キーン、ピー、ボー、ブーンなど音はさまざまですが、耳鳴りがして眠れなかったりストレスに感じた経験は、きっと大人なら一度くらいはあるのではないでしょうか。実は子供にも耳鳴りが起こります。自分に何が起こっているのか、症状を説明できないのが子供の辛さです。子供がその辛さを少しでも早く解消できるよう、耳鳴りのさまざまな原因と病院に行く目安をご説明します。
子供の耳鳴りは判断が難しい?
耳鳴りとは、何も音がしないはずの場所にいるのに「キーン」「ピー」「ボー」「ブーン」などと一定の音が聞こえる症状のことです。
ただし子供の場合、耳鳴りがしてもその状況をきちんと理解できず、ただ不機嫌になったり、元気がなくなったりしてしまいがちです。また子供が耳に違和感を覚えても、ママやパパに上手く言葉にして伝えることができない、ということもあるでしょう。
そのため、子供に耳鳴りが起きているかどうかをママ・パパが判断するのは難しいことがあります。
子供がやたらに耳を触ったり、頭を振ったりと、嫌がる素振りを見せたら耳鳴りの可能性があるので、様子をよく見ておきましょう。また言葉が理解できる年であれば、できるだけ簡単な言葉で今の状態を聞いてみてください。
子供の耳鳴りの原因は?
ここでは、子供が耳鳴りを訴えるときに、原因として考えられる病気を紹介します。
中耳炎
中耳炎は、生後半年から小学生低学年くらいまでの子供に多い耳の病気です(※1)。耳鳴りを引き起こすことがあります。
風邪から中耳炎を併発することが多く、鼻やのどについた風邪のウイルスや細菌が耳管を通って耳の中の粘膜に感染し、炎症を起こすパターンが多く見られます。
中耳炎は大人もかかりますが、子供のほうが耳管が太くて短いため、鼻やのどについたウイルスや細菌が中耳まで簡単に入り込み、発症しやすいとされています。以下のような症状や特徴があったら中耳炎が疑われます(※1)。
- 黄色い鼻水が出る(黄色い鼻水には細菌がたくさん含まれているため)
- 耳だれがある(耳からうみが出ている)
- 高熱が続く(39~40度の高熱が続く)
- 耳を触ることが多い
風邪だけでなくインフルエンザや肺炎でも中耳炎を併発しやすく、特にアレルギー性鼻炎のある子供は、風邪を引いたときに中耳炎を発症することがよくあります。
風邪を引くたびに中耳炎にかかってしまう子供もいるので、まずは風邪を引かないことと、風邪を引いたらたまった鼻水をこまめにとってあげるなどの対処が中耳炎の予防につながります。
外耳炎
耳の入り口から鼓膜までの外耳道の毛穴や傷から細菌が入り、炎症を起こす病気で、耳鳴りの原因になることがあります。子供の耳を引っ張ったり、耳に触れたりすると激しく痛がります。耳だれや耳から匂いがすることもあります。
突発性難聴
何らかの理由によって突発的に耳が聞こえなくなることがあります。その際、聴覚神経に異常が起きると、脳が間違った信号を送るため耳鳴りが起こるといわれます。
両耳が同時に突発性難聴になるということはあまりなく、片側の耳だけが突然聞こえなくなることが多いようです。
子供が顔の向きによって声を聞き取りにくそうにしていたら、突発性難聴の可能性もあります。早期の治療が望ましいので、できるだけ早く耳鼻科を受診しましょう。
子供の耳鳴りはストレスでも起きる?
子供の耳鳴りは、病気の他にストレスが原因になっていることもあります。
子供は案外周りに気を使っています。子供が耳鳴りを訴えていたら、今の生活を振り返ってみましょう。新しい環境になった直後や、ママやパパが忙しくて子供をかまってあげられない、といった状況ではないでしょうか?
もし、ストレスがかかっているような生活を送っていたとしたら、その負荷が耳鳴りという症状になって子供にあらわれているのかもしれません。
また音楽イベントなど、非常に大きな音が聞こえてくる環境に1時間以上いたあとは、耳鳴りがしばらくするということも十分考えられます。このほか、睡眠時間の短さなどからくる疲れなども、耳鳴りの原因になりえます。
子供の耳鳴りで病院に行く目安は?
子供が耳鳴りを訴えているだけであれば、病院を受診する必要はなく、しばらく様子を見てあげましょう。
もし耳鳴り以外に上述のような病気の症状が見られ、テレビの音量を上げたり、何度も聞き返されて会話が困難になるなどの日常生活に支障があったりしたら、小児科や耳鼻科で診てもらってください。
外耳炎の場合、軽度であれば消毒や飲み薬で治ります。
中耳炎であれば、3~4日ほどで自然治癒する場合もありますが、悪化すると膿が溜まってしまい、鼓膜を切開して膿を出さなければいけないこともあります(※1)。
鼓膜はすぐに再生されるので耳が聞こえなくなることはありませんが、きちんと治さないと耳の粘膜から出た滲出液が中耳にたまり、滲出性中耳炎になってしまいます。
前にも触れましたが、滲出性中耳炎になると突発性難聴になる可能性もあります。できるだけ早めに対処してあげたいですね。
子供の耳鳴りは早めに原因を突き止めよう
もし子供が正確に症状を説明できたとしても、耳鳴りの原因をすぐに特定するのは簡単なことではありません。
耳だれのような目に見える症状があれば判断しやすいものの、最初は病院に連れていっていいものか、連れていくとしたら何科なのかもわからずに、あたふたしてしまうかもしれませんね。
一番辛いのは子供なので、耳を痛がっていたり、嫌がっている様子を見つけたら、話を聞いたり耳の状態を確認して、早めに耳鳴りの原因を突き止めましょう。それにあわせて適切な対処をしてあげてくださいね。