女性の基礎体温は、大きく「低温期」と「高温期」に分かれます。しかし、妊娠するとある一定期間は高温期が持続します。今回は、その高温期とは何度くらいのことで、通常の期間はどれくらいなのか、高温期と妊娠、病気との関係、高温期のまま生理が来ることがあるのかなどについてご説明します。
基礎体温とは?
![【740px】基礎体温表](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2017/06/29130737/f652682969b30c83fae8ed98223e98f3_1498741655-480x305.png)
基礎体温とは、寝起き直後で体が一番安静な状態にあるときの体温のことを指します。少し体を起こしただけでも体温は上昇してしまうので、朝、目を覚ましたタイミングで、体を動かさず寝たままの状態で測る必要があります。
基礎体温は、女性ホルモンの分泌によって左右され、一つの生理周期のなかで、「低温期(低温相)」と「高温期(高温相)」の二相に分かれます。
毎日基礎体温を記録して変化を見ることで、排卵や妊娠の可能性などを推定することができます。
基礎体温の「高温期」とは?
![基礎体温表 グラフ 女性ホルモン 卵胞期](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2017/09/12143900/de6b0e39d1b07079c946e066d8708f72_1505227133-480x305.png)
基礎体温は、生理周期にあわせて上記のように変化します。生理開始〜排卵前までが「低温期」、排卵後〜生理が始まる直前までが「高温期」となります。
排卵が起こると「プロゲステロン」という女性ホルモンの分泌量が増加します。プロゲステロンには基礎体温を上昇させる働きがあるため(※1)、排卵後は基礎体温が上昇して高温期になります。
生理が始まる直前になると、プロゲステロンの分泌量は減るため、高温期は終わり低温期が始まります。
高温期の基礎体温は何度くらい?
![日本人 女性 体温計 熱](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2019/05/30165556/1fe856a3c2fa6108cf972bf7d0224562_1559235351-480x320.jpg)
基礎体温は個人差があるため一概には言えませんが、高温期の基礎体温は36.7度前後が目安です(※1)。高温期の基礎体温は、低温期の基礎体温から約0.3〜0.5度ほど高くなるのが一般的です(※2)。
もともと基礎体温が高い人は37度を超える可能性もあり、人によっては高温期に微熱のように感じる人もいます。ただし、基礎体温が高すぎる場合、子宮内膜炎や風邪などの感染症が原因の可能性もあります。
基礎体温が高いこと以外に、何か症状がないか確認しましょう。
基礎体温の高温期は何日続く?
![基礎体温 表 グラフ](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2015/08/06132138/shutterstock_1436555-480x360.jpg)
先述のように、高温期は排卵後〜生理が始まる直前まで続きます。そのため、高温期の長さは、約12〜16日間とされ、最低でも10日以上続いていれば正常です(※2)。
ただし、健康状態やストレスの影響によって高温期の長さが変動することもあります。そのため、まずは3ヶ月ほど基礎体温を毎日測ってみて、自分の高温期の長さを把握することが大切ですよ。
高温期と低温期に差がない、期間が短いのは異常?
高温期と低温期の温度差がない、高温期の期間が短いなど基礎体温が乱れている場合は、注意が必要です。
高温期と低温期の温度差が少ない
![【740px】基礎体温表 ⑤一相性・高温期なのに体温が低い(無排卵)](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2017/06/29133842/7856774fba35f405d08fe7553695d766_1498743520-480x305.png)
基礎体温が一定で、高温期が訪れないまま生理が始まる場合は、生理のような出血はあるものの排卵が起きていない「無排卵月経」の可能性があります(※1)。
また、低温期と高温期の差が0.3度以内の場合は「黄体機能不全」が考えられます(※1)。黄体機能不全の場合、高温期に基礎体温のグラフが上下することも特徴です。
こうした場合は治療が必要なため、早めに婦人科を受診しましょう。
高温期の期間が短い
![【740px】基礎体温表 ①低温期が長く高温期が短い(黄体機能不全・軽度の排卵障害)](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2017/06/29133604/4ba77f15e25fa8daf3fe4cffc68a0976_1498743362-480x305.png)
高温期は本来12〜16日間ほどありますが、10日以内と短い場合にも黄体機能不全が疑われるので注意が必要です(※1)。黄体機能不全は、妊娠を維持するのに大切なプロゲステロンの分泌が正常にできていない状態のため、不妊症の原因にもなります。
高温期の期間が短すぎる場合も、早めに医師に相談しましょう。
基礎体温で妊娠がわかる?高温期が何日続いたら妊娠?
![基礎体温表 高温期が長い 妊娠している](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2017/06/12191205/672256f0734516cf1facf7fa809ae358_1497294723-480x310.png)
基礎体温の変化で、妊娠しているかどうかがおおよそわかります。
基礎体温を上昇させるプロゲステロンには、妊娠・出産に向けて女性の体を変化させる働きもあります(※1)。そのため、妊娠している場合、プロゲステロンの分泌が続き、高温期が維持されたまま生理予定日を過ぎます。
目安として、高温期が17日以上続くときは妊娠している可能性が高いといえます(※1)。
生理予定日から1週間以上経っても生理が来ず、高温期が続いている場合は、妊娠検査薬で調べてみましょう。陽性反応が出たら、きちんと婦人科で検査を受けてくださいね。
高温期でも生理が来ることはある?
![生理 出血 ナプキン](https://assets-hack.192abc.com/uploads/2015/11/20160358/99759dff75e8dd25576baba4ea2583fb_1448035436-480x320.jpg)
妊娠が成立しなかった場合、プロゲステロンの分泌量が減るため、基礎体温が下がります。高温期が終わると、次の生理が近づいている証です。
通常、高温期のまま生理が来ることはありません。もし、「まだ高温期なのに出血がある」という場合は、主に以下の理由が考えられます。
妊娠の着床出血
生理の血だと思っていたものは、実は妊娠が成立したときの「着床出血」だった可能性もあります。
月経予定日と同じくらいの時期に起きるため、違いを見極めるのは難しいですが、生理の出血量よりも少量の出血が数日続いただけであれば、着床出血の可能性があります。
ホルモン療法の影響
不妊治療や月経異常の治療などでデュファストンやルトラールなどのプロゲスチン製剤を服用、または注射投与している場合、体温が下がらないまま生理が来ることもあります。
プロゲスチン製剤は、プロゲステロンを人工的に合成して作られた薬なので、基礎体温を上昇させる作用があります。服用を止めると生理が来ますが、いつもの生理周期からは少し外れることもあるので、医師に詳しく確認しておきましょう。
婦人科系の病気や感染症による不正出血
子宮内膜症や子宮筋腫、子宮頸がん、子宮体がんなどの婦人科系の病気や、性器クラミジア感染症などの症状として、不正出血が見られることもあります。
あきらかに生理ではないときに出血があったり、おりものの異常などに気づいたりしたときは、病気の可能性も疑って、一度婦人科を受診しておくと安心です。
女性ホルモンの乱れ
生理が来ても高温期の状態が続く場合は、本来少なくなるはずの黄体ホルモンが過剰に分泌されてしまっている可能性があります。
その原因は明らかになっていませんが、なんらかの影響により女性ホルモンの分泌が乱れていると考えられるため、生理が始まっても高温期が続く場合は、医師に相談することをおすすめします。
基礎体温を測って高温期を把握しよう
女性の体はとてもデリケートなので、いつも基礎体温グラフが高温期と低温期の二相にはっきり分かれるわけではありません。まずは基礎体温を2~3ヶ月記録して、生理が来た時期と照らし合わせて確認してみましょう。
基礎体温表は、インターネットからダウンロードしたり、スマホやタブレットで使える基礎体温記録アプリを使ったりすることができます。
基礎体温の記録は、慣れないうちは大変かもしれませんが、妊娠だけでなく自分自身の健康管理のためにも、自分の高温期・低温期を把握しておきましょう。