高齢出産で心配なことの一つとして、ダウン症の赤ちゃんを妊娠しやすいことを挙げる人は多いと思います。そこで今回は、高齢出産を控えた人のために、高齢出産でダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率や、出産前にお腹の赤ちゃんがダウン症なのか調べる検査方法にはどのようなものがあるのかをご紹介します。
ダウン症とは?
ダウン症とは、染色体という遺伝子の集まりに異常があることで起こる疾患です。細胞内に全部で23組46本ある染色体のうち、21組目が1本まるまる、あるいは部分的に多いことから「21トリソミー」とも呼ばれています(※1)。
ダウン症の子供の特徴としては、次のような症状がみられることがあります(※2)。
● 体が柔らかい
● 丸く起伏が少ない顔
● 目の端のつり上がり
● 小さめの耳
● 精神・運動の発達の遅れ
● 先天性の心臓疾患
● 白内障
● 斜視
● 屈折異常
● 低身長
● 肥満
高齢出産でダウン症の子を妊娠する確率は?
一般的に、ダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率は600人から700人に1人だといわれています。ただし、これは出産時の年齢を考慮しない場合の確率です。高齢出産になればなるほど、ダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率は上がるため、年齢によってはそれ以上の確率になることもあります。
次の表は、出産時の年齢が20歳から45歳までの、各年齢におけるダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率です。通常、高齢出産というと35歳以上での出産を指しますが、35歳でダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率は338人に1人となっています(※1)。
出産時の 母親の年齢 |
ダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率 |
20歳 | 1,441人に1人 |
25歳 | 1,383人に1人 |
30歳 | 959人に1人 |
35歳 | 338人に1人 |
36歳 | 259人に1人 |
37歳 | 201人に1人 |
38歳 | 162人に1人 |
39歳 | 113人に1人 |
40歳 | 84人に1人 |
41歳 | 69人に1人 |
42歳 | 52人に1人 |
43歳 | 37人に1人 |
44歳 | 38人に1人 |
45歳 | 30人に1人 |
高齢出産ほどダウン症の確率が上がる理由は?
高齢出産になると、ダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率が上がるというのは、高齢の女性ほど染色体の異常が起きやすいからです。
通常、2本ずつある染色体は、細胞分裂によって卵子が作られるときに1本ずつ別々の細胞に分配されます。ところが、高齢の女性では、染色体が別々の細胞に分配されにくくなってしまいます。
そのため、21組目の染色体が1本多い卵子ができやすくなるとされています(※1)。
高齢出産でのダウン症の検査方法は?
高齢出産でお腹の赤ちゃんにダウン症の可能性があるかどうか知りたいときは、妊娠後に「出生前診断」を行うことで検査できます。
以下に、ダウン症の出生前診断で行われる検査の一例を紹介します(※1)。
● 絨毛検査
● 羊水染色体検査
● 臍帯穿刺
● 着床前遺伝学的検査
● 母体血清マーカーテスト
● 超音波検査
● 母体血胎児染色体検査
なお、ダウン症の出生前診断は検査方法によって実施できる時期や検査の精度、検査でわかることなどが異なります(※1)。そのため、きちんと遺伝カウンセリングを受け、検査の意義を十分に理解することが必要です。
検査をしてみたいと思ったら、かかりつけの産婦人科医に相談してみましょう。
高齢出産でダウン症以外の注意点は?
一般に高齢出産は、そうでない場合と比べて様々なリスクが高くなるとされています。
高齢出産の場合、ダウン症以外にも次のような疾患を持った赤ちゃんを妊娠する確率が高くなるというデータがあります(※1)。
エドワーズ症候群(18トリソミー)
18組目の染色体が3本あることによって起こることが多い疾患です。エドワーズ症候群の赤ちゃんは発育不全や特徴的な顔、小脳形成不全などの症状を持っていますが、その多くは流産や子宮内胎児死亡を起こすとされています。
エドワーズ症候群の赤ちゃんを妊娠する確率は4,000人から10,000人に1人ですが、出産年齢とともにその確率は高まります。また、エドワーズ症候群の赤ちゃんを産んだ経験のある女性は、再びエドワーズ症候群の赤ちゃんを産む確率が高くなります。
パトー症候群(13トリソミー)
13組目の染色体が3本あることで起きることが多い疾患です。パトー症候群の赤ちゃんは中枢神経系の異常や特徴的な顔、指の奇形などを持っていますが、子宮内胎児死亡を起こすことが多いとされています。
パトー症候群の赤ちゃんを妊娠する確率は5,000人に1人ですが、出産年齢とともにその確率は高まります。また、パトー症候群の赤ちゃんを産んだ経験のある女性は、再びパトー症候群の赤ちゃんを産む確率が高くなります。
高齢出産に限らずダウン症との向き合い方を考えて
高齢出産の場合、生まれてくる子がダウン症の可能性もあるのではと、不安になることもあるかもしれません。そうしたときに大事なのは、ダウン症をより深く理解し、大切な命としてどのように接していくかということです。
出生前診断を受けるかどうかも含めて、生まれてくる赤ちゃんに親としてどのように向き合い、接していくのか。高齢出産に限らず、パートナーと一緒に考え、最良の選択をしたいですね。