妊娠したら、定期的に婦人科で妊婦健診を受けますが、歯科健診を受けるのはまだあまり浸透していません。しかし、妊娠中の歯科健診は赤ちゃんのためにも大切なものです。目的をしっかりと理解して、きちんと受診したいですね。
今回は妊婦歯科健診について、目的や内容、受診する時期などについてご説明します。
妊婦歯科健診とは?
産婦人科で受ける「妊婦健診」は、一般的に全14回受けられるように厚生労働省によって定められたものです(※1)。問診や検査を通して、妊婦さんとお腹の赤ちゃんの健康状態を確認します。
一方、妊婦歯科健診は、いつも妊婦健診を受けている産婦人科ではなく、歯科医院で受ける歯に特化した健診です。
受診は任意ですが、なかには妊婦さん向けの集団歯科健診を実施している自治体もあります。
妊娠中は虫歯になりやすいの?
妊娠すると、環境や生活がガラリと変わります。食事回数や食べるものも変わり、つわりがつらくて歯磨きが十分行えないことも。
さらに、女性ホルモンが増えることで、歯周病のもとになる菌が増殖しやすく、口内が細菌にとって活動しやすい状態になるのです。
このようにさまざまな要因が重なるため、妊娠中は虫歯や歯肉炎といった口内のトラブルが起きやすい状態といえます。
妊婦歯科健診の目的は?
妊婦歯科健診には以下のような目的があります。
赤ちゃんへの影響を防ぐため
虫歯菌は、主にママの口から赤ちゃんにうつるといわれています。
ママの唾液に虫歯菌が多いほど子どもへの感染率が高くなるという報告もあり、ママが良い口内環境を保っておくことが、将来の子どもの虫歯予防にもつながる可能性があります。
もちろんママだけではなく、パパにもいえる話です。家族みんなの口内環境を良くすることで虫歯菌の感染を抑えるようにしてくださいね。
妊婦歯科健診を通して、赤ちゃんが生まれる前に口内環境を改善しておきましょう。
妊娠中の快適な生活のため
妊娠中はただでさえマイナートラブルが多く、心にも体にも負担がかかりやすい時期です。そこに口のトラブルが重なると、歯の痛みや食事が摂れないストレスなどから、妊娠期間が憂鬱なものになってしまうかもしれません。
安全な出産のため
妊娠中に歯周病が進んでしまうと、早産や低体重児出産のリスクがあるといわれています。
歯周病がただちに早産や低体重児出産を引き起こすわけではありませんが、安全な出産を迎えるためにも、歯周病のチェックをきちんと受けておきましょう。
赤ちゃんと一緒に過ごせる貴重な時間を大切にするためにも、妊婦歯科健診でトラブルの予防や治療に努めたいですね。
妊婦歯科健診の内容は?
妊婦歯科健診の内容は、病院や自治体などで異なりますが、主に虫歯や歯肉炎、歯石などの有無を確認します。
場合によっては、レントゲンを撮影することもあります。レントゲンを撮影するとお腹の赤ちゃんに影響があるのではないかと心配になる人も多いと思いますが、歯科医院で行うレントゲン撮影は口元のみに向けて行われ、お腹に当たるものではありません。
X線の量も少なく、万が一の被爆可能性を抑えるために防御エプロンを着て行うため、赤ちゃんへの影響はほとんどありませんよ。
妊婦歯科健診を受ける時期はいつからいつまで?
妊婦歯科健診は、体調が落ち着いてきたら受けるようにしましょう。
妊娠後期は、お腹が大きくなっているため横になって治療を受けることがつらくなります。また、出産の準備でバタバタしがちなので、なるべく早めに歯科健診を受けるようにしてくださいね。
妊婦歯科健診の費用は?
妊婦歯科健診の費用は、健診の内容によってさまざまです。一般的な歯科健診は保険の適用外となるため、病院によっても費用が異なります。心配なときは、事前に電話などで問い合わせておくと安心ですよ。
また自治体によっては、妊婦歯科健診を無料で受けられたり、一定額を負担してくれたりするところもあります。妊娠したら、住んでいる地域に確認してみてくださいね。
妊婦歯科健診は早めに受診しよう
妊婦歯科健診は、生まれてくる赤ちゃんのためにも大切な健診です。家でのケア方法や、赤ちゃんが生まれたあとに気をつけたいことなども指導してもらえるので、早めに予定を組んで受診するようにしましょう。
家から通いやすい距離にある歯科医院で妊婦歯科健診を受ければ、赤ちゃんが生まれた後も親子で通いやすくなります。妊娠中の状態を知ってもらえている安心感もあるので、この機会にかかりつけの歯科医院を見つけてみるのも良いかもしれませんね。