「ダウン症」という言葉は、多くの人が一度は聞いたことがあるかと思います。しかし、具体的にどんな疾患であるのかご存じですか?ダウン症はどの赤ちゃんにも発症する可能性があり、知識をつけることで、ダウン症との向き合い方を考えるきっかけになります。今回はダウン症の原因や症状、診断方法、治療法などについてもご紹介します。
ダウン症とは?

ダウン症は、正式には「ダウン症候群」といい、遺伝に関わる情報を持つ染色体の異常によって起こる、先天的な疾患です。
通常、染色体の数は46本ですが、ダウン症の子供の染色体は、1本多い47本になっています。2対で23組あるうちの21組目の染色体が1本多くなっていることから、ダウン症は「21トリソミー」とも呼ばれています。
ダウン症の子供が生まれる確率は、全出生で見ると約800人に1人の割合です。ただし、高齢出産になるほど発症率は高くなり、20歳の出産であれば約2,000人に1人であるのに対して、40歳の出産では約100人に1人になります(※1)。
ダウン症の原因は?

ダウン症は染色体異常によって起きるのですが、何が原因で染色体異常が起きるのかは明らかになっていません。
母体が高齢になるほど発症しやすいことから、卵子や精子の細胞分裂の異常、老化なども原因として考えられていますが、まだ医学的にはっきりしていないのが現状です。
ダウン症の症状は?

ダウン症の子供には、いくつかの共通した特徴があります。新生児期の特徴には、「おとなしい」「あまり泣かない」「体がふにゃふにゃで柔らかい」「おっぱいの飲みが悪い」などがあります(※1)。
そして、成長するにつれて、以下のような外見上の特徴も目立ち始めます(※2,3)。
・目尻がつり上がっている
・顔が丸くて平坦
・鼻が低い
・耳が小さい
・耳が変形している
・口角が下を向いている
・後頭部が平ら
・手の指が少し短くて、指の関節が1つ少ない
他には、ダウン症の新生児の約40~50%に先天性心臓疾患、約60%に先天性白内障や緑内障などの眼障害が見られます(※1)。また、ダウン症のない子供に比べて、運動機能や言語機能の発達は遅くなるので、早期のうちからリハビリなどの療育を開始し、時間をかけてサポートしていく必要があります。
ダウン症の診断方法は?

生まれた赤ちゃんにダウン症の可能性があるかどうかは、医師が身体的特徴を見ることで、ある程度見当がつきます。
一般的に、ダウン症が疑われる場合は、血液検査による遺伝子検査で確定診断を行います。現在は出生前診断の技術が発達して、出産前の妊娠段階でも、血液や羊水を採取して赤ちゃんがダウン症かどうかを調べることができます。
ダウン症の治療法は?

ダウン症には、根本的な治療法はありません。ただ、ダウン症児のなかには、先天性の心臓疾患や眼障害を持っている子供もいるので、先天的な異常が見られる場合は、その治療にあたります。
ダウン症の子供は一般的に免疫力が弱いため、病気にかかりやすくなっています。体調を崩したときに、すぐに対応してもらえるように、自宅近辺でかかりつけの医師を見つけておきましょう。予防接種は、通常どおり受けられます。
ダウン症児は発育が遅れがちなので、早い時期から療育機関に相談し、リハビリテーションなどの訓練を受けさせていくことが、子供の健やかな成長をサポートします(※2)。
ダウン症の子供の成長をみんなでサポート
子供がダウン症だった場合、きちんと育てられるか戸惑ってしまうこともあるかもしれません。ときには、子供の将来に不安を感じることもあるでしょう。
しかし、特別支援学校や職業訓練の場、成人後の生活介護など、ダウン症児の成長をサポートしてくれるところはたくさんあります。不安はあるかと思いますが、ダウン症もひとつの個性だと捉え、子供としっかり向き合ってあげてください。
地域によっては自治体で行う療育相談や、ダウン症を持つ親の会もあるので、積極的に足を運んで、先輩ママやパパの話を聞いてみるのも良いかもしれません。一人で悩まず、周りの力も借りながら、子供の成長を支えていきましょう。