3歳・4歳児の夜泣き!原因と対策は?治療は必要なの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんのお世話で大変なことといったら、「夜泣き」を真っ先に思い浮かべる人も多いはず。しかし、幼児期に入っても夜泣きが続くことがあります。「3歳を過ぎたのに夜泣きをする…」と悩んでいるパパ・ママも少なくありません。そこで今回は、3~4歳の夜泣きについて、その原因や対策をまとめました。

夜泣きとは?

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夜泣きとは、寝ていた子が夜中に突然起きて泣き出すことをいいます。特に病気ではなく、日中は元気で寝る前まで機嫌も悪くなかったのに、夜中に突然泣き出し、あやしてもなかなか泣き止みません。生後3~6ヶ月頃からはじまり、1歳半~2歳頃に終わることが多いようです。

赤ちゃんの夜泣きは、生活リズムが狂ったり、日中の生活で刺激やストレスを受けたりしたときに、起こりやすいといわれています(※1)。しかし、赤ちゃんの睡眠リズムはまだ完成していないため、眠りが浅くてすぐ目覚めてしまうだけ、という説もあり、夜泣きの原因ははっきりと分かっていません。

3歳・4歳になっても夜泣きをするもの?

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夜泣きは、1歳半を過ぎた頃から自然と落ち着き、遅くても2歳頃までには見られなくなるのが一般的です。

しかし、3〜4歳の幼児期になっても寝ている途中で突然起きて泣き出すことは珍しくありません。幼児期の夜泣きは、いわゆる「赤ちゃんの夜泣き」とは別で、「夜驚症(やきょうしょう)」と呼ばれる睡眠障害の可能性もあります。

「夜驚症」は、寝ている間に急に興奮して、叫び声をあげたり泣き出したりすることが1~5分ほど続き、その後は通常の睡眠に戻ります。その間、呼びかけてもほぼ反応せず、翌朝目が覚めると本人にはその記憶がまったくないのが特徴です。この症状は、眠ってから3時間以内の浅い睡眠時に起こることが多いです。

赤ちゃんの頃は夜泣きとは無縁な子でも、3歳を過ぎてから突然始まり、5〜6歳頃まで続くケースもあります。

3歳・4歳児が夜泣きする原因は?

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赤ちゃんと同様、3~4歳の子が夜泣きしたり、寝ているときに急に興奮したりする原因は解明されていませんが、以下のような要因が影響しているのではないか、と考えられています。

脳の一時的な症状

幼児の夜泣きや夜驚症は、成長過程で一時的に脳が混乱することで起こるのではないか、という説が有力です(※2)。

「育て方に問題があるのかな…」と不安に思うママやパパもいるかもしれませんが、生まれつきの脳の仕組みが関係している、と考えるようにしましょう。

短い睡眠サイクル

幼児期は、まだ睡眠サイクルができあがっておらず、大人と比べて眠りが浅いため、夜中にすぐ起きてしまいます。

人間の睡眠は、レム睡眠という浅い眠りと、ノンレム睡眠という深い眠りがセットになって、交互に繰り返されています。大人の場合、1セットにかかる時間が90~120分ですが、このサイクルに近づくのは5歳頃です(※3)。

3~4歳のうちは、浅い眠りが来るまでの時間が30~60分周期とまだ短いので、目が覚めやすく、急に起きて泣き出してしまうこともあります。

昼間の強い刺激

日中に不安なことや嫌なことが起きた、緊張する出来事があったなど、感情を動かす強い刺激を受けると、夜泣きを起こすこともあるようです。

たとえば引っ越しや保育園・幼稚園に通い始めた、弟や妹が産まれた、家族で遊園地に行った、など環境の大きな変化が刺激になることがあります。

また、雷や強風、地震などの天候の変化が刺激になることもあります。

日中の運動不足

子供はエネルギーがあり余っているので、日中にあまり遊べずにエネルギーを発散できていないと眠りが浅くなってしまいがちです。

そうすると、夜中にぐっすり眠ることができず、途中で目が覚めて泣き出してしまうこともあります。子供にとっては昼夜の生活リズムのバランスを取ることが重要なのです。

睡眠環境の問題

寝室の照明が明るすぎたり、テレビの音がうるさかったりすると覚醒状態になりやすく、子供がぐっすり眠れません。その結果、頻繁に目を覚ましてしまい、心身が休まらず興奮状態に陥ってしまうことも。

3歳・4歳児の夜泣きは治療が必要なの?

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子供が3〜4歳くらいまで大きくなっても夜泣きすると、「何かの病気ではないか」と心配になることもありますよね。基本的には、成長するにしたがって自然に治まっていくものなので、多くの場合は特別な治療は必要ありません(※4)。

しかし、一晩に何度も夜泣きの症状がみられたり、1回の夜泣きが10分以上続いたりすると、ママをはじめ家族も疲れてしまいますよね。そのような場合は、小児科か睡眠外来に相談してみましょう。症状がひどいときには、抗精神薬が処方されることもあります(※2)。

また、夜眠っているときだけでなく、日中も突然感情が高まって興奮が収まらなかったり、思い通りにならないとすぐパニックになってしまったりする場合、発達障害の可能性も考えられます(※5)。

気になる様子があるときは、お住まいの地域の保健センターや発達障害支援センターに相談してください。

3歳・4歳児の夜泣きに対策はある?

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確実に幼児の夜泣きを泣き止ませる方法は残念ながらありません。様子をみながら、子供が落ち着くまでそばで見守ってあげるのが一番です。

「大丈夫だよ」などと声をかけながら抱きしめて、安心させてあげたり、一度起こして落ち着かせてみたり、子供の興奮状態が治まるための方法をいろいろ試してみましょう。

3歳・4歳児の夜泣きを予防するには?

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幼児の夜泣きの原因がはっきりと解明されているわけではないため、絶対に予防できる方法はありません。しかし、質の良い眠りを取れるようにママやパパが工夫してあげることで、子供が安心して眠れるようになる可能性はあります。

まずは以下のポイントを心がけてみてくださいね。

生活リズムを整える

幼児期の生活リズムを作るのは、パパ・ママの役目です。朝は早く起こす、お昼寝を2時間以内にし、夜にぐっすり眠れるような生活リズムを作りましょう。パパ・ママが規則正しい生活を送り、子供に寄り添って過ごすことも大切です。

日中、お天気の良い日は散歩や外遊びを楽しみ、日光を浴びて体を動かすことで、夜に質の良い睡眠を取ることができますよ。

就寝前に強い刺激を与えない

スマホ、タブレット、テレビなどから発せられる光は、「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンの分泌を抑制してしまいます。

就寝前は子供の前でなるべく電子機器を使用しないようにし、絵本を読み聞かせたり、その日にあった出来事をゆっくりお話するなど、静かに過ごす習慣を作るようにしましょう。

睡眠環境を整える

パパやママが夜更かしする日でも、子供が寝ている部屋の照明は暗くし、テレビの音や大人の話し声で睡眠を妨害しないように気をつけてくださいね。

清潔で好みに合った寝具を選び、体型に合ったパジャマを着ることも、気持ちよく眠るためには大切です。

3歳・4歳児の夜泣きは、優しく見守ってあげて

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3〜4歳の幼児期になると体力もあり、泣き声も大きいので、毎晩泣かれるとママやパパは精神的にも体力的にもまいってしまうかもしれません。

しかし、夜泣きは成長とともにだんだんと落ち着いていくものなので、大切なわが子の成長の一過程として見守ってあげましょう。

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