人工授精後、受精卵が子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。そのため、人工授精後に着床する時期がいつ頃なのか、とても気になるという女性は多いようです。個人差はあるものの、着床時期には女性の体に特定の症状が見られることがあります。そこで今回は、着床したことにいち早く気づけるように、人工授精の後の着床までの時期や症状、人工授精後の注意点についてご紹介します。
人工授精後に着床するのは何日後?
人工授精は、排卵のタイミングに合わせて精子を子宮内に人工的に注入し、卵子と授精させて妊娠を目指す方法です。精子を注入した後の妊娠までの流れは自然妊娠と同じ、という点が特徴で、人工授精を受けた後は、自然妊娠と同じ期間の日数をかけて、着床まで至ることになります。
人工授精で精子を注入した後、数日の間に卵子と受精して受精卵ができます。その受精卵が子宮内膜に着床を開始するまでの期間は、受精後6〜7日です(※1)。その後、子宮内膜への着床が完了するのに5日ほどかかるため、人工授精後に着床が完了するのは、約2週間後といえます。
ただ、着床後すぐには妊娠検査薬も反応しないタイミングなので、着床後の症状から妊娠の兆候をキャッチしたいですね。
人工授精後の症状は?着床で痛みが出る?
人工授精後、妊娠検査薬で陽性反応が出るまでは、着床しているのかどうか気がかりですよね。ただ、着床にまつわるいくつかの症状があるので、参考にしてみてください。
着床痛
着床前後、下腹部にチクチクという痛みを感じることがある人もいます。医学的根拠はありませんが、着床前後に感じる体験談が多いことからこの名前がついています。
着床出血
着床のタイミングで子宮内膜から出血する場合があります。おりものに似ていて、薄茶色、薄ピンク色などの出血が見られます。個人差が大きく、全く出血がない人や、1~2日ほどで治まる人もいれば、1週間以上続く人もいます。
インプランテーションディップ(基礎体温の低下)
着床時に、基礎体温がガクッと急激に下がることがあります。これはアメリカでは報告の多い症例で、インプランテーションディップと呼ばれます。医学的に詳しいことはわかっていないものの、妊娠兆候のひとつとして考えられています。
一旦基礎体温が下がってもすぐにまた高温期の体温に戻れば、妊娠兆候かもしれませんよ。
高温期の継続
人工授精は排卵タイミングに合わせて行われるため、一般的に人工授精後すぐに基礎体温は高温期に入ります。着床していない場合、生理が起こって低温期に入りますが、受精卵が着床して妊娠が成立すると、高温期が長く続きます。
高温期が15日間以上続く場合は、妊娠している可能性が考えられます。
人工授精後、着床につながる確率は?
人工授精後に着床し、妊娠が成功する確率は、8回行なった場合の累積で約30%といわれています(※2)。
このことから、人工授精を実施したからといって必ず妊娠できるものではないということを知っておきましょう。
人工授精を行うときの排卵の方法によっても異なりますが、人工授精を5〜8回行っても着床に至らなかったときには、体外受精や顕微授精といった次のステップを検討することが多いようです。
人工授精後に着床率を上げるには?
人工授精での妊娠率が高くないとはいっても、着床率を上げる方法があれば取り入れたいですよね。絶対に着床率を上げるという方法はありませんが、生活習慣の改善で妊娠しやすい体にしていきましょう。
体を冷やさない
古くから「冷えは万病のもと」といわれる通り、体が冷えると血流が悪くなり様々な体調不良が現れます。冷えによって子宮内膜の成長がうまくいかず、着床率が悪くなる可能性もあります(※2)。
特に人工授精に取り組んでいる間は、下半身を冷やさないように厚手の服を着る、靴下を重ね履きする、適度な運動を行うといった方法で、体を暖めるように心がけてくださいね。
血行を良くする食べ物を摂る
血行を良くする食べ物を積極的に摂取することも、人工授精後にはおすすめです。血行が良くなると、栄養素が卵巣や子宮にも行き渡りやすくなり、受精卵が着床する子宮内膜の成長を助けることができます。
具体的には、生の玉ねぎや納豆、黒酢やきのこ類、海藻類などもおすすめです(※2)。
人工授精後、着床するまでしてはいけないことは?
人工授精では人工的に精子を子宮内に注ぐこともあり、「人工授精を行った後はしばらく安静にしていると着床率が高まる」と思う女性が多いようです。しかし「これをすれば着床率が高まる」という即効性のある方法はなく、人工授精後はいつも通り過ごせば問題ないといわれています。
また、妊娠がわかった後も特別気を使って安静にしておく必要はありません。
もちろん、マラソンなどの激しい運動は避ける、深酒しない、夜更かししない、喫煙しない、といった、一般的に日常生活で気をつけるべきことには注意しておきましょう。神経質になりすぎてストレスを溜めてしまわないでくださいね。
人工授精後の着床時期は落ち着いて生活を
人工授精に取り組んでいる夫婦にとって、人工授精の後はなんとか着床して妊娠までつながってほしい、という思いは強くなりますよね。着床による症状が見られることもありますが、あまり神経質になってストレスを感じるのもよくありません。
着床時期に体の変化を感じたときは、「もしかしたら妊娠したかも?」くらいに思って、冷え性対策や血液をサラサラにする食べ物の摂取で、妊娠しやすい体作りを心がけてくださいね。