切迫流産や切迫早産を抑える薬に「リトドリン」があります。子宮収縮を抑えてくれる「ウテメリン」と同様の成分で作られており、切迫流産や切迫早産に高い効果を発揮します。ただ、ほかの子宮収縮を抑える薬とは何が違うのでしょうか?今回は、リトドリンの効果や副作用、胎児への影響のほか、点滴と錠剤の違いについてもご説明します。
リトドリンとは?ウテメリンと効果は違う?
「リトドリン」と「ウテメリン」の効果は、基本的に同じです。
「リトドリン」は、切迫流産や切迫早産の治療薬としてよく利用される「ウテメリン」のジェネリック医薬品なので、ウテメリンと同じ効果を安価で得られるメリットがあります。
リトドリンは、切迫流産や切迫早産の場合に子宮収縮を抑えて、赤ちゃんが未熟な状態で生まれてくるのを防いでくれる薬です。リトドリンの主成分である「リトドリン塩酸塩」が、子宮を収縮させる平滑筋に直接作用して筋肉を緩めます。
リトドリンには錠剤と点滴がある?用法・用量は?
リトドリンには、口から飲む錠剤と点滴の2種類があります。点滴のほうが即効性が高く、血中濃度を一定に維持しやすいため、症状が重く、入院治療など緊急を要する切迫流産・切迫早産の患者に対して使用されます。
1アンブル(5ml)のリトドリンを希釈して、毎分50μg(=0.05mg)から点滴し、様子を見ながら投与量を調整します。有効用量は毎分50~150μgとされ、毎分200μgを超えないように処方されます(※1)。
錠剤は、症状が軽い場合や点滴で軽快した場合に利用されます。1回1錠(5mg)を1日3回、食後に飲みます。点滴と同じく、錠剤も症状によって服用量を増減させます(※2)。
リトドリンの副作用は?
リトドリンは、切迫流産や切迫早産に効果を発揮する一方で、様々な副作用が現れることがあるので、慎重に投与されます。
重い副作用としては、ショック症状、不整脈、血液成分の異常、肺水腫、急性心不全などの報告があります。また、頻度は不明ですが、動悸や頭痛、めまいなどの軽い副作用が現れることもあります。少しでも体の異変を感じたら、医師に相談しましょう。
リトドリンによる胎児・新生児への影響は?
リトドリンの製造・販売元によると、副作用として、胎児の心不全、頻脈、不整脈、そして新生児の心不全、腸閉塞、低血糖などの症状を引き起こす場合があるとされています(※1, 2)。
なお、妊娠16週未満の妊婦に対しては、使用経験が少なく、安全性と有効性が確実ではないことから、投与はしないこととされています。特にリトドリンの点滴液については、「妊娠35週以下、または推定胎児体重2500g未満」のケースにのみ使用することが望ましいとされています。
なお、出産直前にリトドリンを投与した場合、生まれた直後の授乳を避けることが推奨されています。詳しくは、産婦人科医に確認し、その指示に従いましょう。
リトドリン点滴や錠剤の費用は?
切迫流産や切迫早産の治療は、健康保険の適用となるため、治療費は3割負担で済みます。症状があまり深刻でなく、錠剤の処方だけで済めば、それほど費用はかかりません。
リトドリンの点滴を受ける場合、基本的に入院する必要も出てくるため、薬剤費の数千円に加え、食費やベッド代など、1日1万円以上の入院費がかかることもあります。子宮収縮が落ち着き、切迫流産・切迫早産の心配がないと診断されるまでは安静にしていなければならず、入院期間が長引くほど費用もかさんでしまいます。
ただし、「高額療養費制度」を利用すれば、健康保険適用内の医療費の一部が支給されることも。入院中の食費や差額ベッド代などは含まれないものの、ありがたい制度ですね。申請方法など詳細は、病院で確認してください。
リトドリンの効果と副作用を知っておこう
リトドリンの重い副作用や胎児への影響が気になるかもしれませんが、切迫流産や切迫早産が進行している場合、安全なお産のために効果を発揮する薬でもあります。もし、リトドリンを使うことになった場合は、しっかり医師から説明を受け、効果と副作用を理解して治療に臨みましょう。
点滴の場合は医師が投与量を調整しますが、錠剤を処方された場合は、用法・用量を守り、正しく服用してください。