妊娠初期のつわりの症状がひどいと、日常生活にも支障が出ることがあります。「歯磨き」もその一つ。妊娠中は虫歯になりやすいので歯のケアは欠かせませんが、つわりで歯磨きがつらくなったら、どうやって乗り切ればいいのでしょうか。今回は、つわりで歯磨きができないときの原因や対策をご紹介します。
そもそも、つわりとは?
つわりとは、主に妊娠初期に起こる不快症状のことです。代表的な症状には、吐き気、嘔吐、胃もたれ、眠気、怠さなどがあげられます。
また、あらゆるにおいに敏感になる、何かを口にしていないと気持ち悪くなる、味覚が変わる、といった症状が出る人もいます。
つわりのはっきりとした原因は解明されていませんが、妊娠によって体が急激に変化することが関係しているのではと考えられています。個人差があるものの、一般的に、妊娠5~6週頃から始まり、12~16週頃まで続きます(※1)。
症状の程度や時期も人によって違いますが、妊婦さんの約半数以上がつわりを経験するといわれています。
つわりで歯磨きができなくなるの?原因は?
つわり中に歯磨きがつらくなった、できなくなった、という妊婦さんは多くいます。
つわりによって吐き気の症状がひどくなると、口の中に歯ブラシを入れるだけで気持ち悪くなることがあります。
においに敏感になったり味覚が変化したりする妊婦さんは、歯磨き粉の味やにおいを受けつけなくなることも多いようです。
また、つわりの症状が特に重い場合は、ほとんど寝たきりの生活が続いて体力が落ちるため、歯磨きだけでなく、トイレや着替えといった日常生活のちょっとした行動さえもつらくなります。
つわりがそれほど重くない人でも、妊娠初期は倦怠感や疲労感が現れやすいため、歯磨きが億劫になることもあります。
つわり中に歯磨きできないと虫歯になる?
つわり中に歯磨きをするのがつらいからといって、歯磨きをしないでいると、虫歯菌が増えやすい状態になってしまいます。
虫歯菌は女性ホルモンを栄養として増殖するため、妊娠中はホルモンバランスが変化することで虫歯になりやすくなるといわれています。また、妊娠中は唾液の量が減るため、口内トラブルが起きやすい状態です。
さらに、食べつわりで食事の回数が多くなる妊婦さんは食事と食事の間隔が短くなるため、唾液での中和時間が足らず、虫歯が増えやすくなります。
妊娠中に虫歯になると治療が難しくなることもあるので、つわり中もしっかりケアをして虫歯予防することが大切です。
つわり中に歯磨きできないときの対策は?歯磨き粉を変えるといいの?
ここでは、つわりで歯磨きができないときにおすすめの対策法をご紹介します。いくつか試してみて、自分にあったものを見つけてくださいね。
体調の良い時間帯に歯磨きする
つわりの症状には波があることもあります。一日のなかで、つらい時間帯と比較的穏やかな時間がある人は、体調が良いタイミングに歯磨きをするようにしましょう。
症状がつらいときには無理して歯磨きをせず、口をゆすぐだけにしておきましょう。
歯磨き粉を変える
歯磨き粉の味や香りによって歯磨きができないときは、つわり中だけでも、自分が使えそうな歯磨き粉に変えてみましょう。味やにおいがマイルドな歯磨き粉がおすすめです。
刺激の少ない子供用の歯磨き粉を使ったら大丈夫だったという人もいるので、できるだけ香料の強くないものを選んでくださいね。
歯磨き粉をつけない、極少量にする
歯磨き粉を変えてみてもダメなら、歯磨き粉自体をつけずに歯ブラシだけで磨きましょう。歯磨き粉を使わなくても、歯ブラシでしっかりとブラッシングすれば虫歯予防の効果は得られますよ。
ヘッドが小さい歯ブラシに変える
歯ブラシが喉の周辺や舌に触れると吐き気をもよおすことがあるので、ヘッドが小さい歯ブラシに変えてみるのもおすすめです。
子供用の歯ブラシはヘッドが小さく、持ち手も短いので、好んで使う妊婦さんもいます。
奥から前へ磨く
歯を磨くときは、奥から前の方に汚れをかき出すように磨きましょう。口の奥に歯ブラシが当たると気持ち悪くなりやすいので、歯ブラシを大きく前後に動かしたり喉の奥に近づけたりしないように気をつけてくださいね。
顔を下に向けながら磨く
歯を磨いているときに喉の奥に唾が溜まると、その刺激で吐き気をもよおすことがあります。できるだけ唾が喉の方に流れこまないように、顔を下に向けるように意識してみましょう。
こまめに唾を吐きだすのも一つの方法です。特に、よだれつわりがつらい妊婦さんは試してみてくださいね。
デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
歯と歯の間の歯垢(プラーク)を除去することで虫歯は予防できるので、歯ブラシを使うのがつらいときは、デンタルフロスや歯間ブラシを使うのもおすすめです。
口内への刺激が少なく、しっかりと汚れをかき出すことができます。最後に口の中をゆすぐのを忘れないでくださいね。
歯磨きタブレットを使う
どうしても歯磨きができないときは、キシリトール配合の歯磨きタブレットを使いましょう。歯磨き粉特有の後味がなく、唾液の分泌が増えて口内環境を整えることができます。
うがいをする
歯磨きをするだけで吐いてしまうときは、せめてうがいだけでもしておきましょう。デンタルリンスやマウスウォッシュを使うと、口内を清潔にする効果がありますよ。
つわりで歯磨きがつらくても歯の健康には気をつけよう
妊娠中は虫歯になりやすいため、つわり中もできるだけ歯の健康に気をつかうようにしましょう。つわりの症状がひどいときは無理に歯磨きをする必要はありませんが、少しでも体調が良いときに短時間でも磨けるといいですね。
妊娠中は妊婦歯科健診を受けることができる自治体も多いので、つわりが落ち着いて安定期に入ったら、近所の歯科で診てもらってくださいね。