妊娠中、ひどい鼻づまりや鼻水に悩まされていたら、それは「妊娠性鼻炎」かもしれません。花粉症や風邪と勘違いしやすいのですが、妊娠したことがきっかけで鼻炎の症状が出やすくなることがあります。今回は妊娠性鼻炎について、原因や症状、鼻水が止まらないときの対処法などをご説明します。
妊娠性鼻炎とは?
妊娠性鼻炎とは、妊娠をきっかけに分泌が増える女性ホルモンの作用によって、鼻の粘膜が刺激され、主に鼻づまりなどの症状が現れるものです(※1)。
これまで鼻炎の症状がなかった人が突然発症することもあり、多くの妊婦さんが経験しています。もともと花粉症のようなアレルギー性鼻炎がある人は特に、鼻づまりだけでなく鼻水がひどくなる傾向にあります(※1)。
鼻水が出ると風邪の初期症状と勘違いしやすいのですが、妊娠性鼻炎の鼻水は水っぽく、サラサラしているのが特徴で、風邪のときの黄緑色のドロっとした鼻水とは異なります。
また、発熱など鼻づまりや鼻水以外の諸症状がなければ、妊娠性鼻炎である可能性があると考えられます。
妊娠性鼻炎の原因は?妊娠初期から起こる?
妊娠性鼻炎の主な原因は、妊娠によるホルモンバランスの変化だと考えられています。
女性ホルモンのうち、特にエストロゲンが鼻粘膜の血管や自律神経に働きかけ、鼻粘膜がうっ血状態になり、強い鼻づまりの症状が現れます(※1)。
妊娠性鼻炎が見られるのは、主に妊娠中期(妊娠5~7ヶ月)以降です。ただし、もともとアレルギー性鼻炎を持っている妊婦さんの場合、もっと早い時期から症状が悪化するケースもあります。また、出産後に発症することもあります(※1)。
妊娠性鼻炎の対処法は?鼻水が止まらないときはどうする?
妊娠中の鼻水や鼻づまりがつらく、少しでも改善したいときは、以下の方法を試してみてください。
鼻をあたためる
鼻水や鼻づまりをやわらげるには、鼻を温めて血行を良くするのが効果的です。
横になって蒸しタオルを鼻の付け根に乗せたり、湯船にゆっくりとつかったりするのがおすすめです。スチーマーや加湿器を使って部屋の中をあたたかい蒸気で満たすのも効果的です。
鼻うがい
水を鼻から吸って口から出す「鼻うがい」をすると、鼻づまりが解消されることもあります。
ただし、適度に鼻うがいをしないと鼻の粘膜を傷つける恐れもあるので、やりすぎには注意してください。
鼻拡張テープ
「鼻拡張テープ」を貼ると鼻の通りがよくなって、鼻づまりや鼻水が治まりやすくなります。貼ったままで効果を発揮するので、睡眠中に鼻呼吸をしづらくて困っている妊婦さんにも効果的です。
妊娠中は肌が敏感になる人も多いので、テープを貼った箇所にかゆみやひりつきを感じたら、使用を中止しましょう。
妊娠性鼻炎で病院に行くべき?
妊娠性鼻炎は妊娠に伴う生理現象ではありますが、「鼻水が数週間続く」「鼻づまりが気になって眠りが浅くなる・眠れない」など症状がひどいときは、かかりつけの産婦人科へ相談しましょう。場合によっては、耳鼻咽喉科の受診を勧められるかもしれません。
日常生活に支障をきたすほど症状が強いようなら、妊娠中でも安全に使える薬を処方してもらえることもあります。
もともとアレルギー性鼻炎の点鼻薬を使っている人もいるかもしれませんが、妊娠中の薬の服用は、胎児への影響を考えて慎重になる必要があります。自己判断で市販薬を使ったりせず、必ず医師や薬剤師に相談してくださいね。
妊娠中のマイナートラブルを1人で抱え込むとストレスになってしまうこともあるので、つらいときは早めに病院で相談して処置をしてもらいましょう。
妊娠性鼻炎は予防できるの?
妊娠中のホルモンバランスの変化が原因で引き起こされた鼻炎であれば、予防するのは難しいといえます。
ただし、鼻の粘膜に刺激があると鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状が出やすくなるので、刺激を与えないように注意することで症状を和らげることができるかもしれません。
特にアレルギー性鼻炎をもっている人は、チリやホコリといったハウスダスト、花粉、動物の毛などの影響で鼻水や鼻づまりがひどくなることがあるので、できるだけ吸い込まないような工夫をしてみましょう。
外に出るときはマスクを着用し、帰宅時には手や顔を洗って花粉などを落としてください。家のなかでは空気清浄機を使ってハウスダストが飛び回らないようにしておくことも大切です。
妊娠性鼻炎がつらいときは医師に相談を
妊娠性鼻炎は、妊娠に伴うマイナートラブルの一つであり、お腹の赤ちゃんに直接的な影響を与えることはありませんが、日常生活に支障をきたすほど症状が出てしまうとつらいですね。
女性ホルモンの作用が原因と考えられ、根本的に予防・治療できるものではありませんが、かかりつけの産婦人科医に相談したり、蒸しタオルなどで症状をやわらげながら、上手に付き合っていけるといいですね。