妊婦は塩分をどれくらい摂取してもいいの?胎児や母体へのリスクは?

監修専門家 管理栄養士 安蒜 ゆい
安蒜 ゆい 病院・保育園にて管理栄養士として献立作成・衛生管理や食育活動に携わり、現在は独立しフリーランス管理栄養士・彩り時短食プランナーとして活動しています。「季節や行事を通して食事・家族の時間の大切さを伝えて... 監修記事一覧へ

様々な食品に含まれていて、ついつい摂り過ぎてしまう塩分。特に妊娠中は、塩分を摂取し過ぎないようにとよくいわれますが、塩分を摂り過ぎるとどんな問題が起こるのか気になりますよね。今回は、妊娠中の1日の塩分目標摂取量や、過剰摂取した場合の胎児や母体へのリスクについてご説明します。

妊婦は塩分を1日にどれくらい摂ってもいいの?

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厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、成人女性の1日あたりの食塩摂取の目標量は7.0g未満です(※1)。妊娠中については特別な定めはないため、妊娠前と同じように、1日7.0g未満を目標にしましょう。

同じく厚生労働省が発表した「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」では、平成27年における成人女性の1日の平均食塩摂取量は9.2gです(※2)。目標の1日7.0g未満というのは、意識的に塩分を控えるようにしなければ、なかなか達成できない数字といえますね。

妊娠中に塩分を過剰摂取するとどうなるの?胎児や母体へのリスクは?

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妊娠中に食塩の過剰摂取が続くと、血圧が上がり、妊娠高血圧症候群になる可能性があります。

妊娠高血圧症候群にかかって胎盤がうまく機能しなくなると、胎児に送られる酸素や栄養が減ってしまいます。その結果、胎児の発育不全や機能不全を引き起こすリスクが高くなります。さらに、重症化した場合は、胎児死亡にいたることもあります(※3)。

お腹の赤ちゃんを守るためにも、妊娠中の塩分摂取量には注意が必要です。

妊娠中にできる塩分の減らし方は?

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塩分の摂り過ぎを防ぐためには、毎日の食事でのちょっとした工夫が大切です。ここでは、妊娠中におすすめの減塩方法を具体的にご紹介します。

料理で使う塩分を減らす

料理で使う食塩や醤油の量を減らすようにしましょう。濃い味が好きな人にとっては、最初は味気なく感じてしまうと思いますが、だんだん慣れてくるものです。

出汁をしっかりとると、醤油や味噌の量が少なくても美味しく食べられますよ。減塩タイプの調味料を選ぶのもおすすめです。

酸味で薄味をカバーする

塩分を減らすと料理が味気がなくなってしまうときは酸味を上手く使ってみてください。魚にレモンを絞って味付けしたり、ステーキやソテーなどの肉料理にバルサミコ酢をソースとして使ってみたり、酸味を活用すれば減塩できます。

煮物や炒め物には、お酢を使ってみましょう。新しい美味しさと出会うことができますよ。

麺類のスープは飲まない

うどんや蕎麦、ラーメンのスープには、塩分がたくさん含まれています。麺類のスープを飲まないように心がけるだけでも、塩分摂取量をかなり減らすことができますよ。

インスタントラーメンは、特に塩分がたくさん含まれていることが多いので、妊娠中は食べないようにするか、減塩タイプのものを選ぶようにしましょう。

ドレッシングやソースはかけずに「つける」

ドレッシングやソースは、サラダやフライに直接かけず、小皿に入れてつけて食べるようにすると塩分の摂取量を減らすことができます。食べ物に都度つけることで、一気にかけるよりも使用量がわかりやすく、減塩の意識も高まりますよ。

塩分を体外に排出する

塩分を摂り過ぎたときは、体の外に出すために、カリウムが多く含まれた食材を食べましょう。カリウムは体の中の塩分と水分をくっつけ、体外に塩分を排出するのを助けてくれる栄養素です。

バナナ、ほうれん草、納豆、アボカド、ピスタチオといった食べ物にはカリウムが含まれているので、「塩分を摂りすぎたかも?」と心配なときは、これらの食材を食事に取り入れてみてください。

妊娠をきっかけに塩分量の見直しをしよう

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妊娠したことをきっかけに、お腹の赤ちゃんや自分自身の体のために、健康的な食事を心がけるようになった妊婦さんは多いですよね。今まで何気なく摂取していた塩分も、目標量を知ると、減塩を心がけたり、他の調味料を使ってみたりと、新たな発見が多いのではないでしょうか。

妊娠中は、それまでの食生活を見直すいい機会です。出産後も赤ちゃんや家族のために、塩分量や栄養を考えた食生活を続けていけるといいですね。

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