「マイコプラズマ肺炎はなかなか咳が治らない病気」というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。事実、マイコプラズマ肺炎は、発熱や喉の痛みも起こるものの、咳がもっとも顕著な症状としてあらわれる病気で、長期間続く咳につらい思いをすることも多くあります。今回はマイコプラズマ肺炎で出る咳について、いつまで続くのか、症状が咳だけのこともあるのか、咳止めは効くのかなどをご紹介します。
マイコプラズマ肺炎とは?
「肺炎マイコプラズマ」という細菌が引き起こす様々な症状を総称して「マイコプラズマ感染症」といいます。「マイコプラズマ肺炎」は、そのなかでも肺に炎症が起こった状態のことを指します。
肺炎マイコプラズマには、5歳までに65%の子供が一度は感染するといわれており、感染することは決して珍しくありません(※1)。しかし、5歳未満の子供が感染すると、症状が軽いか、症状が何も見られずに治まることが多く、感染していることに気がつかないこともあります。
肺炎マイコプラズマに感染した子供のうち、10%が肺炎にかかります(※1)。5~35歳に起こる肺炎の大部分が、マイコプラズマ肺炎です。
マイコプラズマ肺炎の咳の特徴は?
マイコプラズマ肺炎は、多くの場合2~3週間という比較的長い潜伏期間を経て、発熱や頭痛から始まります(※1)。発熱は3~4日ほど続き、その間に咳が出始めます。
咳は最初、「コンコン」というような乾いた咳ですが、次第に「ゴホゴホ」という、痰が絡んだ湿った咳に変わっていきます。また、痰には血が混ざることもあります。
マイコプラズマ肺炎は咳なし、咳だけのこともあるの?
マイコプラズマ肺炎で咳が出ないことはほぼありません。しかし、発症したばかりの頃は咳が出ないのが一般的です。
また、咳しか出ずに発熱があまりないときは、マイコプラズマ肺炎より全体的に症状が軽い「マイコプラズマ気管支炎」かもしれません。
マイコプラズマ気管支炎の場合も、重症化するとマイコプラズマ肺炎になる可能性があるので、注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎の咳はいつまで続く?
マイコプラズマ肺炎は2~3日で治ってしまうことが多いものの、1ヶ月以上治らない場合もあります(※1)。発熱後もなかなか治らない咳に悩まされてしまうのが、マイコプラズマ肺炎の特徴です。
一般的に、一番咳がひどいのは2週目で、4週間以上続くこともあります(※1)。
マイコプラズマ肺炎の咳にはいつまで感染力がある?
マイコプラズマ肺炎は、症状が始まる2~8日前からウイルスの排出が始まります(※2)。発症したときをピークとしてその後1週間は高いレベルの排出が続き、排出しなくなるまで4~6週間かかることもあります。
つまり、マイコプラズマ肺炎の咳がもっとも高い感染力を持つのは発症から1週間で、それ以降も、少ないながら感染力があります。
「熱が下がったからもう誰かにうつす心配はない」と思わず、咳が出ている間はできる限りマスクをして、周囲の人にうつさないように気をつけることが大切です。
マイコプラズマ肺炎は咳止めで治せる?
マイコプラズマ肺炎にかかると、咳止めが処方されることもあるものの、治療には抗生物質が使用されることがほとんどです。
マクロライド系の抗生物質のほか、エリスロマイシン、テトラサイクリン、オゼックスといった抗生物質が使われることもあります(※1,3)。
マクロライド系の抗生物質のほか、エリスロマイシン、テトラサイクリンといった抗生物質が使われることもあります(※1)。
抗生物質を服用することにより症状が出る期間を短縮し、発熱や咳が治まるのを早める効果が期待できます。
しかし、抗生物質はマイコプラズマの増殖を抑えることはできますが、咳をおさえることはできないため、服用しても、周りにうつす感染力は完全にはなくなりません(※1)。服用後も、周りにうつさないように配慮しましょう。
また、咳や喉のつらさを和らげるためには、咳止めを使用する以外にも、部屋の湿度を高く保ったり、喉や咳の症状を改善できるといわれる「はちみつ大根」を飲んだりするのもおすすめです。
マイコプラズマ肺炎の咳は油断大敵
マイコプラズマ肺炎の症状で一番大変なのが、長く続き、しかも次第に悪化することが多い「咳」です。本人がつらいだけでなく、咳によって周りにうつしてしまう可能性も十分にあるので、感染を広げないための対策も重要ですよ。
家族の誰かがマイコプラズマ肺炎にかかってしまったときは、家庭内で感染が広がらないように、家のなかでもマスクをしたり、手洗いを頻繁に行ったりと、徹底的に対策を行いましょう。