切迫早産になってしまった場合、自宅安静と言われたり、状況によっては入院したりすることもあります。退院できたとしても、しばらくは安静にしていなければならないことも。しかし、「安静」といわれても、どの程度まで動いてはいけないのか、どんな風に過ごせば良いのか、分かりませんよね。そこで今回は、切迫早産で自宅安静のときや、退院した後の生活について、過ごし方や注意点をご紹介します。
切迫早産で安静にする理由は?
切迫早産で安静にする理由は、赤ちゃんが生まれても安全と判断される期間まで、子宮から出てこないよう、極力刺激を与えないためです。
早産は妊娠22週0日~36週6日の間に生まれることを指し、切迫早産とは、早産の期間に赤ちゃんが生まれてしまいそうな状態のことをいいます。切迫早産になってしまったら、できるだけ妊娠36週6日以降の正期産の時期に生めるよう、子宮収縮や破水を起こさないために安静にする必要があります。
切迫早産は、はっきりとした原因はわかっていませんが、多くの場合、以下のことが原因であると考えられています。
切迫早産になる主な原因
● 絨毛膜羊膜炎などの感染症
● 子宮頸管無力症や子宮筋腫、子宮奇形など子宮の異常
● 多胎妊娠
● 羊水過多
切迫早産で自宅安静の過ごし方は?
切迫早産で医師から安静の指示があった場合、自宅でどんな過ごし方をすれば良いのでしょうか?
自宅安静で一番大事なことは「赤ちゃんをいかに守るか」ということです。横になって安静にする時間を増やし、できるだけ家事もせず、テレビをみたり、本を読んだりして、一定の姿勢でリラックスすることを心がけましょう。とにかく「横になる」ことです。
「何もしない」ということを苦痛に感じ、家事をしなければと半ばプレッシャーのように感じてしまう人もいますが、赤ちゃんの安全を一番に考れば、家事は手抜きで構いません。お腹に張りがあれば、手抜きどころか家の中でも動かず、横になりましょう。
食事も、買い物にいかず、ネットスーパーを使ったり、パートナーに買ってきてもらったり、掃除や洗濯もできる限りパートナーにカバーしてもらうようにしてくださいね。家事をするときは、焦らず、ゆっくりと行うようにしましょう。
切迫早産で入院したときの安静の過ごし方は?
どれだけ自宅で安静にしていても、母体や胎児の様子、子宮頸管の長さなどをみて医師が必要と判断したら入院しなければならないことも。入院期間も個人差があり、すぐに退院できることもあれば、そのまま出産まで入院ということも珍しくありません。
入院中は、とにかく安静に過ごします。できるだけベッドの上から動かず、ウテメリンなどの点滴を打ち、身の回りのことも家族や看護師さんに手伝ってもらうことに。子宮収縮を抑える薬の内服や点滴などで早産の兆候がおさまれば、1週間ずつ様子をみて退院できる場合もありますよ。
切迫早産の約30〜50%は、入院管理を行っても早産が進行するといわれていますが、できるかぎり妊娠週数を伸ばすことが重要です。なかなか症状がおさまらない場合は、正期産の時期に入る妊娠37週0日付近まで入院することも珍しくありません。
妊娠34週を過ぎると胎児へのリスクが低くなるので、経過観察をして破水があれば早期に分娩の処置が取られます。
切迫早産で安静が解除された後や退院後の注意点は?
切迫早産で安静が解除された後は、すぐに今までの生活に戻らず、徐々に戻していくことを心がけましょう。入院生活や自宅安静で体力が落ちている状態なので、無理は禁物ですよ。
切迫早産は、安静が解除された後も、緊急事態が起きる可能性はあります。妊婦健診で出産までの近さがある程度わかりますが、リスクや対処法を前もって知っておき、パートナーや家族の協力をいつでも得ることができるようにしておきましょうね。
家事・買い物をするときの注意点
椅子に座って野菜を切るなど、体に負担をかけない工夫をしながら過ごすといいですね。買い物にいくときも、徒歩で歩く距離が少ないところから始め、荷物はカートで押すようにしましょう。
重たい荷物はなるべくネットスーパーなどを利用するのがおすすめですよ。上の子がいる場合は、実母や義母、家族にお世話のサポートをお願いしたり、地域のサービスを活用したりしましょう。
仕事に復帰するときの注意点
状態にもよりますが、基本的に一度切迫早産と診断されたら、「できれば休むように」と判断するお医者さんがほとんど。復帰するのであれば、自己管理といわれることが多いかもしれません。
復帰を考えている場合は、勤務先に通勤で混雑する出社・帰宅時間を避けられるように相談したり、短時間でできること、在宅でできることがあれば、掛け合ってみたりしてください。自分からどんなことができるのかを具体的に伝えると、お互い話し合いやすくなりますよ。
切迫早産の自宅安静が解除されても無理はしないで
切迫早産で安静の指示があっても、「夕飯を作るだけなら大丈夫かな」「ちょっと掃除だけしよう」など、ついつい家事をしてしまうことも。安静にしていることが、なんとなくさぼっているような感覚になるかもしれませんが、この時期は体を休ませることが第一です。
男性の場合は、なかなか切迫早産の状況を理解しきれないことも珍しくないので、診断されたらしっかりと説明してあげましょう。その後の健診に一緒にいき、医師から直接どういう状況か説明してもらうのも効果的です。
切迫早産は、臨月に入る前に陣痛がきたというケースもあれば、予定日を過ぎてもなかなか陣痛が来なかったというケースもあります。夫が休みの日にDVDをレンタルしてきてもらうなどして、気分転換を交えつつ、リラックスして出産の日を待ちましょう。