副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎がなかなか治まらず、長期間にわたって続くと、良性の腫瘍である「鼻茸」ができることがあります。鼻茸の治療法の一つとして、切除手術があるのですが、どういった場合に手術しなければならないのでしょうか?今回は鼻茸の手術について、方法や術後の過ごし方、費用などをご紹介します。
鼻茸とは?
鼻茸とは、副鼻腔(鼻の奥にある空間)にできる良性の腫瘍で、正式名称は「鼻ポリープ」です。鼻の粘膜がふくらんでキノコのような形になることから、「鼻茸」と呼ばれています。
鼻茸を引き起こす原因は色々ありますが、副鼻腔炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎になって、鼻の粘膜が長期的に刺激を受け続けることで、粘膜から生じるのが一般的です。
鼻茸は一つだけできることもあれば、複数できることもあります。大きさはそれぞれ異なり、大きいものだと、鼻の形が変わったり、外から見ても分かったりします。
また、鼻茸が大きいと、空気の通り道が狭くなり、鼻づまりや嗅覚障害、頭痛、いびきといった症状が現れます(※1)。
鼻茸の治療には手術が必要なの?
鼻茸は良性であり、悪性の腫瘍ではないので、放置したとしても、ただちに命の危険があるということではありません。
しかし、大きくなってくると、嗅覚障害を引き起こしたり、鼻の形を変形させたりすることがあるため、きちんとした治療を受ける必要があります。
鼻茸の治療は、症状が軽度であれば、抗アレルギー薬の内服や、ステロイド薬の点鼻などで行います。
しかし、薬物療法でも改善が見られない場合や、日常生活に支障があるほど大きくなっている場合には、手術で取り除くことを考える必要があります。
鼻茸の手術では何をするの?
鼻茸の手術では、鼻茸を切除することになります。
鼻茸の切除手術では、最初に、麻酔薬を浸したガーゼを鼻に入れて、鼻の局所麻酔を行います。その後、鼻の血管を傷つけないように注意しながら、内視鏡やマイクロデブリッターと呼ばれる器具を使って、鼻茸を除去します。
鼻茸を切除すると出血を伴うので、切除した部分をレーザーや電気凝固で処理して、出血を防ぎます。
鼻茸の手術後の過ごし方は?日帰りできる?
手術当日は麻酔が切れると、少し痛みを感じることもありますが、徐々に落ち着いてきます。痛みが強いようであれば、痛み止めを処方してもらいましょう。
手術後数日は鼻の中にガーゼを詰めた状態になりますが、一般的には1週間ほどですべてのガーゼを取り除きます。
手術に要する時間は30分~1時間ほどで、基本的には日帰りできます。ただし、症状が重い場合は、手術時間が長くなったり、入院が必要になったりすることもあるので注意してください。
鼻茸は手術によって除去しても、数ヶ月から数年後に再発することがあるので、医師と相談しながら長期的に経過観察していくことが大切です。
鼻茸の手術の費用は?
鼻茸の手術の費用は、医療機関や症状によって異なりますが、医療保険が適用されて3割の自己負担となった場合、費用の相場は4,000円~15,000円です。
ただし、この金額は片方の鼻の手術費用なので、もし両方の鼻に鼻茸ができていたら、これの倍ほどの金額になります。
また、手術後は鼻のガーゼを取り除いたり、鼻の中を清掃したりといった処置が必要になるので、通院費用が発生することも頭に入れておきましょう。
鼻茸の手術を行う際は子供の心のケアを
鼻茸を切除する手術は、命に関わるような危険なものではないとはいえ、鼻に器具を入れて行われることを考えると、子供にとっては大きな不安を感じる手術です。
子供でも分かるように手術内容を説明してあげたり、子供の不安な気持ちを聞いてあげたりして、子供の心のケアを行ってください。
手術は肉体的にも精神的にも大変ですが、ママやパパがしっかりサポートして、子供が安心して手術を受けられるようにしてあげましょう。また、再発を防ぐためにも、普段から鼻づまりを放っておかないように心がけることも大切です。