赤ちゃんが受ける予防接種の一つである「BCGワクチン」。定期接種とはいえ「もしも副反応があったらどうしよう」、と不安に思ってしまうのが親心ですよね。そこで今回は、BCGワクチンの副反応はあるのか、どのような症状が出るのかをご説明します。
BCGワクチンとは?
BCGは、結核を予防するためのワクチンです。乳幼児期にBCGを接種することで結核の発症を52〜74%ほど予防することができると報告されています(※1)。
赤ちゃんは抵抗力が弱く結核に感染すると重症化するリスクが高いため、BCGは定期接種に指定されています。現在は生後5〜8ヶ月未満の間に予防接種を受けることが推奨されていて、全体の95%もの赤ちゃんがBCGワクチンを接種しています(※1,2)。
BCGに副反応(副作用)はあるの?
BCGは毒性を弱めた結核菌を体内に直接取り入れて免疫反応を引き起こす「生ワクチン」のため、次のような副反応が起こることがあります(※1)。
● リンパ節の腫れ
● 皮膚の湿疹
● 骨炎
厚生労働省の調査によると、平成25年度にBCGワクチンを接種した約90万人のうち、副反応があったのは174人で、副反応が起きる確率は低いと考えられています(※1)。最も多い副反応の症状はリンパ節の腫れで、その次に多いのは皮膚の湿疹ですが、どちらも重症化することはほとんどありません。
また、結核菌が骨に感染してしまった場合に骨の炎症を引き起こす可能性がありますが、BCGワクチン接種後に骨炎を発症する件数は、年間90万件のうち10件です(※1)。たとえ骨炎になったとしても重篤化することはほとんどないため、BCGワクチンの接種後に重篤な副反応が起こる確率はかなり低いと言えるでしょう。
それではここから、BCGで起こりうる副反応の詳しい症状や対処法をご説明していきます。
BCGの副反応でリンパが腫れたらどうする?
BCGワクチンを接種してから4〜6週間後に、2cmほどリンパ節が腫れることもあります。腫れるのは、わきのリンパ節が多く、これはBCGワクチンの接種後に起こる通常の反応です。
この腫れは2ヶ月ほど経てば小さくなり、次第に自然消滅することが一般的なので、多少の腫れであれば特に問題ないと考え、経過を見守りましょう(※3)。
ただし、リンパ節の腫れが3cm以上になったり、化膿して膿が出てきたりした場合は、医師に相談してください。
BCGの副反応で発疹がでたらどうする?
BCGワクチンを接種してから2週間ほど経つと、接種した場所に赤いポツポツができ、一部に小さな膿の塊ができることがあります。
この反応は接種してから5〜6週間後頃に強くなりますが、その後はかさぶたができて、3ヶ月ほど経つと小さな傷跡が残るだけになります(※1)。BCGワクチン接種後に一般的に見られる反応なので、あまり心配しすぎる必要はありませんよ。
ただし、数ヶ月以上に渡って赤いポツポツがジクジクしていたり、針のあとが大きな傷跡になっていたりする場合は治療が必要なこともあるので、かかりつけの小児科を受診しましょう。
また、こうした反応がBCG接種から約1週間以内に起きた場合は「コッホ現象」の可能性があります(※1)。コッホ現象が起こる場合、赤ちゃんがBCG予防接種をする前に結核に感染していた可能性が高いため、こうした反応が出たときは速やかに小児科を受診してください。
BCGの副反応で骨炎になったらどうする?
先述のように、結核菌が骨に感染してしまうと、極めて稀ですが、骨の炎症を引き起こすことがあります。この場合、太ももや二の腕に発症することが多く、子供が足や腕を痛がったり、足を引きずったりすることで気づくケースが多いようです。
骨炎になった場合は薬での治療を行う必要があるので、子供に上記のような異変があれば医師に相談しましょう。
BCGの副反応はあまり気にしすぎないで
赤ちゃんが生まれると、たくさんの予防接種を受けることになります。予防接種で副反応が出たらどうしようと不安に思うかもしれませんが、BCGによる副反応はほとんど報告されていません。
もし副反応が起きても、重症化する可能性は高くありません。逆に、BCGワクチンを接種したことによる効果の方が大きい場合がほとんどですよ。
どうしても副反応が心配な場合は、予防接種を受ける前に医師に相談してみてくださいね。