やソースが足され、サイズが大きくなると、ピザ1枚で3000kcalを超えることも(※2)。

厚生労働省によると、20〜40代の妊婦さんに必要な1日の推定エネルギー量は、身体活動レベルによって、妊娠13週6日までは約1,750~2,400kcal、妊娠14週0日〜27週6日までは約1,950~2,600kcal、妊娠28週0日以降は約2,150~2,800kcalです(※3,4)。

サイズが大きくトッピングが多いものでない限り、ピザを丸々1枚食べても1日の必要エネルギー量は超えませんが、それでは栄養や1回の食事のバランスが偏ってしまいます。

1度に食べる量を数ピースにしてカロリーを抑えたり、ピザだけでなく野菜も一緒に食べたりして、カロリーの摂りすぎや栄養バランスに注意しましょう。

妊婦はピザのチーズを食べても大丈夫?

チーズ

妊娠中にピザを食べるうえで気をつけないといけないのが、ピザの上にのっているチーズです。ピザの種類にもよりますが、トッピングとしてモッツァレラ、カマンベール、パルメザンといったナチュラルチーズが使われることがあります。

日本で作られたナチュラルチーズであれば、製造の過程において加熱処理されているので問題ないとされていますが、海外から輸入されたナチュラルチーズは火が通っていないこともあり、リステリア菌という細菌が生息している可能性があります。

このリステリア菌に妊婦が感染してしまうと、流産や早産、死産を引き起こすリスクが高くなります。また、新生児が髄膜脳炎や敗血症を発症する可能性もあります(※5)。

妊娠中は、外国産のナチュラルチーズが使われたピザは避けた方が無難です。もし食べることになった場合は、リステリア菌を死滅させるためにしっかり加熱してあるか確認するようにしましょう。

チーズ以外で、妊娠中に注意したほうがいいピザの食材は?

生ハム 生肉 

妊娠中にピザを食べるときは、外国産のナチュラルチーズが使われていなければ安心というわけにはいきません。ナチュラルチーズ以外にも注意が必要な食材があります。

外国産の生ハム

ピザにもよく使われる外国産の生ハムには、トキソプラズマという寄生虫がいることも。免疫のない妊婦さんが、妊娠中、もしくは妊娠前6ヶ月以内にトキソプラズマに感染すると、胎盤を通じて胎児も感染し、先天性トキソプラズマ症を引き起こすリスクが高まります(※6)。

先天性トキソプラズマ症を引き起こすと、生まれてくる赤ちゃんに脳症、痙攣、水頭症などがみられる場合があります。

ピザに外国産の生ハムが使われていたら食べるのを控えるようにしましょう。国産の生ハムは管理・処理されているので比較的安心ですが、万が一ということもあるので、妊娠中は、生ハムなどの生ものはできるだけ控え、出産後の楽しみにしておきましょう。

ハーブ類

ハーブには子宮を収縮させる作用があるものもあるため、ハーブが使われたピザを食べるときは注意しましょう。たとえば、ローズマリーは子宮を収縮させる作用があるといわれています。

特に妊娠初期はハーブの影響を受けやすいため、安定期に入るまでは避けたほうが安心です。

妊娠中に宅配のピザを食べても大丈夫?

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産地や鮮度が明らかなものを口にするには手作りが一番ですが、妊婦さんにとって気軽に注文できて家まで運んでくれる宅配ピザは便利ですよね。妊娠中に宅配ピザを頼むときは以下の点に気を付けてピザを選んでみましょう。

できるだけ生地が薄いもの

ピザの生地は炭水化物である小麦粉からできているので、カロリーを抑えるために、できるだけ薄いクリスピータイプなどを選びましょう。耳の部分にチーズやソーセージなどが入ったものは高カロリーなので避けた方が安心です。

魚介類・野菜がメインのもの

肉類メインより魚介や野菜がメインのピザのほうが、平均的にカロリーが低くなります。ただしアンチョビは塩分が高いので注意しましょう。

マヨネーズを使っていないもの

マヨネーズは、ソース系トッピングの中でも特にカロリーが高めです。具材のカロリーが低くても、マヨネーズがかかっていると一気にカロリーが上がってしまうため、トマトソース系を選ぶようにしましょう。


以上のポイントを考えると、妊娠中に食べるならマルゲリータのようなシンプルなピザがおすすめです。たいていの宅配ピザ屋さんやレストランはお願いすれば、ソースとチーズだけのプレーンなピザも作ってくれますよ。

また、ピザと一緒に注文するサイドメニューや飲み物のカロリーにも注意が必要です。高カロリーなフライドポテトやナゲットなどでなく、低カロリーのサラダと一緒に食べると、満腹感も得やすいのでおすすめです。

食材の産地や加熱状態については、注文時に聞いたり、リクエストしたりすると安心ですね。

妊娠中もピザを食べて気晴らしをしよう

赤ちゃんのためだと思い、どうしても食べたいピザを我慢しすぎるとストレスがたまってしまいます。そんなときは我慢せずにピザを食べ、他の食事で栄養・カロリーのバランスをとるようにしましょう。

我慢しすぎて気が滅入ってしまうと、それはそれでお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことも。たまの気晴らしも大切にしてくださいね。

宅配やレストランのピザを食べるときは、トッピングの具材までちゃんと加熱されているか、外国産のナチュラルチーズや生ハムが使われていないかなど、しっかり確認してから食べるようにしましょう。自宅で生地から手作りして、お好みの野菜や肉、魚類をトッピングするのもいいですね。

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