妊婦は柿を食べてもいい?妊娠中に食べると冷え性になるの?

監修専門家 管理栄養士 安蒜 ゆい
安蒜 ゆい 病院・保育園にて管理栄養士として献立作成・衛生管理や食育活動に携わり、現在は独立しフリーランス管理栄養士・彩り時短食プランナーとして活動しています。「季節や行事を通して食事・家族の時間の大切さを伝えて... 監修記事一覧へ

秋を代表する果物のひとつである「柿」。柿は栄養価が高く、妊娠中の体にも嬉しい効果がたくさんあります。一方で、妊娠中は食べ過ぎに気をつけなくてはいけません。今回は、妊婦は柿を食べてもいいのか、1日にどれくらい食べてもいいのか、妊娠中に柿を食べるときの注意点をまとめました。

妊婦は柿を食べてもいい?妊娠初期は?

柿 3個

柿は、ビタミンCをはじめ、カロテンや食物繊維といった成分が含まれているので、妊娠中の健康維持にもおすすめの果物です。ただし、柿に含まれるタンニンという成分は、鉄分の吸収を阻害する働きがあるため、食べ過ぎには注意が必要です。

妊娠初期(妊娠15週まで)は、流産のリスクが高いため、食べたものが胎児に影響を与えるのではと心配する妊婦さんも多くいます。しかし、妊娠初期の流産は、染色体異常など胎児側に原因があることがほとんどです。

柿を食べること自体に問題はありませんが、食べ過ぎると体が冷えて、つわりの症状がひどくなったり、便秘になったりすることもあるため、食べる量はほどほどにしてくださいね。

妊娠中に柿を食べるとどんな効果がある?

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柿に含まれるビタミンCは、みかんの約2倍です。皮をむいたレモン1個よりも、柿1個(約160g)を食べたほうが、ビタミンCを多く摂取できます。

ビタミンCには、ウイルスに対する免疫力や抵抗力を高め、風邪を引きにくくする効果があるので、妊娠中には特に積極的に摂りたい栄養素です。

柿には、体の代謝を促すマンガンも豊富に含まれていて、柿1個で妊婦が1日に必要とされる量の約25%(約0.8mg)を摂取することができます。さらに、妊娠中の足のむくみの解消に効果があるカリウムも含まれています。

柿が旬の秋にマタニティライフを送る妊婦さんは、柿を食べて健康的に過ごしたいですね。

妊娠中は柿を1日に何個食べられる?

柿

妊娠中の体に嬉しい効果がたくさんある柿ですが、妊婦は1日に柿をどのくらい食べてもいいのでしょうか。

前述のとおり、柿にはビタミンCがたっぷり含まれています。柿1個(約160g)を食べると、妊娠中の1日のビタミンC推奨量がほとんど摂れてしまうほどです。

2個以上食べただけで栄養過多になってしまうので、妊娠中に柿を食べるときは、1日1個までにしておきましょう。また、食べ過ぎたときは、次の日は控えるなど、量を調整してくださいね。

妊娠中に柿を食べるときの注意点は?

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妊娠中に柿を食べるときは、柿に含まれるタンニンという成分に気をつける必要があります。

タンニンには、鉄分の吸収を阻害する働きがあるといわれています。妊娠中は貧血予防のために意識的に鉄分を多く摂ることがありますが、せっかく摂取した鉄分もタンニンによって吸収されにくくなってしまいます。

鉄分が吸収されなくなると、血の巡りが悪くなり、体の冷えや貧血を招く可能性も。

柿には多くの品種がありますが、大きくわけると、渋柿と甘柿の2つがあります。渋柿は、干し柿にしたりアルコールに漬けたりすることで、水溶性だったタンニンが不溶性に変わり、渋みが抜けます。

甘柿にもタンニンが含まれていますが、果実が成長する段階で、果肉から揮発性物質が発生し、タンニンが不溶性に変わるため、渋みを感じなくなります。

タンニンは、水溶性から不溶性に変わっても、鉄の吸収を阻害する働きは変わらないと考えられるため、妊娠中に柿を食べるときは、1日1個を守るようにしましょう。特に、もともと貧血の人や冷え性の人は、食べ過ぎないように注意してくださいね。

タンニンは、柿のほか、茶葉やワインにも含まれます。

授乳中は柿を食べてもいいの?

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柿には、栄養がたっぷりつまっているため、授乳中のママの体にもおすすめの果物です。

妊娠中に引き続き、授乳中もアルコールを摂取してはいけませんよね。もし、授乳中に、どうしてもお酒を飲みたいというときは、飲んでから1~2日は母乳を与えることは控える必要があります。

そのときに、柿を食べると、柿に含まれるタンニンと水溶性植物繊維であるペクチンが、アルコールの吸収を抑えて、アルコールを体外に排出するのを助けてくれます。

授乳中は、アルコールは控えることが一番ですが、結婚式やパーティーに呼ばれて、少しだけ飲みたいといったときには、ぜひ、飲む前後に柿を食べてみてくださいね。

ただし、飲んだあと、1〜2日は、母乳を与えるのはやめて、その間は搾乳しておいた母乳か、ミルクを飲ませるようにしましょう。

また、母乳を与えない間は、アルコールを含んだ母乳を搾乳して処分するのも忘れないでください。この間にしっかり搾乳しておかないと、乳腺炎になってしまうこともあります。

妊婦は柿を食べて健康維持をしよう

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古くから「柿が赤くなると医者が青くなる」という言葉があるように、柿はビタミンCをはじめとする栄養素が非常に豊富な果物です。

食べ過ぎはよくありませんが、妊娠中から出産後まで適量の柿を食べることで、風邪を引きにくい体が作れるはずですよ。

柿そのものの味や食感が苦手という人は、料理やお菓子作りに使うと食べやすくなります。妊娠中の食生活に柿を取り入れて、健康的なマタニティライフを送れるといいですね。

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