産後は自転車にいつから乗っていい?注意点は?

監修専門家 看護師・助産師 岡 美雪
岡 美雪 看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。日... 監修記事一覧へ

赤ちゃんが生まれて退院をすると、いよいよママとしての生活がスタートします。そうなると、買い物や上の子の保育園の送迎などで自転車を使いたくなることもありますよね。しかし、「産後すぐに自転車に乗っても良いの?」と、不安になるママは多いのではないでしょうか。そこで今回は、産後はいつから自転車に乗って良いのか、安静にしなければいけない期間はどのくらいなのか、注意点とともにご説明します。

産後、安静にする期間はどれくらい?

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産後、ママの体が元の状態に戻るには6~8週間かかるといわれていて、この時期を「産褥期(さんじょくき)」といいます。

ひと昔前は、すぐ休めるように布団を敷きっぱなしにして、産後21日目を「床上げ」として布団を片付ける慣習がありました。その後、産後3週間までは休むことを中心とした生活をするのが主流でした。

現在では、ずっと寝たきりでいることによる血栓症を予防するためにも、産後は安静にする時間を少しずつ減らしていき、産後4週間が経つ頃にはほぼ普段どおりの生活に戻すことが推奨されています(※1)。

また、最近は核家族化が進み、祖父母などに頼れる機会が減っていることもあって、長期間休んでもいられず、1ヶ月経つ前に活動する必要があるママも増えています。

そうはいっても、妊娠・出産が女性の体にとって大仕事であることに変わりはありません。慣れない赤ちゃんのお世話で寝不足にもなりやすい時期でもあります。

パートナーに頼ったり、民間のサポートサービスをうまく利用したりしながら、家事などの負担は最低限に抑え、産後1ヶ月は体調を最優先にした生活を心がけましょう。

産後の過ごし方とは?

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産褥期は、子宮が元の状態に戻るときの子宮収縮(子宮復古)により痛みを感じることがあります。会陰切開や帝王切開の傷口も安定せず、違和感を覚える人も少なくありません。

また、悪露が続いたり、急激に減少した女性ホルモンによって体に様々な不調が現れたりする時期でもあります。

退院後の主な過ごし方

1週間目

布団は敷きっぱなしで、自分の身の回りと赤ちゃんのお世話に専念します。お風呂は、湯船に浸かるのは控え、シャワーだけに留めてください。家事はできるだけ家族に頼み、ママは無理のない範囲で動くようにしましょう。

退院後、少しずつ体を動かすことで子宮復古が促進されます。また、血液のめぐりが良くなることで、産後の体のむくみが軽くなったり、母乳が出やすくなったりすることにもつながります。

2週間目

少しずつ動けるようになりますが、疲れたらすぐ休めるよう、まだ布団は敷いたままが良いでしょう。

沐浴は腰に負担がかかるのでできるだけパパや家族に任せ、ママは授乳やオムツ交換などのお世話に専念することをおすすめします。

3週間目

引き続き、すぐ休める状態にしておくのを前提に、洗濯物をたたむなどの軽い家事から少しずつ始めましょう。

4週間目

赤ちゃんとママの1ヶ月健診があります。問題がなければ、通常の生活に少しずつ戻しましょう。近所へ買い物に出かけることも可能です。ただし、重いものは持たないようにしてくださいね。

医師からの許可がおりれば、湯船に浸かったり、赤ちゃんと外出したりできるようになります。

産後の自転車はいつから乗っていいの?

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産後に自転車に乗るのは、最低でも1ヶ月健診を終えてからが目安です。産褥期のママの体はとても不安定で、ママ自身も予測しない不調が起こることも。

1ヶ月健診で医師に体調、子宮復古、体重、血圧などの状態を診てもらい、問題がないことを確認してから自転車に乗るようにしてください。

産後すぐに自転車に乗らない方がいい理由は?

理由 why

それでは、体が回復しないうちに自転車に乗ることがなぜ良くないのでしょうか?

出産直後の自転車がママの体に良くない理由は、主に以下の3つがあります。

会陰の傷口が治っていない

お産のときに会陰裂傷があったり、会陰切開をした人は、自転車に乗ることで患部が擦れて縫合部が痛むことがあります。傷口が開くことはほとんどありませんが、治りが悪くなってしまう恐れがあります。

また、会陰裂傷や切開がなかった場合でも、出産のときに開いたり伸びたりした腟・外陰部はむくんだ状態にあり、自転車のサドルで擦れることで痛むこともあるので、注意が必要です。

子宮復古が完全でない

産後、悪露で出血が続く約1ヶ月のあいだは、貧血になりやすい時期です。

自転車に乗っているときに動悸やめまいが起こると、事故の原因にもなりかねないので、悪露がなくなるまでは自転車に乗らない方が安心です。

なお、悪露が続いている状態で子宮内が細菌感染すると、炎症により産褥熱を起こしてしまうこともあります(※1)。

骨盤が安定していない

妊娠・出産を通し、ママの骨盤は大きく開き、ゆるんでいる状態です。その状態で自転車に乗ると、骨盤のゆがみを招いてしまう恐れもあります。

骨盤のゆがみは、恥骨や尾てい骨の痛み、尿漏れにつながるだけでなく、妊娠中に増えた皮下脂肪が落ちにくくなる原因にもなります。

産後に自転車に乗るときの注意点は?

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産後、1ヶ月ほどで体が回復するとはいえ、これはあくまでも目安で、回復のペースや体調には個人差があります。体の機能が回復したとしても、ホルモンバランスが安定するまでに、数ヶ月かかることもあります。

産後の女性は、体が疲れやすく、貧血によるめまいや動悸を感じることもあるので、自転車に乗っているとふらついて転倒する恐れもあります。急ぐ用事があっても、無理をして乗らないように注意してくださいね。

また、赤ちゃんを抱っこ紐などで前抱きしたままの自転車の運転はとても危険です。各都道府県で規則は異なりますが、たとえば東京都の道路交通法では、前抱っこでの運転は認められていません。年齢に合ったチャイルドシートの使用や抱っこ紐で背負っている場合に限ります(※2)。

転倒したときのリスクはママや赤ちゃんにとって大きいものです。安全を第一に考えた移動手段を取るのはもちろん、時間に余裕をもって行動するようにしましょう。

産後の自転車はママの体が回復してから

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自転車は、毎日の買い物やちょっとした用事にとても便利なので、産後すぐにでも乗りたいところですが、体のことを考えると最低でも1ヶ月間は乗るのを控えましょう。産後1ヶ月を過ぎても、少しでも不調を感じるようであれば、無理をしないことが大切です。

体調が安定するまでは、買い物はネットスーパーなどの宅配を利用し、休日に済ませられる用事はパパにお願いしましょう。

急ぎの用事のときは、タクシーを使うのも一つの方法です。贅沢に思う人もいるかもしれませんが、回復を早めるためにも、一時的なものと思って利用するのがおすすめですよ。

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