「初乳」という言葉をご存知ですか?出産後にママの乳房からは母乳が出てくるようになりますが、産後すぐの時期に出る母乳を初乳と呼んでいます。初乳のことをよく知らないと、「最初に出てくる母乳のことね」と軽視しがちですが、実は赤ちゃんの栄養補給や免疫力を高めるためにとても重要な役割を果たしているものなんです。そこで今回は初乳について、いつまで出るのか、母乳との違いやその役割についてまとめました。
初乳とは?いつからいつまで出るもの?
初乳とは、産後すぐにママの乳房から出てくる乳汁のことで、徐々に成分を変化させながら母乳(成乳)になります。読み方を「はつにゅう」などと間違えてしまう人もいますが、正しくは「しょにゅう」と読みます。
初乳は出産後すぐの時期にしか出ませんが、その期間には個人差があります。
初乳を与えることで、十分に消化されていない栄養素が腸の壁を通り抜けにくくなります。そのため、体の免疫システムが未消化の栄養素を「異物」として攻撃しなくて済み、赤ちゃんがアレルギーになりにくいと考えられています。
初乳の色は黄色?母乳との違いは?
初乳は、後に出る成乳(母乳)に比べて以下のような特徴があります。
・黄色い(クリーム色)
・ドロっとしている
・量が少ない
・鉄分やたんぱく質、オリゴ糖、ビタミンなどの栄養が多い
・乳糖や脂質が少ない
・抗体(IgGなど)が多い
・ラクトフェリンが多い
初乳が成乳(母乳)と異なるのは、少し黄色がかっていてドロッとしていることです。これは、β-カロチンの量が母乳の約5倍あり、水溶性ビタミンやたんぱく質を多く含むためです。
そして赤ちゃんの成長にあわせて必要な栄養分は変化するので、濃い黄色でドロッとしていた質感の初乳は、少しずつサラサラで白濁色の成乳(母乳)へと変化していきます。
初乳に含まれるラクトフェリンとは?
初乳に含まれるラクトフェリンという成分には、免疫調整作用や抗菌・抗ウイルス作用があり、大腸菌やブドウ球菌など様々なウイルスから赤ちゃんを守ってくれる役割があります。初乳を飲むことで、赤ちゃんの喉や消化器官が保護されるというわけです。
ラクトフェリンに含まれる初乳には、通常の母乳の約3倍のラクトフェリンが含まれているといわれているほどです。新生児の頃に初乳を摂取することで免疫力を高める効果が期待できますが、ラクトフェリンを含む粉ミルクも販売されています。
ちなみに、ラクトフェリンは、健康食品やヨーグルトにも含まれていて、大人の健康維持にも大活躍している成分です。
初乳にはママにも赤ちゃんにもうれしい役割がある
初乳は育児をスムーズにスタートさせる役割を果たしてくれます。赤ちゃんにとっては産後に必要な栄養素を補給でき、免疫力を高められるため、その後元気に成長していく原動力となるのです。
また、ママにとっても初乳を飲んでもらうことで、その後の母乳の出る量が増えるというメリットがあります。赤ちゃんが飲めば飲むほど、初乳自体やその後の母乳の出が良くなって母乳育児がスムーズに運ぶようになりますよ。
初乳の量が少ない・出ない場合はどうしたらいい?
初乳の分泌のスタートが遅いママもいるなど、出方には個人差があるものです。出が悪いからといって諦めず、乳首マッサージなどをして少しでも出るようにチャレンジしてみましょう。
初めて母乳をあげるときは、母乳の通り道である乳管がまだうまく通っておらず、詰まっていることもあります。
最初のうちはあまり母乳が出なくても、おっぱいマッサージや赤ちゃんが乳首を吸う刺激によって、だんだんとスムーズに出るようになってきますよ。
ミルクメインでの育児をしようと考えているママも、なめてもらう程度でかまわないので、時間をとっておっぱいを吸ってもらう時間を作るようにしましょう。赤ちゃんに吸ってもらうのが初乳の出をよくする一番の方法なので、産後1週間は根気よく取り組むようにしてみてくださいね。
また、初乳の出る量には個人差が大きく、もともとそれほど大量に出るものではないので、少しだけとろりと出るだけの人もいます。たとえ少量でも、栄養や免疫力をつけるために、赤ちゃんに飲ませてあげましょう。
初乳が出なくても赤ちゃんは育ちます
なかには初乳の出がゆっくりで、赤ちゃんに飲ませられないことを不安に感じるママもいるかもしれません。
しかし、初乳がうまく出なくとも、その後の母乳がうまく出なくとも、赤ちゃんはちゃんと育ってくれます。子育ては個人差が大きく正解はないものです。ストレスを溜めずに日々育児を楽しめるといいですね。
もし、初乳がなかなか出なくて悩んでいる場合は、出産した産院や助産院、小児科などの母乳外来や、住んでいる地域の助産師さんや保健師さんなどに相談してみましょう。