パートナーとの性交で幸せな時間を過ごしたあと、シーツや下着に血がついていると、一体何が起きたのかと驚いてしまいますよね。性交後の出血は、一時的なものであれば大きな心配はありませんが、病気のサインである可能性もあるので注意が必要です。今回は、性交後に出血した場合、考えられる原因や病気、妊娠の可能性についてご説明します。
性交後の出血は珍しくない？
生理でもないのに性交後に出血があった場合、それは「不正出血」の一種だと考えられます。
ホルモンバランスの乱れなどで不正出血が見られることもありますが、性交後の出血は、腟・子宮・卵管・卵巣などに何らかの原因があると考えられます。
腟やデリケートゾーンがただれていたり、少し傷ができていたりするだけでも、性交の刺激で血が出ることもあるので、少量の出血であれば珍しいことではありません。
ただし、子宮や卵巣に腫瘍ができているなど、病気が原因であることもあるので、出血の状態をよく見て対応することが大切です。
性交後の出血の原因は？
性交後に出血が見られた場合、次のような原因が考えられます（※1）。
経血の残り
生理が終わったばかりの時期に性交をした場合、経血の残りが出てくることもあります。
外傷
腟やデリケートゾーンに傷がある場合、性交で擦れることによって少量の出血が見られることもあります。
子宮腟部びらん
子宮腟部がただれているように見える状態を「子宮腟部びらん」といいます。若い女性では一般的に見られるもので、病気ではありませんが、子宮頸がんの初期の状態に似ているので注意が必要です。
びらん部分は刺激に対する抵抗力が弱く、性交による刺激が加わると出血しやすくなります。
炎症
腟からの細菌感染や、出産、流産手術などによって子宮の中が傷ついて「子宮内膜炎」を起こしていると、不正出血が見られることがあります。
卵巣出血
排卵に伴う卵胞出血などが原因で、卵巣から出血が起こることがあります。これは、生理がある年齢の女性であれば誰にでも起こる可能性があるもので、病気ではありませんが、出血量がかなり多い場合は緊急手術が必要になることもあります。
排卵後から生理前の時期（黄体期）に、性交後の出血があった場合、卵巣出血の可能性が高いとされます。
良性の腫瘍
子宮頸部や子宮内膜のポリープ、子宮内膜の筋腫ができていると、性交の刺激で出血を起こすこともあります。
悪性の腫瘍（がん）
子宮頸がんや子宮体がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍は、初期の自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行していることもあります。
これらの病気が進行すると、性交による刺激で不正出血が起こることが多くあります。
性交後の出血に腹痛も伴う場合は？
前述のとおり、性交後の不正出血には、様々な原因が考えられます。
シーツや下着にわずかに血液がつく程度であれば、腟やデリケートゾーンに外傷やびらんがあり、性交の刺激で一時的に出血しただけの可能性が高いため、急いで病院を受診する必要はありません。
ただし、出血の量が生理の経血と同じくらいかそれよりも多い、性交が終わると毎回出血する、性交後に時間がたっても出血が続くということであれば、婦人科で相談しましょう。
また、不正出血のほかに、腹痛やお腹の張り、吐き気、便秘、頻尿などの症状もある場合、卵巣出血が起きているか、卵巣腫瘍や子宮体がんが進行して骨盤内の臓器を圧迫している可能性も考えられます（※2）。
「気のせいかな？」と放置せず、上記のような症状が見られたらすぐに婦人科を受診してくださいね。
性交後に出血したときの治療法は？
性交後の出血の原因が、炎症や腫瘍など婦人科系の病気である場合、次のような治療を行う必要があります（※2）。
炎症
腟や子宮が炎症を起こしている場合、まず検査で細菌や真菌、ウイルス、原虫などの原因を突き止め、それぞれに効果がある抗生物質などを投与します。
良性の腫瘍
子宮頸管や内膜のポリープがある場合、その大きさによって対応が異なります。小さいポリープは病院の外来で切除できることが多いですが、大きい場合は入院して手術をする必要があります。
子宮筋腫は、大きさや症状によっては経過観察となりますが、薬で筋腫の発育を抑えたり、手術で筋腫を取り除いたりすることもあります。
良性のように見えても、大きくなるようであれば悪性（がん）の可能性もあるので、慎重に検査・治療する必要があります。
悪性の腫瘍（がん）
子宮や卵巣にがんが見つかった場合、その進行状況や子供を希望するかなどによって治療方法が異なります。
転移がなく、妊娠の希望がある場合は、がんの部分だけ手術で取り除き、あとは抗がん剤または放射線治療などを行うこともありますが、だいぶ進行している場合は子宮や卵巣ごと摘出しなければならないこともあります。
そのため早めに検査を受け、がんが進む前に治療を始めることが大切です。
性交後の出血は妊娠の可能性もある？
妊活中の人は特に、性交後に出血があると「妊娠兆候かも？」と考えることもあるかもしれません。
たしかに、受精卵が子宮内膜に着床し、妊娠が成立したときに「着床出血」が見られることもあり、一般的にこれは妊娠兆候のひとつと言われています。着床出血があるとすると、だいたい生理予定日の1週間前くらいです。
ただし、医学的に着床出血は「妊娠初期の不正出血」として扱われ、妊娠の診断基準になるものではありません。
性交後は、誰でも妊娠の可能性はありますが、出血を見ただけで早とちりせず、生理予定日を1週間過ぎてから妊娠検査薬を使ってみてくださいね。
性交後の出血が続くときは病院へ
性交後に出血が見られた場合でも、少量でそのあと出血が続くことがなければ、大きな心配はないと考えられます。しかし、しばらく出血が続いたり、出血以外に腹痛などもある場合は、病気が潜んでいる可能性も考えて早めに婦人科を受診してくださいね。
もし婦人科系の病気ではなかったとしても、腟や外陰部などはデリケートなので、簡単に傷がついてしまいます。パートナーにも理解してもらい、お互い無理のない性交を楽しめるといいですね。
