女性にとって、体の冷えは大きな悩みの一つですよね。特に生理前や生理中に冷えの症状が出やすいという人も多いのではないでしょうか。今回は、生理前・生理中に体が冷える原因と、改善方法についてご説明します。
生理前・生理中の冷えの原因は?
女性は男性に比べて筋肉量が少ないため、体が冷えやすいといわれています。特に、生理周期にあわせて血流や体温が変化するので、人それぞれ、冷えやすい時期・冷えにくい時期というものがあるのではないでしょうか。
生理前や生理中は体が冷えを感じやすいタイミングですが、それぞれの原因は下記のとおりです。
生理前の冷えの原因
生理前は子宮を温めようと、子宮周辺の血管を広げて体中の血液を子宮周辺に集中させます。そのため、手や足など、子宮から離れた場所の血流が悪くなり、冷えやすくなります。
また、生理前になると体が水分を溜めこもうとするのも、冷えやすくなる原因のひとつです。
生理中の冷えの原因
生理が始まると、女性ホルモンのひとつである「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量が減ります。プロゲステロンは体温を上昇させる働きがあるため、このホルモンが減ることで体温も下がります。
生理中は経血の排出を促す必要があるため、プロゲステロンの代わりに、子宮収縮に作用する「プロスタグランジン」というホルモンの分泌が多くなります。このホルモンは血管を収縮させる作用があるため、全身の血流が悪くなり、冷えを感じやすくなります。
さらに、全身の血液を子宮に回すので、末端の血液の流れが悪くなり、冷える原因となります。
その他の冷えの原因
生理前・生理中にかかわらず、冷え症の原因は多岐にわたります。
低血圧、ホルモンバランスや自律神経の乱れ、無理なダイエット、貧血など、冷えの原因が複数重なることで、生理前や生理中に冷えを感じているということも考えられます。
生理前や生理中に冷えたらどうなる?
生理前や生理中に体が冷えていると、血液の流れが滞ります。すると、生理として血液を排出するために、子宮をたくさん収縮させなければいけなくなります。その結果、生理痛やPMSなどの不調を感じやすくなる人もいます。
冷えと同時にホルモンバランスの乱れなどがある場合は、月経不順を引き起こすこともあります。
また、生理前や生理中の冷えを放っておくと、慢性的な冷え症になり、頭痛や肩こり、不眠、自律神経失調症など、様々な不調につながる可能性もあります。
生理前・生理中に体が冷えるときの改善方法は?
生理前や生理中に体が冷えやすくなるのは、女性特有の生理現象ともいえますが、先にも説明したとおり、体の冷えは様々な不調につながります。冷えを感じたときは、下記のような対策を行いましょう。
体を温める
冷えを感じたら、まずは体を温めましょう。
冬だけでなく、夏もクーラーの影響で体が冷えやすいので、カーディガンを羽織る、靴下をはく、腹巻を巻くなどの対策ができるといいですね。特に手足の末端が冷えやすいので、足湯をしたり、手先のマッサージをしたりするのもおすすめです。
また、生理中で生理痛がきついときは、カイロなどでお腹をよく温めると痛みが緩和されることがあります。
温かい食べ物や飲み物を摂取する
冷たいものよりも、常温か温かいものを摂取するようにしてください。食事に温かいスープをつけたり、温かいお茶を飲んだりするのもいいですね。
また、生野菜は体を冷やしやすいので、生理前や生理中はできるだけ、蒸す・煮るなどの一手間をかけましょう。
ツボを押す
血行改善のツボを押すと、血流がよくなって冷えが和らぐことがあります。
内くるぶしの中心から指4本分上にある「三陰交(さんいんこう)」や、内くるぶしのすぐ後ろのくぼみにある「太谿(たいけい)などは、冷えに効果があるといわれています。
生理前・生理中の冷えを予防するには?
生理前や生理中の冷えが悪化しないように、日頃からできるだけ冷えにくい体を作っておくことも大切です。冷えを予防するために、次のような生活習慣を心がけてくださいね。
軽めの運動を行う
運動は、冷えにくい体作りの基本です。運動によって体全体の血行がよくなりますし、筋肉がつくことで熱が生み出され、代謝も高まるため、体が冷えにくくなります。
いきなり激しい運動を始めるのではなく、ウォーキングなど、軽めの運動を少しずつ始めてみてください。お風呂上がりで体が温まっているときなどに、ストレッチを行うのもいいですね。
食事の栄養バランスに気をつける
体温を一定に保つには、バランスのよい食事が欠かせません。野菜や肉、魚、乳製品、海藻類などを、バランスよく食べるようにしましょう。
根菜類、きのこ類、豆類、発酵食品、生姜など、体を温める作用がある食べ物を積極的に取り入れましょう。
漢方薬を飲む
東洋医学的に冷えは、「血」や「水」、「気」の流れを滞らせ、万病のもとになるものであると考えられています。改善のために、漢方薬を飲むのもおすすめです。
「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、「加味逍遥散(かみしょうようさん)」などは、冷えに効果的です(※1)。
漢方薬はそれぞれの体質や症状にあったものを服用することが大切なので、漢方の取り扱いがある婦人科や漢方内科などを受診して、相談してみたください。
薄着を避ける
体温は体の表面から奪われていくので、できるだけ肌の露出を抑えた服装を心がけましょう。室内と屋外で寒暖差がある季節は、ストールなどの羽織ものをバッグに入れておくといいですよ。
また、体を締め付けるような服装は血行不良を招きます。自分の体型にあった服装を選ぶようにしてくださいね。
生理前や生理中は冷え対策をしよう
生理前や生理中に体が冷えていると、毎月の生理が苦痛になりがちです。今回説明した方法を生活に取り入れるだけで楽になることもあるので、できそうなことから始めてみてくださいね。
「生理前や生理中は冷えやすい」と意識して、対策や予防に意識的に取り組みましょう。