アデノウイルスは、感染すると発熱などの風邪のような症状だけでなく、目の充血やかゆみ、下痢、発疹など、さまざまな症状があらわれる病原体です。今回はアデノウイルスに子供が感染した場合、どんなときに出席停止になるのか、学校に通えるのはいつからか、その際は登校許可が必要かなどをご紹介します。
アデノウイルスとは?
アデノウイルスは、鼻水や咳などの「かぜ症候群」を引き起こす主要なウイルスの一つです。多くの血清型があるため、一度感染しても免疫ができず、何度も感染を繰り返します。
アデノウイルスの感染によってさまざまな症状があらわれることを「アデノウイルス感染症」といいます。
アデノウイルス感染症には、以下のような症状があります(※1)。
● 咳や鼻水、のどの痛み、発熱(鼻炎、咽頭炎、扁桃炎によるもの)
● 目の充血やかゆみ、まぶたの腫れ(結膜炎によるもの)
● 下痢や腹痛、嘔吐(胃腸炎によるもの)
● 血尿や排尿時の痛み(出血性膀胱炎によるもの)
● 激しい咳や呼吸のつらさ、長引く発熱(気管支炎、肺炎によるもの)
● 発疹
感染しても何の症状もあらわれないこともあれば、これらの症状がいくつも同時に起こることもあります。
また同じ血清型でも、人によってあらわれる症状が異なる場合もあります。例えばお兄ちゃんが風邪のような症状でも、お兄ちゃんからウイルスが感染した弟には結膜炎の症状があらわれる、というケースもありえます。
アデノウイルスは出席停止になるの?
上記の通り、アデノウイルスに感染するとさまざまな症状があらわれます。軽い風邪のような症状で、発熱も見られないときは、感染しても学校を休まずに通うことができます。
ただし、特定の症状があらわれた場合は、学校を出席停止になることが法律で定められています(※2)。
アデノウイルス感染症のなかで出席停止になるのは、以下の病気です。
咽頭結膜熱(プール熱)
咽頭結膜熱は、その名の通り、喉・目・熱の症状があらわれる病気です。夏期にプールで流行することが多いためにプール熱という名がつけられていますが、飛沫感染や接触感染でもうつります。
アデノウイルスに感染してから2~14日の潜伏期間を経て、39~40度の高熱や喉の痛み、頭痛、食欲不振などの症状が、3~7日ほど続きます(※2)。
目の症状としては、充血や目やに、涙目や流涙(涙が自然に出ること)などがあります。
症状があらわれた直後から数日の間に、特に多くウイルスを排出するため、強い感染力があります。
流行性角結膜炎(はやり目)
角膜炎と結膜炎の両方の症状があらわれることから、その名がつけられています。アデノウイルスの感染後2~14日の潜伏期間を経て、目の充血やまぶたの腫れ、目の異物感、流涙、目やになどの症状があらわれます(※2)。
咽頭結膜熱と同様、症状があらわれたあとから数日間が特にウイルスを多く排出します。
アデノウイルスの出席停止期間は?学校にはいつから通える?
前述のとおり、咽頭結膜熱と流行性角結膜炎にかかったら、学校に登校することはできません。その期間は、以下のように定められています(※2)。
● 咽頭結膜熱:発熱、咽頭炎、結膜炎などの症状が治まったあと2日を経過する(治まったあと3日後)まで。目安としては、解熱してから2日間は休む必要があります。
● 流行性角結膜炎:医師が感染の恐れがないと認めるまで。
流行性角結膜炎の場合、登校できるかの基準は「目の症状」ではなく「感染の恐れがないこと」であることに注意してください。
目の症状が良くなったと本人やママ・パパが思っても、医師が感染の恐れがあると認めた場合は、出席停止が解除されないということになります。
アデノウイルスの出席停止後は登校許可が必要なの?
アデノウイルスにより咽頭結膜熱や流行性角結膜炎を発症して、出席停止期間が終わったあとは、小学校や中学校から登校許可証の提出を求められることがあります。
登校許可証は法律で定められているものではなく、学校や自治体によってルールが異なります。
登校許可証の提出が必要ないこともあれば、医師のサインが必要な場合や、ママ・パパの自筆で構わない場合も。詳しくは通っている学校に確認してみてください。
アデノウイルスは出席停止になることも
アデノウイルスは、感染しても何も症状があらわれない、または軽い風邪のような症状だけで治まることも多い病原体です。しかし一方で、肺炎や気管支炎を引き起こしたり、発熱が続く咽頭結膜熱など、症状が重くなることもあります。
アデノウイルスは多くの場合、飛沫感染や接触感染でうつるので、日ごろの予防が一番重要です。
外から帰ってきたときには手洗いを欠かさない、タオルは家族でも共有しない、感染したらマスクをするなどの対策を行って、できるだけ感染しないように心がけましょう。