2~3歳の子供が泣き止まないときの対策は?病気の可能性もある?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

2〜3歳の子供が急に泣き出して困った経験はありませんか?特に2歳は「魔の2歳児」と表現されることもあるほどで、一度泣き出したら最後、ママやパパでも手をつけられないことも。今回は、2~3歳の子が泣き止まない原因と対策、病気の可能性についてご説明します。

2~3歳の子供が泣き止まない原因は?

2歳 男の子 砂場 泣く

子供がなかなか泣き止まないのは、よくあることです。でも、突然大声で泣き叫ばれたら誰でも困りますよね。特に外出先では、恥ずかしさや周りの人への申し訳なさも加わって、どうしていいかわからなくなることも…。

それでは、2~3歳の子供が泣き止まないとき、どのような原因が考えられるのでしょうか?

イヤイヤ期の自我の芽生え

2〜3歳は、自我が芽生え始める時期です。「何でも自分でやってみたい」という気持ちがあるため、ママやパパが何を言っても「イヤ!」と抵抗する子が多くなります。

もしくは、イヤイヤと泣いて大人がどんな反応をするのか、試しているのかもしれません。どんなに泣いてもママには無条件に受け入れてほしい、そんな子供からのサインでもあります。

気持ちが伝わらない苛立ち

イヤイヤ期とも通じますが、「自分でやりたい」という気持ちがあっても、まだうまく言葉で伝えられなかったり、自分の思いどおりにならなかったりすることへの苛立ちから、大泣きしてしまいます。

子供はしっかりと気持ちを伝えていると思っているのですが、ママやパパにはうまく伝わっていないことも。

わかって欲しくて泣いたのに、「落ち着いて話しなさい」などと怒られてしまうと、子供も引っ込みがつかずに、さらにエスカレートすることもよくあります。

赤ちゃん返り

2~3歳の子が泣き止まないとき、赤ちゃん返りが原因になっていることも良くあります。大泣きするだけでなく、もう卒業したおっぱいを欲しがったり、自分で出来るはずの着替えをママにやってもらいたがったり。

ちょうどこの年頃で弟や妹が産まれるケースが多く、ママは赤ちゃんのお世話で忙しくなりますよね。そうすると「大好きなママが取られた!」と感じてしまい、自分の方に振り向いてほしくて泣いてしまいます。

2~3歳の子供が泣き止まないときの対処法は?

育児 悩み 24489368

それでは、手を付けられない状態になった子供を、どうしたら泣き止ませられるのでしょうか?なかなか泣き止まないと、ママやパパが感情的になって怒ってしまいがちですが、そこはぐっと我慢して以下のような対処をしてみましょう。

子供を「ダメ!」と否定しない

「ダメ」という言葉をつい使ってしまいがちですが、「ダメ」だけでは2〜3歳の子供には伝わりません。理由もわからずただ叱られてしまうと、子供は自分を否定されたような気持ちになってしまいます。

具体的に、何が危ないのか、なぜその行動がよくないのか、「ダメ」の部分を具体的な言葉で冷静に説明してあげましょう。

落ち着くまでそっとしておく

自宅であれば、子供が泣き止むまで放っておいてみるのも一つの手です。危ないことをしている場合には、その行動をやめさせてから、泣き止むまでそっとしておきましょう。

ママが関心を示さないと、いつの間にか泣き止んでしまうこともあります。子供が泣くのをやめたら、そのまま放っておくのではなく、優しく声をかけて抱きしめてあげてくださいね。

子供の気持ちを代弁してあげる

自分でやりたいのにうまくできず、イライラして泣いているときは、「○○したかったのに、できなくて悔しかったんだね」というように、子供が言いたかったことを代弁してあげると、気持ちが落ち着くこともあります。

子供が泣いている理由や気持ちを汲み取ってあげることが、子供自身の納得感や安心感につながります。

場所を変える

外に出るなど場所を変えてみることで、子供の興味がほかに移り、泣き止むことがあります。

ママが感情的になってしまいそうなときは、家の中でママだけが隣の部屋に移動するだけでも、お互いの気分転換になるかもしれません。

スキンシップをする

抱っこやおんぶ、マッサージやくすぐりなどのスキンシップは子供をリラックスさせます。特に、赤ちゃん返りをしているときには有効な方法ですね。

「あなたのことを大切に思っているよ」という気持ちを、行動で表してあげましょう。

2~3歳の子供が泣き止まない!何か病気なの?

小児科 子供 熱 日本人

「いつもより、泣き方が激しい」「色々と対処法を試してみてもいっこうに泣きやまない」などの場合は、ただの癇癪(かんしゃく)ではないかもしれません。

以下のような症状がないか、チェックしてみましょう。

発熱

熱が出ている場合や、これから熱が上がってくる場合でも、子供は敏感に感じ取って、不安から泣くことがあります。

発熱の場合は、泣いているときに子供を抱き上げてあげれば、体の熱さに気づきます。

腹痛

子供の便秘は痛みが強いため、お腹が痛くて泣くことがあります。便秘の場合、病院を受診して浣腸をすることなどで対処できます。

また、5~15分間隔でお腹を痛がっていて、嘔吐や血便がある場合には「腸重積」という病気の可能性もあります。これは、大腸の中に回腸が入り込んで腸閉塞を起こした状態です。

腸重積は、早期であれば降圧浣腸で治療できますが、放置して腹膜炎を起こすなど重症化すると、開腹手術が必要となります。子供がお腹を痛がり、泣いたり泣き止んだりを繰り返しているときは、早急に病院を受診しましょう。

頭痛

頭が痛い場合にも泣き叫ぶことがあります。その場合には、甲高い声で泣くことが多いのが特徴です。

顔色が良く、食欲があるのであればしばらく様子を見ましょう。ぐったりしていたり、発熱や嘔吐などほかの症状があれば、すぐに病院へ連れていってあげてくださいね。

耳を痛がる、首をしきりに振る

子供が耳のあたりを触って泣いていたり、首をしきりに振ったりしている場合には、中耳炎の可能性があります。

急性中耳炎の場合は、鼻水や喉の痛みのほか、乳幼児だと高熱が出ることも。気になる様子があれば、耳鼻科を受診しましょう。

2~3歳の子供が泣き止まないときは気持ちに寄り添って

子供が泣き止まない原因は、苛立ちや寂しさといった精神的なものや病気など、様々なものが考えられます。イヤイヤ期は大変ですが、成長の過程でもあります。

病気や怪我が疑われる場合には、いつもとは違う泣き方をすることが多いので、怪我をしていないか、お腹が張っていないか、身体は熱くないかなど全身を確認しましょう。日頃から子供の様子を観察し、少しの異変にも早めに気づくことができるといいですね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう