マイコプラズマ肺炎は、長く続く咳が特徴的な病気です。しかし他にもさまざまな症状があり、鼻水が出ることもあります。今回はマイコプラズマ肺炎にかかったときの鼻水について、対処法や気をつけるべきことなどをご紹介します。
マイコプラズマ肺炎とは?
マイコプラズマ肺炎は「肺炎マイコプラズマ」という細菌が感染することにより起こる病気で、14歳以下が患者の80%を占めています(※1)。
肺炎マイコプラズマは、5歳までに65%が感染します(※2)。また大人はほぼ全員(97%)が感染した経験を持っています。感染で得られた免疫は一生続くことはなく、大人の場合は4~7年おきに感染する可能性もあります。
ただし、肺炎マイコプラズマに感染したからといって、必ずマイコプラズマ肺炎になるわけではありません。肺炎マイコプラズマに感染した人のうち、マイコプラズマ肺炎になるのは、子供の10%、大人の2%ほどです(※2)。
マイコプラズマ肺炎は鼻水が出る?
マイコプラズマ肺炎にかかったとき、鼻水や鼻づまりが見られる場合もあります。
ただしこれらの症状は、マイコプラズマ肺炎にかかったら必ず見られるというわけではありません。マイコプラズマ肺炎にかかっても、鼻水がほとんど出ない人もいます。
また鼻水や鼻づまりは、大人や就学後の子供よりも、幼児に多く起こるという傾向があります。
マイコプラズマ肺炎の鼻水以外の症状は?
マイコプラズマ肺炎にかかったとき、鼻水以外にもさまざまな症状があらわれます。むしろ鼻水以外の方が主要な症状といえるでしょう。
一般的なマイコプラズマ肺炎の症状は、2~3週間の潜伏期間を経て、発熱や頭痛、全身のだるさから始まります(※3)。
その3~5日後からコンコンという乾いた咳が出始め、段々とひどくなっていきます(※3)。咳は解熱後も続き、次第にゴホゴホという痰が絡んだような咳に変わっていきます。
他にも、
● 呼吸時にゼイゼイ・ヒューヒューと音がする
● 声がかすれる
● 耳が痛む
● 喉が痛む
● お腹が痛む
● 胸が痛む
● 発疹が出る
などの症状が見られます。
マイコプラズマ肺炎は鼻水が止まらないこともある?
マイコプラズマ肺炎で鼻水が長く続くことは、あまりありません。鼻水が止まらないときには、副鼻腔炎を併発している可能性があります。
副鼻腔炎は、病原体である肺炎マイコプラズマが、肺だけでなく副鼻腔にも感染することによって起こります。副鼻腔炎になると、黄色い粘り気のある鼻水が出たり、鼻水から匂いがしたり、鼻水が止まらなくなったりします。
また鼻水が止まらないときは、マイコプラズマ肺炎ではなく、下記のような他の感染症にかかっている可能性も考えられます。
RSウイルス感染症
発熱や鼻水などのいわゆる風邪のような症状が数日間続いたあと、細気管支炎や肺炎を併発することがあります(※4)。
特に1歳未満で重症化することが多く、1歳以上の子供や大人がかかった場合は、いわゆる鼻風邪のような症状だけで治まることがほとんどです。
インフルエンザ
38度以上の発熱や頭痛、全身のだるさなどが突然起こったあと、咳や鼻水などが出始めます(※5)。
一般的な風邪の症状よりも、全身のつらさがひどいのが特徴です。
その他のウイルスや細菌によるかぜ症候群
鼻や喉に急性の炎症が起こった状態を、一般的にかぜ症候群と呼びます。
ウイルスや細菌が感染して起こるもので、その病原体はウイルスだけで200種類以上もあるため、免疫ができず、何度も感染を繰り返します。
マイコプラズマ肺炎の鼻水の対処法は?
マイコプラズマ肺炎にかかったときは、マクロライド系やニューキノロン系の抗生物質を使用して治療を行います(※4)。これにより、鼻水の症状も楽になることが多いものの、花粉症の薬として処方されることのある抗ヒスタミン・抗ロイコトリエン薬を使用することで改善されることがほとんどです。
また、鼻水でつらいときに家で行える対処法としては、
● 蒸しタオルで鼻をあたためる
● 上体をやや起こして寝る・横向きに寝る
● 部屋を加湿する
などがあります。
マイコプラズマ肺炎は鼻水でうつるの?
マイコプラズマ肺炎は、発症後1週間をピークとして、症状があらわれる2~8日前から発症後4~6週間にもわたり、病原体を排出します(※4)。つまり、その間に出る鼻水には、周囲の人にうつしてしまう感染力があるということです。
「解熱してひどい咳が治まればもう大丈夫」と考えてしまいがちですが、鼻水が出る限りは、周りの人に感染させてしまう可能性がゼロではないということを覚えておきましょう。
マイコプラズマ肺炎は鼻水にも要注意
鼻水はマイコプラズマ肺炎の顕著な症状ではないものの、鼻水を介して誰かにうつしてしまう可能性があるということは忘れないでください。
またマイコプラズマ肺炎は、最初の症状だけでは病名の特定が難しい病気です。病気の原因を自己判断すると、誤った対処を行ってしまうことにもなりかねないので、体調が悪いときは、病院を受診して判断してもらってくださいね。