焼き鮭、スモークサーモン、マリネなど、和食・洋食を問わず、食卓によく登場するサーモン。しかし妊娠すると食べ物に気を遣うようになり、今まで何気なく食べていたサーモンも、食べて良いのかと不安になりますよね。そこで今回は、妊娠中のサーモンの摂取方法や注意点についてご説明します。
妊婦はサーモンを食べてもいいの?
妊婦さんが魚介類を食べるときに気をつけたいのが、その魚に含まれる水銀の量です。
妊婦さんが水銀を摂取しすぎると、お腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすといわれています(※1)。
しかし、魚を全く食べてはいけないわけではありません。注意が必要な魚があれば、妊娠前と同じように食べても問題ないとされている魚もあります。
今回のテーマであるサーモンは、他の魚介類と比べて水銀の含有量が少なく、特に注意が必要ない魚とされています(※1)。
サーモンを含む魚介類は、良質なたんぱく質やカルシウム、人の体内で作ることができないDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)と、様々な栄養素を含んでいます。
DHAやEPAは、高血圧の予防や子供の脳の発育にも効果があるとされており、妊婦さんも積極的に摂りたい栄養素です。
サーモンばかり過剰に摂取して、栄養バランスに支障をきたすのは問題ですが、適量であれば摂取したほうがいい食材といえるでしょう。
妊娠中はどのくらいサーモンを食べていい?
妊娠中のサーモンの摂取量は、具体的に定められていません。
平成21年のデータによると、日本人の平均魚介摂取量が1日あたり74.2g(1切れほど)なので、その平均を大きく超えなければ気にすることはないでしょう(※2)。
健康の観点から見ると、魚に含まれるEPAやDHAの摂取目標量は1日1gと定められているので、魚を食べるときはこれが摂取できる量を心がけると良いでしょう。
焼き鮭であれば、0.5~1.9切れほどです(※3)。
妊婦がサーモンを食べるときの注意点は?
先にもご説明したとおり、妊娠中でもサーモンは普段通りの量を食べて構いませんが、食べ方にはいくつか注意が必要です。
塩分を控えめに
サーモンを食べる際、調理方法によっては塩分を多く含むこともあるので、注意が必要です。
厚生労働省は、成人女性の食塩摂取量を、1日あたり7.0g未満にするべきと発表しています(※4)。
一般的な塩鮭には、100gあたり約2gの塩分が含まれていることを考えると、できるだけ塩分が含まれていないものを選び、調理方法を工夫したほうが良いでしょう。
火を通す
サーモンに限らず、妊婦さんが魚介類を食べるときは、できるだけ火を通してから食べることを意識しましょう。
生の魚介類には「リステリア」という細菌が生息していることがあります。免疫力が下がっている妊婦さんがこの細菌を摂取してしまうと、敗血症や髄膜炎など、重篤な状態になることがあります。
また、胎盤や胎児に感染し、流産や、生まれた子供に影響が出る可能性が高くなります(※5)。
リステリアはしっかり加熱すれば死滅するので、サーモンを食べる際は寿司や刺身などの生ものを避け、きちんと火が通ったものを選ぶようにしましょう。
スモークサーモンも、多くが低温で燻製しただけのものなので、リステリアがいる可能性があります。妊娠中は控えたほうが安心でしょう。
妊娠中のサーモンはバランス良く取り入れて
妊娠中はいろいろと食べ物が制限されて大変ですが、ママとお腹の赤ちゃんの健康を守るためだと思って、今の間だけ注意してみましょう。
特に魚は、食べて良いものと注意すべきものがあり、ややこしいですが、サーモンなどの食べて良い魚を中心に、栄養バランスのとれた食事を心がけてくださいね。
しっかりと火を通し、塩分を摂りすぎないことにだけ注意すれば、サーモンは妊娠中の献立に役立つ食材です。美味しく健康に食べられる調理方法を探してみるのもいいですね。