妊娠中に胃腸炎にかかると、「赤ちゃんに影響は?」「薬は飲めるの?」と気になりますよね。実は、妊娠すると免疫力が低下し、胃腸炎にかかりやすいといわれています。そこで今回は、妊娠中に胃腸炎にかかったときの症状や原因、妊娠中に胃腸炎の薬は飲めるのかについてご説明します。
妊娠中の胃腸炎、原因は?
妊娠すると免疫力が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなるといわれています。そのため、細菌やウイルスが原因の「感染性胃腸炎」にかかるケースがよくみられます。
感染性胃腸炎には、O-157やサルモネラ菌などの細菌によって引き起こされる「細菌性胃腸炎」と、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルスによって引き起こされる「ウイルス性胃腸炎」があります。
特にノロウイルス、ロタウイルスは感染力が強いことで知られていて、注意が必要です。ウイルスが付着した手で口を触れたり、感染している人と接触したり、ウイルスに汚染された食べ物を食べることで感染します(※1)。
感染が流行する冬場は、なるべく混雑した場所への外出は控えたほうが安心です。
妊婦さんの胃腸炎、症状は?
胃腸炎の主な症状は、下痢や嘔吐、吐き気、発熱、腹痛、食欲不振などです。感染してから24〜48時間ぐらいで症状が現れることが一般的です(※1)。
症状が72時間以上続くことはごくまれなようですが、嘔吐や下痢をくり返すと脱水症状を引き起こすこともあります。胃腸炎の症状が見られたら早めにかかりつけの医師に電話をし、適切な対処法やアドバイスをもらいましょう。
ここで注意をしたいのは、産婦人科では受診を断られるケースがあるということです。待合室で嘔吐をし、ほかの妊婦さんへ感染を広げてしまうことを防ぐためです。まずは電話をかけ、かかりつけの医師の指示に従うようにしてください。
妊娠中の胃腸炎、赤ちゃんへの影響は?
妊娠中にお腹が痛くなると、赤ちゃんへの影響が心配ですよね。一般的に、腹痛や嘔吐、感染性胃腸炎のウイルスが赤ちゃんに影響することはないとされています。
また、吐き気によって食事が1〜2日とれなくても、問題ないといわれています。しかし、嘔吐や下痢の症状がひどいと、脱水を起こす可能性があります。妊婦さんが脱水症状になると、赤ちゃんに栄養や酸素が行き渡りにくくなるといわれています。
嘔吐が治まったら、少しずつ水分補給を開始しましょう。水分量が足りているかどうかは、簡単にチェックすることができます。排尿の回数が減ったり、尿の色が濃くなっていないか、口の中がネバネバしていないかなどが判断の基準です。
妊娠中の胃腸炎の治療法は?
胃腸炎によって引き起こされる下痢や嘔吐は、体が有害なものを排出しようとする防衛反応です。
胃腸炎になった場合、病院では整腸剤や痛み止めを処方されることもありますが、妊婦さんが服用できる薬は限られています。そのため、脱水に注意し、安静にするようにとだけいわれることも多いようです。
水分がとれなくても、氷のかけらならなめられたという人もいるようです。水分をとりにくい場合は、試してみてもいいでしょう。また、経口補水液は水よりも体への吸収が早く、おすすめです。冷蔵庫で冷やさず、常温のほうが刺激が少なく、飲みやすいようです。
胃腸炎による吐き気が治らない場合や、ちょうどつわりの時期と重なってしまって氷も経口補水液も飲むことができない場合は、医師に相談し、病院で点滴をしてもらうようにしましょう。
妊婦さんは胃腸の薬を飲んでもいいの?
前述のように、感染性胃腸炎になったら、有害なものを排出することを優先にし、下痢止めや吐き気止め薬は飲まないほうがよいとされています。
しかし、痛みなどの症状がひどくつらいときは、かかりつけの産婦人科医に連絡を取り、妊娠中に飲んでもいい薬を処方してもらいましょう。かかりつけ医から下痢止めを処方された場合は、処方箋どおりの量と用法を守って服用するのが大事です。
決して自己判断で、市販薬などを飲まないようにしてくださいね。
妊娠中は胃腸炎にかからないよう予防を
妊娠中は、免疫力の低下からウイルスや細菌への抵抗力が弱まっているといわれています。くわえて、体の変化も大きいので、妊婦さんの体には気づかないうちに疲れがたまっているものです。
疲れを感じたら無理をせずに休んだり、栄養価の高いものをしっかり食べるようにして、免疫力アップを意識しましょう。
また、ノロウイルスへ感染した場合、症状が治ってからも3〜7日間は便に混じってウイルスが排出されます(※2)。家庭内での二次感染を防ぐために、しばらくはトイレのタオルなどを共有しないといった注意も必要です。
胃腸炎が流行っていなくても、日頃からの手洗い・うがいは大切です。家族みんなでしっかり予防をして、赤ちゃんを迎える準備をしてくださいね。