はやり目の症状は?子供がかかったら出席停止になるの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

夏は、子供たちが大好きなプールの季節。しかし、プールが「はやり目(流行性角結膜炎)」の感染経路になるのをご存じですか?はやり目は、プールや顔を拭くタオル、洗面器を共有しただけでうつってしまう目の病気です。今回は、子供が感染しやすいはやり目(流行性角結膜炎)について、初期症状や原因、治療法、感染した場合に出席停止になるのかなどをご紹介します。

はやり目(流行性角結膜炎)とは?

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結膜とは、白目の表面を覆っている半透明の粘膜を指し、ここが炎症を起こすことを「結膜炎」と呼びます。その結膜炎の中でも問題になるのが、感染力の強い流行性角結膜炎です。

感染が流行しやすいことから「はやり目」とも呼ばれ、家庭内や学校、病院など集団生活の場で次から次へと感染が広がっていきます。特に1~5歳くらいまでの子供たちの間で流行しやすく、事前に症状や予防法を知っておくことで感染拡大を防ぐことができます(※1)。

はやり目(流行性角結膜炎)の原因は?

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はやり目の原因は、「アデノウイルス」という感染力の強いウイルスです。感染者が使ったタオルや洗面器、消毒が十分でないプールの水を介しても感染します(※2)。

はやり目を引き起こすアデノウイルスには8型、19型、37型など、いくつか種類があるので、型が違えば再感染する可能性もあります。大人も子供同様に症状が持続しやすいので、学校での感染情報には十分に注意してくださいね。

はやり目(流行性角結膜炎)の症状や感染期間は?

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アデノウイルスに感染すると、約7~10日間の潜伏期間を経て発症します(※3)。片目に発症した場合、数日以内にもう片方の目にも症状が出ることがあります。

はやり目にかかると、初期症状として結膜が充血し、涙や目やにがたくさん出ます。症状が重くなると、出てくる涙や目やにの量が多すぎて、目が開けられないことも。

アレルギー性結膜炎のようにかゆみはありませんが、目の中がゴロゴロするので痛みを感じます。

痛みを訴えられない月齢の低い子供の場合は、目の痛みから目をかゆそうにこすることもあります。また、目の周辺やあごの下あたりにあるリンパ節が腫れることがあるので、注意して見るようにしてください。

感染期間は、発症から約1週間を過ぎたあたりが症状のピークで、その後数日かけて消えていきます。ただし、炎症がひどかった場合は、黒目の表面に白い濁りが現れてしまい、濁りが消えるまでに数ヶ月かかることもあります。

はやり目(流行性角結膜炎)の診断方法は?

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はやり目の症状が出ているかは、眼科医師がまぶたの裏側などを見て診断します。これにより流行性角結膜炎にかかっている可能性があると判断された場合は、綿棒で結膜をこすり、アデノウイルスの有無を調べる検査を行います。

10分ほどで検査結果が分かりますが、陰性の結果が出ても、流行性角結膜炎の可能性を完全に否定することはできません。そのため引き続き、症状や経過を見ていきます。

はやり目(流行性角結膜炎)の治療法は?出席停止の期間は?

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はやり目には特効薬がないため、自然治癒するのを待つしかありません。そのため、子供が発症したら必ず眼科へ行き、処方された抗生剤の目薬や炎症を抑える目薬で対症療法をしてあげる必要があります。目薬を点眼しても、発病してから治るまで、2週間ほどかかることもあります(※2)。

はやり目は感染力が強く、二次感染防止を心がけることが大切です。はやり目は、溶連菌感染症などと同じく、学校保健安全法で第三種の感染症に指定されており、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」出席停止になることが定められています(※4)。

「眼病くらいで…」と思う人もいるかもしれませんが、他の子供たちにうつしてしまわないようにきちんと休ませてあげてくださいね。

はやり目(流行性角結膜炎)の予防法は?

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はやり目は手指を介して他人にうつることが多いので、感染予防のために手洗いをこまめに行いましょう。

感染した子供を看病する場合は家族内での感染を防ぐため、目やにはティッシュで拭いてすぐ捨てる、子供の目を触らない、触った場合は手を石鹸でしっかり洗うなど、感染経路を断つように徹底してください。

感染者と手拭きタオルを共有するのもNGです。別々のタオルを使用するか、できればペーパータオルを用意して、各自が自分の手だけを拭けるようにしておきましょう。

また、お風呂は感染者が最後に入るようにすることも感染予防につながります。

はやり目(流行性角結膜炎)は初期症状が出たらすぐに病院へ

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はやり目は、消毒の状況によってはプールの水を介して感染してしまうほど、感染力が非常に強い病気です。しかも、はやり目に感染すると、しばらくの間出席停止になってしまいます。

原因となるアデノウイルスには予防接種がないので、まずは感染しないように手洗いをこまめに行いましょう。

また、自分の子供に目の充血や目やになどの初期症状が見られたら、クラスや家庭のなかでの感染の拡大を防ぐ意味でも、はやめに眼科を受診させましょう。

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