赤ちゃんが受ける予防接種のなかに、B型肝炎ワクチンの接種があり、2016年10月から定期接種に変わりました。それまでは任意の予防接種だったので、「受ける必要は本当にあるの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。今回はB型肝炎ワクチンの予防接種の費用や副作用、赤ちゃんと小学生などの子供が受けるときの違いなどをご紹介します。
B型肝炎とは?
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルスに感染することで起きる肝臓の病気です。B型肝炎が慢性化した場合、慢性肝炎や肝硬変、肝臓癌が起きることがあります。
日本では約100人に1人の割合で、B型肝炎の感染者がいると考えられています(※1)。しかも、B型肝炎ウイルスは稀に唾液や涙などの体液でも感染することがあります(※2)。
日本肝臓学会によると、現在も年間で約1万人が新しく感染しているとされています(※1)。
B型肝炎ワクチンの予防接種が赤ちゃんや子供に必要なのはなぜ?
体質や体調によって免疫ができないことがありますが、厚生労働省によると、40歳までにB型肝炎ワクチンの接種を受けると95%の確率で抗体が獲得できます。そして、ワクチンを3回接種した後の感染防御効果は、20年以上続くとされています(※3)。
日本では、B型肝炎ワクチンの接種がこれまで任意だったため、「受けなくてもいいのでは?」と考える人がいるかもしれませんが、海外の多くの国では定期接種として実施されてきました。
WHO(世界保健機関)は、すべての乳児がB型肝炎の予防接種を受けることを推奨しており、日本でも2016年10月からB型肝炎ワクチンの接種は、任意接種から定期接種に移行しました(※4)。
子供は幼稚園や保育園に行きはじめると、唾液や汗などを通じて感染する恐れがあるので、先延ばしにしないで早めに予防接種を受けることが大切です。
B型肝炎ワクチン、子供にはいつ受けさせる?
B型肝炎ワクチンの接種は、赤ちゃんのときに合計3回行います。
日本小児科学会が推奨している予防接種スケジュールでは、1回目は生後2ヶ月、2回目は生後3ヶ月、3回目は生後7~8ヶ月です。2回目の接種は1回目からを27日(4週)以上、3回目の接種は1回目から139日(20週)以上の間隔を空ける必要があるとされています(※5)。
B型肝炎ワクチンは、ロタウイルスワクチンやヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、4種混合ワクチンなどと同時接種することができるので、それも踏まえて上手にスケジュールを組むと、予防接種の手間を減らせますよ。
ただし、ママがB型肝炎ウイルスに感染している場合、1回目のワクチン接種は出生直後(できれば生後12時間以内)、2回目は生後1ヶ月、3回目は生後6ヶ月になります(※5)。
B型肝炎ワクチンの予防接種の費用、赤ちゃんの場合は?
平成28年4月1日以降に生まれた0歳児であれば、B型肝炎ワクチンの予防接種は定期接種のひとつになっています。その場合、基本的に費用はかかりません。
また、ママがB型肝炎ウイルスに感染している場合、赤ちゃんのB型肝炎ワクチンの予防接種は定期接種になりません。しかし、その場合の接種費用には健康保険が適用されます(※5)。
B型肝炎ワクチンの予防接種の費用、小学生の場合は?
平成28年4月1日より前に生まれた子供や小学生にも、万が一のことを考えて、B型肝炎ワクチンの予防接種を受けさせたいと考えるママ・パパもいるでしょう。そのような場合、赤ちゃんと違って自費診療になります。
B型肝炎ワクチンの予防接種を子供や小学生に受けさせる場合、医療機関によって差はありますが、1回につき5,000~10,000円ほどの費用がかかることが多いようです。
また、自治体によっては、接種費用に助成金が出る場合もあるので、詳しく知りたい場合はお住まいの自治体窓口かホームページを確認してみましょう。
B型肝炎ワクチンの予防接種に副作用はある?
B型肝炎ワクチンを接種すると、副作用として、発熱や発疹、倦怠感などの症状が、他のワクチンと同様に現れることがあります。
ごくまれに、アナフィラキシー(急性のアレルギー反応)が起こることもあるため、症状に異変があれば、接種を受けた病院に連絡して相談しましょう。
B型肝炎ワクチンの予防接種は費用がかからないうちに
厚生労働省によると、1歳以下でB型肝炎ウイルスに感染した場合、80~90%の確率で感染が慢性化します(※6)。
B型肝炎が慢性化すると、慢性肝炎、肝硬変や肝臓癌に至ることがあるので、子供が小さいうちに医療機関で指示されたスケジュール通り、予防接種を受けさせてあげることが大切です。乳幼児期の定期接種なら費用もかからないので安心ですね。
また、過去にB型肝炎ワクチンの予防接種を受けていない小学生でも、費用が発生してしまいますが、任意で受けることも可能なので、小児科の医師に相談してみましょう。
赤ちゃんの健康を守るという意識を持って、予防接種をきちんと受けさせてあげてくださいね。