夜中に赤ちゃんがひどく咳き込むことはありませんか?「日中よりも夜中の咳がひどくてつらそう…」と心配になったり、寝ながら苦しそうに咳き込む姿を見ていて何とかしてあげたくなったりしますよね。今回は、夜中に赤ちゃんが咳き込む原因や対処法、病院に行く目安についてご紹介します。
赤ちゃんが夜中に咳き込む理由は?
赤ちゃんの咳や鼻づまりが、昼間よりも夜中のほうがひどくなるのは、夜間に活発になる副交感神経の働きが関係しています。
副交感神経は自律神経の一部で緊張をほぐす役割がありますが、その際に喉や気管支、鼻腔などの粘膜の緊張も一緒に緩ませてしまい、気管支の動きが低下して咳を助長してしまうと考えられています。
昼間は緊張で抑えられていた咳や鼻水が出やすくなり、さらに寝ているときは鼻水が喉のほうへ流れていきやすく、喉が刺激されて咳がひどくなることもあります。また、気管支の緊張が緩むと鼻水が流れたり、痰を排出しにくくなったりして、喉に痰がからんで咳き込む一因にもなります。
気圧・気温も低い夜中は、日中よりも赤ちゃんが無理に鼻呼吸をしようとすることがありますが、その結果、呼吸器へ負担がかかり、咳が出やすくなってしまうこともあるようです。
こうした理由から、特に風邪などを引いていなくても、赤ちゃんは夜中に咳き込みやすいとされています。
赤ちゃんの咳き込みで注意すべき病気は?
赤ちゃんは夜中に咳が出やすくなるものですが、咳が長引いたり、呼吸困難になったりした場合は、以下のような病気の可能性があります。咳の状況も含めて、気にかけてあげましょう。
肺炎
肺炎とはその名の通り、肺に炎症が起きた状態で、発熱、咳、呼吸困難などの症状があります(※1)。発熱が数日続き、咳で眠れない・全身を使って呼吸している場合は肺炎の可能性もあるため、熱が続くようなら早い段階で小児科を受診しましょう。
主な原因はウイルスですが、細菌(マイコプラズマを含む)の感染も合併していることがあります。基本的な治療法としては、軽症であれば抗菌薬の投与で治ります。それでも効果が見られないと、入院して点滴での治療が必要となります。
細気管支炎
気管支の奥にある細気管支という部分で炎症が起こった状態で、咳、痰、鼻水などの風邪の初期症状で始まり、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘息のような音が出ます。原因はウイルス感染であり、乳幼児の多くはRSウイルスへの感染によるものといわれています(※1)。
RSウイルスは近年では夏季より流行が始まり、12月くらいまで流行することが多いようです。重症化しないように注意しましょう。
小児気管支喘息
呼吸するときにゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴が聞こえるときは、小児気管支喘息の疑いがあります(※1)。多くはアレルギーによるものですが、寒暖差、受動喫煙などの様々な要因があります。
原因となるアレルゲン(ダニ、カビ、ホコリなど)を、こまめな掃除で取り除くことが大切です。布団にはアレルゲンが多く存在するため、定期的に干す、あるいはふとんクリーナーや掃除機の使用をおすすめします。
喘息は、気温・気圧が低い夜間によく症状が見られます。咳・呼吸が苦しくて眠れないようであれば小児科の受診をおすすめします。
百日咳
百日咳は、百日咳菌に感染して起こる病気です。初期症状は、咳、鼻水、くしゃみなど風邪と変わらないので気がつきにくいのですが、咳が長く続くときには小児科を受診し、抗菌薬にて対処しましょう。
とくに四種混合ワクチンを接種する前の乳児では、顔を赤くするなどのせき込み、ヒューという吸い込みがあるのが特徴です(※1)。
副鼻腔炎
副鼻腔にウイルスが感染し、炎症が起こる病気です(※1)。鼻水が多く、鼻づまりを起こし、咳もたんが絡んだような湿った咳になることがあります。中耳炎も併発することがあるため、耳鼻科や小児科を受診して、耳も診察してもらうようにしましょう。
クループ症候群(喉頭炎)
乳幼児がかかりやすい病気の一つに、のど(喉頭)の炎症であるクループ症候群という病気があります。ケンケンと犬が吠えるような咳、息を吸うときの喘鳴が特徴です(※1)。
特に気温・気圧が低下する夜、低年齢の子供に起きやすいとされ、呼吸困難になることもある危険な病気です。特徴的な咳や呼吸困難があり眠れないときには、夜中であっても病院の診察を受けるようにしましょう。
赤ちゃんの咳き込みで病院へ行く目安は?
大人だったら様子を見る咳であっても、赤ちゃんや新生児だと病院に連れて行くべきなのか迷うこともありますよね。特に、夜中に赤ちゃんが咳き込んだときには、時間外の救急外来へ行く必要があるか悩むことも。
次のような症状が見られたら、夜中であっても遠慮せずに病院へ連絡し、受診するようにしましょう。
● ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴のある発作が聞こえる
● ケンケンといった、犬の遠吠えのような異常な咳が出ている
● 呼吸のたびに肋骨の間や鎖骨が凹むような呼吸困難に陥っている
● 酸素不足によって顔面が蒼白になっている
● 意識障害が出ている
比較的食欲もあるけれど咳が3日以上続いているといった状態であれば、上記の症状がなくても日中に小児科を一度受診することをおすすめします。
夜中に咳き込む赤ちゃんへの対処法は?
夜中に赤ちゃんが咳き込んだときは、いくつか対処法があります。
鼻づまりを解消する
第一に、鼻水を吸引してあげるのが肝心です。鼻づまりが解消されるだけで鼻呼吸がしやすくなるうえ、鼻水が喉に流れていかなくなるので咳がやわらぎます。また、頭から背中にかけてクッションなどを敷いて上半身を少し高くしてあげるだけでも、鼻の通りがよくなって効果的ですよ。
少し上半身を高くしても変化がなければ、お座りができる生後5~6ヶ月以降の赤ちゃんなら一度体を起こしてあげたり、生後3~4ヶ月未満の赤ちゃんなら縦抱きをしてあげたりすると、一時的に鼻の通りがよくなって寝つきもよくなりますよ。
蒸したタオルを鼻の根元にあててみるのも良いでしょう。
お湯を飲ませる
お茶や湯冷ましを少し飲ませてあげると痰が切れやすくなり、喉のイガイガ感が緩和されることがあります。1歳を過ぎているなら、粘膜の炎症を抑えるとされるはちみつを湯冷ましに混ぜると効果的ですよ。
「ヴイックスヴェポラッブ」を使う
塗る風邪薬の「ヴイックスヴェポラッブ」は夜中の咳に効果を発揮します。生後6ヶ月以上であれば使用できるので、用法用量を守って使用してください。
室内を加湿する
室内の空気が乾燥していると咳が出やすくなるので、加湿器を活用し、寝室の湿度は60~70%をキープしましょう。加湿器がない場合は、濡れタオルを寝室に干しておくだけでも効果がありますよ。
赤ちゃんが咳き込むときに市販薬を使ってもOK?
赤ちゃんが、夜中に乾いた咳で寝苦しそうなときには、咳止めシロップを利用して様子を見てみましょう。咳止めシロップには中毒性や依存性があるのでは、という意見もありますが、使用量や用法を守っている分には神経質になりすぎる必要はありませんよ。
ただし、咳は体に入ってしまったウイルスなどを外に吐き出すために起こっている症状なので、咳き込んだからといって無理に咳を止めてしまうと体調が悪化することもあります。使うタイミングや頻度には気をつけてください。
咳き込む赤ちゃんの不安を解消してあげよう
夜中に咳き込んで目を覚ました赤ちゃんは、不安を感じています。眠れないつらさと同時に、不安から泣いてしまうこともあるでしょう。そのため、赤ちゃんが咳き込んで起きてしまったときは、体をさすったり抱きしめたりして安心させることが大切です。
赤ちゃんが少しでも楽になるようにケアをしてあげてくださいね。