妊娠中に歯医者で麻酔やレントゲンを受けてもいい?胎児への影響は?

監修医師 歯科医師 茂山 久夫
茂山 久夫 九州歯科大学卒業後、同歯周病科にて4年間診療、その後開業医での勤務を経て、現在は福岡県中間市にて診療を行う。日本歯周病学会、J.A.C.D(The Japanese Academy of Compre... 監修記事一覧へ

妊娠してから歯の痛みに悩まされている人はいませんか?妊娠中は虫歯になりやすく、口内ケアを怠ると簡単に歯周病になってしまいます。なかには親知らずが痛みだした人もいるかもしれません。しかし、レントゲン撮影や麻酔が必要になると、妊娠中に虫歯治療をしても大丈夫なのかと不安になることも。そこで今回は、妊婦さんが歯医者さんでレントゲンや麻酔を受けていいのか、処方される薬は問題ないか、胎児に悪影響を与えることはないかなどをご説明します。

妊婦は歯医者で治療を受けられるの?

歯医者

妊娠中に虫歯や歯周病、親知らずがあった場合、歯医者で治療を受けても問題ありません。むしろ歯周病は、早産のリスクを高めるという研究報告もあるので、できるだけ早く治療しましょう(※1)。

妊娠中に歯の治療を受ける時期は、妊娠中期(妊娠16~27週)が良いとされています。というのも、妊娠初期(妊娠15週まで)はつわりなどで体調がすぐれず、じっと治療に耐えるのはつらいという人も多いからです。

また、妊娠後期(妊娠28週以降)に入ってからでも治療はできますが、お腹がだいぶ大きくなってきているので、治療台に同じ姿勢で寝つづけるのはとても大変。そのため、母子ともに状態が安定する妊娠中期にまとめて歯の治療を終えるのが望ましいといえます。

妊娠初期や妊娠後期は、急を要するのでなければ応急処置・予防処置に留めておいて、落ち着いたタイミングで治療するほうが安心ですよ。

妊娠中に歯医者でレントゲン撮影をしても大丈夫なの?

医療 レントゲン 医者

妊娠中に歯の治療をするのは良いとして、「レントゲン撮影を受けても大丈夫なのか」と不安になる人もいますよね。

結論からいうと、歯医者のレントゲン撮影で浴びる放射線の量は、胎児に悪影響を及ぼすほどではありません。

日本産科婦人科学会の産科ガイドラインによると、「50mGy(ミリグレイ)未満の被ばく量であれば安全」であり、病院で受けるレントゲン撮影の放射線は50mGyを下回る量なので、お腹の赤ちゃんに奇形を起こすことはないとされます(※2)。

また、歯医者でのレントゲン撮影は口に向けて当てるもので、お腹に直接当たるわけではないうえに、被ばくの可能性を抑えるために鉛のエプロンを首からかけて撮影します。歯の治療でレントゲン撮影をすることになっても、心配しすぎないでくださいね。

妊娠中に歯医者で麻酔を受けられるの?

注射

抜歯したり歯茎を切ったりするような治療では、麻酔を打つこともあります。「妊娠中に、麻酔のような強い薬を使っても大丈夫なの?」と心配になりますよね。

いまのところ、歯の治療でよく使われる「リドカイン(商品名:キシロカインなど)」という麻酔薬などについて、妊婦さんが受けると胎児の奇形リスクが上がる、といった研究報告は見られません(※3)。

ただし、以前麻酔を打ったときに体調を崩したことがある人は、妊娠中でも同じ危険があります。万が一のことも考えて、歯科医にはそのことをしっかりと伝えておきましょう。

妊娠中の歯の治療後に痛み止めを飲んでもいいの?

薬

親知らずを抜歯するなど、大掛かりな歯の治療を行った場合には、抗菌薬や痛み止めの薬(鎮痛薬)が処方されることがほとんどです。今度は、「妊娠中にこういった薬を飲んでもいいの?」という疑問が出てくるかもしれません。

まず、ペニシリン・セフェム系の抗菌薬は妊娠中でも安全性が高いとされます。鎮痛薬なら、アセトアミノフェンという成分を含む「カロナール」であれば、胎児への影響はほとんどありません(※3,4)。

ただし、痛み止めの成分の中には、服用を避けた方がいいとされるものもあります。たとえば、アスピリンを長期に使用すると、難産や死産につながるリスクがあるため、特に妊娠後期は控えるべきとされています(※3,4)。また、イブプロフェンも、妊娠後期は控えましょう。

市販の鎮痛薬でいうと、「バファリン」にはアスピリンが、「イブ」や「ナロンエース」にはイブプロフェンが含まれているので、特に妊娠後期の妊婦さんは飲まないようにしてください。

基本的に、妊娠中であることを伝えたうえで医師から薬を処方してもらい、必要があるときに服用してくださいね。

妊娠中は歯医者さんと相談して治療方針を決めよう

風景 自然 光

妊娠中は虫歯や歯周病になりやすい時期なので、いつも以上に歯磨きや食事内容に気をつけて口内ケアに努めることが大切です。ただし、どんなに気をつけても歯が痛くなることはあります。そんなときは、歯医者に行くことを躊躇せず、きちんと受診しましょう。

歯医者で行われるレントゲン撮影や、治療で使われる麻酔薬や痛み止めの薬は、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす心配はほとんどないので、安心して治療を受け、早めに治してくださいね。

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