自分が食べたものがお腹の赤ちゃんにも影響する妊娠中は、口にする食べ物一つ一つが気になってしまうものです。妊娠前は何気なく食べていた明太子やたらこでさえ、妊婦は食べても大丈夫なのか不安になってしまいますよね。今回は、妊娠中に明太子やたらこを食べても問題はないのか、妊婦は1日にどのくらいまで明太子やたらこを食べてもいいのかなどをご紹介します。
妊婦は明太子やたらこを食べてもいいの?
明太子やたらこは、しっかり火を通して、一度に食べる量に気をつければ、妊娠中に食べても問題ありません。
明太子やたらこには、主に下記の栄養素が含まれています。
明太子やたらこに含まれる主な栄養素と働き
● たんぱく質:主に体をつくる材料となり、貧血や冷え性を予防する
● ビタミンB1:エネルギーをつくり、疲労回復を促す
● ビタミンB2:脂質の代謝をサポートし、細胞膜やホルモンの材料となる
● ビタミンE:血行をよくする、冷え症を改善する
妊娠中はママの体とお腹の赤ちゃんの成長のために、栄養バランスの良い食事を摂ることが大切です。
妊娠中に生の明太子やたらこを控えたほうがいい理由は?
しっかりと火を通せば妊婦さんも食べられる明太子やたらこですが、妊娠中は生で食べることは控えなくてはいけません。生の明太子やたらこには、リステリア菌の基準種であるリステリア・モノサイトゲネスが生息していることがあるからです(※1)。
妊娠中は免疫力が低下しやすいため、妊娠前なら食べても問題のなかった食材でも、リステリア菌をはじめとした食中毒にかかる危険性が高くなります。
さらに、妊娠中に食中毒にかかると、嘔吐や下痢といった症状が出て胎児の発育に影響を与えるリスクがあります。妊娠中は免疫力が低くなるうえ、飲める薬が限られるため、妊婦さんは症状が長引くこともあります。
厚生労働省は、妊娠中のリステリア菌による食中毒について、胎盤や胎児への感染、流産、新生児への影響のリスクを指摘しています(※2)。
リステリアは、しっかり加熱すれば死滅させることができるため、妊娠中に明太子やたらこを食べるときは、必ず中まで火をしっかり通してから食べるようにしましょう。また、信頼できる店で鮮度が高いものを選ぶこともポイントです。
妊婦は明太子やたらこを1日にどのくらい食べられるの?
妊娠中に明太子やたらこを食べるときは1日にどれくらい食べてもいいのでしょうか。食べる量を考えるうえで重要になるのが塩分量です。
明太子やたらこには多くの食塩が含まれています。妊娠中に塩分を過剰摂取して血圧が上がると「妊娠高血圧症候群」にかかる可能性があります。妊娠高血圧症候群は、妊婦全体の約3~7%が発症し、重症化した場合は母子ともに命に危険が及ぶ可能性もあります(※3)。
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、成人女性の1日あたりの食塩摂取の目標量は7.0g未満です(※4)。妊娠中も目標量は変わらないため、妊婦さんも7.0g未満を目標にしましょう。
たとえば、辛子明太子100gあたりには、5.6gの食塩が含まれています(※5)。辛子明太子1本の標準的なサイズが約35gだとすると、約2gの塩分を含んでいることになります。
明太子1本を食べたからといって、1日分の食塩摂取目標量を上回るわけではありませんが、塩分は様々な食品に含まれているため、1日の食事を通してバランスを考えなければいけません。
他の食品からも塩分を摂ることを考慮して、妊婦さんは明太子やたらこは1日1本までにとどめておいたほうが安心です。
妊娠初期は明太子やたらこを食べてはいけないの?
流産のリスクが高い妊娠初期は、食べ物がお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすのではと心配になる妊婦さんもいます。しかし、妊娠初期の流産の原因は、ほとんどが胎児側の染色体異常です。
ただし、生の明太子やたらこを食べてリステリア菌による食中毒にかかると、胎盤や胎児へ感染して流産につながるリスクがあります。
妊娠初期に明太子やたらこを食べるときにも必ず火を通し、食べ過ぎには気をつけましょう。
妊娠中の明太子やたらこは火を通して適量を食べよう
明太子やたらこは、そのまま食べるのはもちろんのこと、おにぎりやパスタ、サラダなど多くの料理に使える便利な食材です。妊娠中は必ず火を通して、食べ過ぎには気をつけましょう。
妊娠中は、加熱方法や摂取量に気をつけなくていけない食材はありますが、妊婦さんが絶対に食べてはいけないものが多いというわけではありません。それぞれの食材の気をつけるポイントをしっかりおさえたうえで、栄養バランスの良い食事を楽しめるといいですね。