「高齢出産はダウン症の赤ちゃんが生まれる確率が高くなる」という話を聞いたことがある女性は多いと思います。では、30歳と35歳ではその確率がどの程度違うかご存じですか?誰もがダウン症の赤ちゃんを授かる可能性があるからこそ、正しい知識を身につけることで、ダウン症の赤ちゃんとの向き合い方を考えるきっかけになります。そこで今回は、出産年齢別でのダウン症の赤ちゃんが生まれる確率や、その確率が下がることはあるのかについて説明します。
ダウン症とは?
ダウン症(ダウン症候群)は先天的な疾患で、遺伝に関わる染色体の異常によって起こります。
本来、染色体の数は2対23組、計46本あります。しかし、ダウン症の子供の染色体は21組目の染色体が1本多く、合計47本になっています。そのため、ダウン症は別名「21トリソミー」とも呼ばれています。
ダウン症の子供には以下のような共通した特徴が見られます(※1)。
● 体が柔らかい
● 丸く起伏が少ない顔
● 目の端のつり上がり
● 小さめの耳
● 精神運動発達遅滞
さらに、ダウン症の子供はいろいろな合併症を持つことが多くあります。具体的には約半数のダウン症の子供は先天的な心疾患があります。同じく半数近くの子供に難聴や乱視・遠視などの目の異常が見られます(※2)。
ダウン症になる確率は?年齢別だと?
では、ダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率はどの程度なのでしょうか?
ダウン症の赤ちゃんを妊娠する確率は主に以下の要因によって変わるとされています。
● 出産時の母親の年齢
● ダウン症の子供を出産した経験の有無
● 親族にダウン症の人がいるか
以下でこれら3つについて説明します。
出産時の母親の年齢ごとのダウン症の赤ちゃんが生まれる確率
ダウン症の赤ちゃんが生まれてくる確率は、600〜700人に1人とされています。ただし、この確率は全体の平均です。出産するときの年齢が高くなるほどダウン症の赤ちゃんが生まれる確率も高くなることが知られており、35歳以上では338人に1人以上の確率となります。
20歳から45歳までの、各年齢におけるダウン症の赤ちゃんが生まれてくる確率は以下の通りです(※2)。
出産時の 母親の年齢 |
ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率 |
20歳 | 1,441人に1人 |
25歳 | 1,383人に1人 |
30歳 | 959人に1人 |
35歳 | 338人に1人 |
36歳 | 259人に1人 |
37歳 | 201人に1人 |
38歳 | 162人に1人 |
39歳 | 113人に1人 |
40歳 | 84人に1人 |
41歳 | 69人に1人 |
42歳 | 52人に1人 |
43歳 | 37人に1人 |
44歳 | 38人に1人 |
45歳 | 30人に1人 |
ダウン症の赤ちゃんを産んだ女性が再びダウン症の赤ちゃんを産む確率
ダウン症には、ダウン症の赤ちゃんを出産した経験があると、その次に生まれてくる赤ちゃんもダウン症である可能性が高まるという特徴があります。
例えば30歳未満の女性のうち、ダウン症の赤ちゃんを産んだことがある人はそうでない人に比べて、再びダウン症の赤ちゃんを産む確率が8.2倍になります(※2)。
親族にダウン症の人がいるときのダウン症の赤ちゃんを産む確率
ダウン症は遺伝子に関する病気のため、親族にダウン症の人がいる場合といない場合でも、ダウン症の赤ちゃんが生まれてくる確率が変わります。
具体的には、親族にダウン症の人がいる場合、ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率は約1%、つまり約100人に1人となります(※2)。
ダウン症は予防できるの?
ダウン症の赤ちゃんの妊娠を予防する方法はありません。
なお現在は、「出生前診断」により、お腹の中の赤ちゃんが染色体異常を持っているか調べることができます。検査を受ければ、出産前にダウン症や13トリソミー、18トリソミーなどの赤ちゃんの染色体異常について知ることができます(※2)。
しかし、この出生前診断の目的は「染色体異常や遺伝性の病気にかかっている赤ちゃんの予後を向上すること」だと日本産科婦人科学会は提唱しています(※3)。染色体異常のある赤ちゃんを授かった場合、産後の生活や子育ての心の準備をするために役立つ検査だと考えられます。
ダウン症の確率はあくまでも判断材料の一つ
これから子供を作ろうと考えている女性や妊娠中の女性がダウン症のことを考えて不安になってしまうこともあるかもしれません。
出産時の年齢ごとにダウン症の確率は異なりますが、誰でもダウン症の赤ちゃんを妊娠する可能性があります。これから出会う赤ちゃんに親としてどのように接していくのか、パートナーとよく話し合って、妊娠や出産に向き合えるといいですね。