赤ちゃんや子どもが大声で泣く、叫ぶ、手足をバタバタさせる、といったことが多いと「もしかして癇癪(かんしゃく)持ち?」と心配に思うこともあるかもしれません。癇癪は成長の一環なので、原因や対応の仕方を知っておくと気持ちが楽になりやすいですよ。
今回は、0〜1歳の癇癪について、原因や症状、対応方法、病院に行くべきかどうかなどをご紹介します。
癇癇癪とは?赤ちゃんや1歳半頃の子も起こす?
癇癪(かんしゃく)とは、欲求不満に対して起こる激しい感情反応のことです(※1)。
癇癪は成長の過程の中で起こるもので、一般的に1歳を迎える少し前から始まります。2〜4歳で頻度が多くなり、5歳を過ぎると自然と減っていく傾向にあるとされています(※2)。
ただし、癇癪が起こる時期や頻度には個人差があり、0〜1歳半くらいに頻繁に起こすこともあるようです。また、癇癪をほとんど起こさない子もいます。
癇癪を起こすと不安になることもあるかもしれませんが、あくまでも成長の一環なので基本的に心配はいりませんよ。
赤ちゃんや1歳児が癇癪を起こす原因は?
0〜1歳半くらいの子が癇癪を起こす主な原因は、以下の通りです(※1)。
● 欲求不満
● 疲れ
● 空腹
● 甘え
● 暑さや寒さ
赤ちゃんや子どもの成長スピードには個人差がありますが、1~2歳頃になると自我がしっかり芽生えてきます。
「これがしたい」「疲れた」「お腹が空いた」といった思いがはっきりあるにもかかわらず、まだ言葉で伝えることができないため、癇癪を起こしてしまいます。
また、記憶力がついてくると、「◯◯がしたいときにはこうすればいいんだ」という物事のやり方は頭では理解できるようになるものの、思い通りに体を動かせるほど身体機能が発達していないため、やりたいようにできなくて癇癪を起こしてしまうのです。
また、自我の発達とは別に、弟や妹ができたときに癇癪を起こす子もいます。
これはいわゆる「赤ちゃん返り」で、ママやパパが自分だけのものでなくなることに対する危機感や、自分だけを見てほしいという寂しさから、癇癪という形で親の注目を得ようとします。
赤ちゃんや1歳児の癇癪ってどんなことをするの?
子どもが小さいうちに起こす癇癪には、次のようなものがみられます(※1)。
● 泣く
● 叫ぶ
● 噛みつく
● 金切り声をあげる
● 手足をバタバタさせる
● 床にひっくり返る
● ものを投げる など
自分の気持ちを表現するために、泣きわめいたり叫んだりすることがよくあります。
イライラして感情を上手くコントロールすることができないと、ものを投げたり、噛みついたり、足を踏み鳴らしたりと、行動で表現する子もいます。
癇癪の表現方法や頻度は個人差が大きいものです。赤ちゃんや子どもが癇癪を起こしたら、まずは「成長して自我が芽生えているのだ」と捉えて、感情表現をしっかり受け止めてあげましょう。
赤ちゃんや1歳児が癇癪を起こしたときの対応方法は?
癇癪は、成長していくうえでの必要なステップでもあります。そのため、癇癪を止めたり予防したりするよりも、ママやパパが対応の仕方を工夫することが大切です。
赤ちゃんや子どもが癇癪を起こしたときは、次のような方法を試してみてください。
気持ちを理解して代弁する
自分の気持ちを上手く表現できなかったり、遊びや食事など自分のやりたいことができなかったりと、欲求不満で癇癪を起こしているときは、「~したかったんだね」「~はイヤだよね」と、気持ちを代弁してあげるようにしましょう。
ママやパパが自分の気持ちを理解してくれていると感じると、少しずつ落ち着きを取り戻すこともありますよ。
無視をしない
赤ちゃんや子どもが癇癪を起こして何を言っても泣きわめくと「もう勝手にして!」と思うこともあるかもしれませんが、無視はしないようにしましょう。
自分が頑張って感情を表現しようとしているのにママやパパが構ってくれない状態が繰り返されると、自己表現することをあきらめてしまったり、自我の形成に影響を与えたりするかもしれません。
赤ちゃんや子どもの声に耳を傾け、気持ちを理解しようとしている姿勢を示しましょう。
抱きしめる
癇癪を起こしていると、頭ごなしに怒りたくなる気持ちも出てくるかもしれませんが、そんなときこそ抱きしめてあげましょう。これは赤ちゃんや子どもだけでなく、ママやパパの気持ちを静めることにもつながります。
徐々に落ち着いてきたら「何がイヤだったの?」と聞いてあげるようにしてください。質問を投げかけることで癇癪以外の自己表現の方法を学んでいくことができます。
ルールやマナーを教える
電車やバス、レストランなどの公共の場で、赤ちゃんや子どもが癇癪を起こしてしまった場合は、まずは人が少ない場所に移動したり、乗り物を途中で降りたりお店の外に出たりして、落ち着ける環境を作りましょう。
公共の場では静かにするといったルールやマナーを理解するのは、まだ難しいかもしれませんが、外と家は状況が違うということを少しずつ教えてあげられるといいですね。
赤ちゃんや1歳児の癇癪は発達障害の可能性もある?
癇癪は多くの赤ちゃんや子どもが通る道であり、基本的には病院を受診しなければいけないというものではありません。ただ、癇癪が1日に何度も起きたり、1回の癇癪が長く続いたりするときは、一度、小児科で相談してみるといいかもしれません。
あくまでも可能性の一つですが、赤ちゃんや1歳児の癇癪が日常的に起こる場合、発達障害が疑われることがあります。
癇癪を起こしやすい発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などがあります。
ASDの子どもは、コミュニケーションが苦手、特定のものや行動に対するこだわりが強い、といった特性がみられます(※2,3)。いつもと違う状況や急な変更に対応できなかったり、音・光・匂いなどの刺激に過敏であったりするため、癇癪を起こす子もいます。
ADHDがある場合は、集中力がない、じっとしていられない、思いつくと行動してしまうといった行動が目立ちます(※5,6)。こういった特性から、癇癪の症状がみられる子もいます。
これらの特性と癇癪の症状がみられるからといって、必ずしもASDやADHDというわけではありません。発達障害であるかどうかの診断は、専門の医師によって時間をかけて行っていく必要があります。
癇癪で大変なときは周りに相談しよう
癇癪は成長の証とはいえ、頻繁に起きたり長く続いたりすると、気持ちが滅入ってしまうこともあるかもしれません。
そういったときは無理をせず、家族や友人など身近な人に話を聞いてもらったり、かかりつけの小児科や自治体の子育て支援センター、保健所などに相談したりしてみてくださいね。