赤ちゃんが生まれると、先天的な異常がないか調べるために様々な検査が行われます。そのなかの一つに「新生児聴覚検査」がありますが、そもそも検査を受けたほうがいいのかわからないという妊婦さんやママも多いのではないでしょうか。今回は、新生児聴覚検査とは何か、受ける必要はあるのか、具体的な検査方法や費用についてご紹介します。
新生児聴覚検査(聴覚スクリーニング)とは?必要なの?
「新生児聴覚検査」は、「新生児聴覚スクリーニング」とも呼ばれ、新生児の耳がちゃんと聞こえているかどうかを調べるための検査です。分娩した病院で入院中に検査を受けることが推奨されています。
新生児聴覚検査は任意検査のため、受けなくてもいいのではと考える人もいます。しかし、新生児の1,000人に1~2人の割合で難聴が発生するといわれていて、難聴の発見が遅れると言語能力やコミュニケーション能力への障害が懸念されます(※1)。
新生児期に聴覚検査を受けることで、難聴だった場合に早い段階で気づくことができるため、入院中に検査してくれるのであれば、担当医や助産師にお願いしてみるとよいでしょう。
新生児の聴力検査の方法は?
新生児は大人の聴力検査のように音が聞こえたら手を上げて知らせるということができません。そこで検査には、自動聴性脳幹反応(ABR)またはスクリーニング用耳音響放射(OAE)のどちらかの方法がとられます(※1)。
自動聴性脳幹反応(ABR)は、音に対して反応する聴覚の神経と脳の電気的な反応を見る検査です。防音室で眠っている赤ちゃんにヘッドホンのようなものをつけてモニターを見ながら反応を調べます。
耳音響放射(OAE)は、刺激音を聞かせて、それが反射音として検知できるかで聞こえているかどうかを判断します。
どちらも赤ちゃんが痛みを感じるものではないので心配しないでくださいね。
新生児聴覚検査(聴覚スクリーニング)の流れは?
出産した病院で新生児聴覚検査を行う場合は、生後3日以内に初回検査が実施されることがほとんどです。初回検査で問題がなければ「パス(反応あり)」、反応が悪ければ「リファー(要再検)」となります(※2)。
新生児聴覚検査で再検査になったら?
初回検査で「リファー(要再検)」になると、確認検査が行われます。初回検査を生後3日以内に行った場合、確認検査は生後1週間以内に実施されます(※2)。
聴覚は正常でも、耳の中に羊水が残っていたり耳垢がつまっていたりして反応が悪いときは、確認検査をすれば問題なく「パス(反応あり)」になることもあります。
ただし、何回再検査をしても結果が「リファー(要再検)」になるときは、耳鼻咽喉科精密検査機関で精密検査を行って聴覚障害があるかどうかを診断します。
新生児の聴力検査にかかる費用はどれくらい?
新生児の聴覚検査は医療保険の適用外で、費用はすべて自己負担となります。費用は医療機関によっても異なりますが、1回の検査あたり3,000~10,000円です(※3)。
自治体によっては、検査費用の一部を補助金で負担してくれるので、役所や医療機関で確認してくださいね。
新生児の聴力検査(聴覚スクリーニング)は退院前に受けておこう
分娩をした病院で新生児聴覚検査を受けなかった場合は、退院後1ヶ月健診までに検査を受けることが望ましいとされています。
しかし、退院後に検査すればいいと考えていても、産後のバタバタで検査するタイミングを逃してしまい、難聴を放置してしまう可能性もあります。
言葉をゼロから覚えていく赤ちゃんにとって、聴覚はとても大切なもの。赤ちゃんのためにも入院中にきちんと検査を受けるようにしましょう。
新生児聴覚検査の結果がパスだったとしても、その後の成長過程で聴覚になんらかの問題が発生する可能性はゼロではありません。
普段から赤ちゃんに声がけをして反応があるかを確認して、もし反応が悪かったり言葉の発達が遅れていると感じたりしたときは、乳幼児健診のときや小児科を受診したときに相談してください。