インフルエンザの鼻水が止まらない!色は透明?出ないこともある?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

冬に流行することが多く、一気に感染が広がってしまうインフルエンザ。インフルエンザといえば高熱が出るというイメージがある人も多いかと思いますが、それ以外にもさまざまな症状があります。今回は、インフルエンザにかかったときに出る鼻水について、色は透明なのか、止まらないときはどうすべきか、出ないこともあるのかなどについてご紹介します。

インフルエンザとは?

インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染により起こる病気です。

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があり、特にA型は抗原変異によって新しい派生型が生まれやすいという特徴があります。

2009年~2010年に世界的に大流行した新型インフルエンザ(A/H1N1 2009pdm)は、それまで見られなかった新しい派生型のウイルスが病原体で、その後も1~2年を周期として流行を繰り返しています(※1)。一方、C型は発病しても症状が軽く、流行することはほとんどありません。

インフルエンザの症状は、ウイルスに感染してから48~72時間の潜伏期間を経て、熱が急激に上昇することから始まるものがほとんどです。多くの場合、発熱は2~5日間続きます(※1)。

その後、筋肉痛や全身の倦怠感、頭痛、関節痛、腰痛などが起こります。

インフルエンザは鼻水が出る?出ない?

子供 鼻水 鼻をかむ 風邪

前述の症状以外にも、インフルエンザは咳やくしゃみといった、いわゆる一般的な風邪のような症状があらわれることも多くあります。鼻水も、インフルエンザ症状のひとつです。

ただし、インフルエンザになると必ず鼻水が伴うというわけではなく、鼻水が出ることもあれば、出ないこともあります。

病原体の型によって差が若干あるものの、鼻水は、発熱の1~2日後に発症する傾向があります(※1)。また、鼻水が症状として出やすいのは、アレルギー疾患を持っている人(アレルギー性鼻炎、喘息など)です。

インフルエンザの鼻水の色は透明?黄色や緑色のこともあるの?

黄色 液体

インフルエンザで出る鼻水は、他の病気で出る鼻水と基本的には変わりません。最初は透明でさらさらとした鼻水が出て、時間が経つにつれて黄色や緑色のねばっとした鼻水に変わります。

時間が経つにつれて色がつくのは、鼻水にウイルスと戦った白血球の死骸が含まれているためで、体がインフルエンザウイルスと戦っている証拠です。

インフルエンザの鼻水は止まらないことも?

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インフルエンザの熱が下がっても、鼻水が残り、なかなか止まらないこともあります。

インフルエンザの鼻水がなかなか止まらないときは、インフルエンザから以下の病気を引き起こしている可能性もあります。

肺炎、気管支炎

インフォグラフィック 肺胞 細気管支

インフルエンザウイルスが肺や気道に感染すると、肺炎や気管支炎を併発することがあります(※2)。鼻水だけでなく咳や発熱も続く場合は、肺炎や気管支炎の疑いがあるので、再度病院で診てもらった方がいいでしょう。

副鼻腔炎

インフォグラフィック 副鼻腔

鼻腔の周りには、前頭洞、上顎洞などの副鼻腔があります。この副鼻腔にウイルスが感染したことがきっかけとなり、他の菌も感染して炎症が起こると、黄色くて粘り気のある鼻水が出たり、鼻づまりが見られたり、鼻水がのどにつまって咳が出たりすることがあります。

急性副鼻腔炎の場合は1~2週間で治ることが多いものの、放置すると慢性化してなかなか治らないこともあります(※3)。治療は鼻水の吸引や、抗生物質などの薬を副鼻腔に送り込む方法などがあります。

インフルエンザの鼻水は薬で治せる?

医薬品 治療 

インフルエンザの鼻水を止めたい場合は、自己判断で市販の風邪薬などを使ってはいけません。それは、市販の風邪薬に、インフルエンザにかかったときには使用を避けるべき成分が含まれている可能性があるからです。

インフルエンザのときは、サリチル酸系医薬品やジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸といった成分が含まれた薬を服用することはできません(※2)。

これらを服用することにより、インフルエンザ脳症やライ症候群という重い病気を引き起こす可能性が指摘されているためです。

インフルエンザの鼻水で夜眠れない、日中もくしゃみが続くなど、生活に支障があり内服薬による治療を希望する場合は、医師に相談のうえ、適切な薬を処方してもらいましょう。

インフルエンザの鼻水には感染力があるの?

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インフルエンザは、大人の場合は症状が出る前日から発病後5日まで、子供の場合は発病の数日前から10日以上にわたりウイルスを保菌しています(※2)。たとえ熱が下がったとしても、鼻水にはウイルスが含まれており、感染力が残っていると考えたほうがいいでしょう。

インフルエンザにかかった人の鼻水が服などに付いたら、その場所には触れず洗濯するように心がけましょう。

なお、インフルエンザはその感染力の強さから、出席停止期間が定められており、発症後5日、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで学校や保育園・幼稚園に行ってはいけないと定められています(※2)。

赤ちゃんや子供のインフルエンザの鼻水が、長引くときは要注意

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インフルエンザの鼻水は、解熱後もしばらく続くことがあります。それ自体を心配しすぎる必要はありませんが、鼻水によって日常生活がつらい場合は、病院を再度受診した方がいいでしょう。

また、鼻水が出ている間は周りにインフルエンザをうつしてしまう可能性があるので、鼻をかんだティッシュは捨て方に注意して、感染を広げないようにしましょう。

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