悪夢障害とは?子供が怖い夢でうなされる原因と対処法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

寝ているときに怖い夢を見て、子供が目を覚ましたり、うなされたりするのは珍しいことではありません。しかし、それが何度も繰り返し起きている場合、悪夢障害の可能性があるので、注意して対処する必要があります。今回は子供の悪夢障害について、原因や病院へ行く目安、治療法などをご説明します。

子供が怖い夢でうなされる!悪夢障害とは?

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悪夢障害とは、寝ているときに怖い夢を見て何度も起きたり、うなされたりする睡眠障害の一種です。だいたい6歳くらいの子供によく見られます。

夜中に叫び声をあげたり、泣いたりして目を覚ます「夜驚症」に似ていますが、夜驚症は脳が深い眠りにつくノンレム睡眠中に起こりやすく、子供本人は発作のことを覚えていないのが特徴です。一方で、悪夢障害はレム睡眠中に起こりやすく、悪夢の内容をはっきりと覚えているという特徴があります(※1,2)。

また、夜驚症は睡眠の前半に起きやすく、悪夢障害は睡眠の後半に起きやすいという違いもあります(※3)。

悪夢障害になると、頻繁に目覚めたり、寝つきが悪くなったりしてしまうため、睡眠不足に陥ることもあります。

子供の悪夢障害の原因は?

悪夢障害は、以下のような原因によって起こると考えられています。

精神的ストレス

感受性が豊かな子供は、ちょっとしたことでも恐怖を感じやすく、日中に学校や習い事で先生や親に怒られたり、テレビで恐怖番組や暴力的なシーンを見たりしただけでも、怖い夢を見てしまうことがあります。

特に、交通事故を目撃したり、生命の危機を体験したりするなど恐ろしい出来事によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)になると、悪夢障害が起きやすく、心のケアが必要になります(※3)。

ドーパミン作動性の薬やパーキンソン病に使う薬、抗うつ薬、禁煙補助薬などを使うと、悪夢を見ることが増えるとされています(※2)。こういった薬は基本的に大人が悪夢障害にかかる原因ですが、子供に抗うつ薬が処方されることもあります。

子供の悪夢障害で病院へ行くべき?

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子供が悪夢障害などの睡眠障害にかかると、睡眠の量や質が落ち、肉体的・精神的成長に悪影響が出ることがあります。

悪夢障害が疑われる症状が1ヶ月以上続く場合や、日常生活に支障をきたすほど症状がひどい場合は、できるだけ早めに児童精神科などを受診してください。

小児科のなかには、子供の睡眠障害を専門的に治療しているところもあるので、どの病院を受診すれば良いのか分からないときは、地方自治体の保健センターや子育て相談課で相談してみましょう。

子供の悪夢障害の治療法は?

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ストレスや薬など、悪夢障害を引き起こしている原因が推測できている場合は、その原因の対処を行います。

原因がはっきりしない場合は、ストレスとの付き合い方を学ぶ認知行動療法や、レム睡眠を抑える薬物療法を行います。

子供が怖い夢でうなされて目覚めたときの対処法は?

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子供が怖い夢を見て目を覚ましたときは、優しく抱きしめて、リラックスさせてあげてください。また、子供が「怖い夢を見た」と話し、その内容を鮮明に覚えて伝えようとしている場合は、適当に受け流さず、しっかりと話を聞いてあげましょう。

そして、「もう大丈夫だよ」「怖かったね。ママがそばにいるよ」などと声をかけて、子供に安心感を与えます。ママやパパが笑顔で側にいてくれるだけでも、子供は精神的に落ち着いてくるものです。

怖い夢を見るのを怖がってなかなか寝つけないときは、無理やり寝かしつけるのではなく、好きな絵本を読んだり、子守唄を歌ったりして、心地良く眠りにつけるようにしましょう。

子供の悪夢障害には落ち着いて対処を

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子供が悪夢にうなされて苦しんでいる様子を見ると、心配になるのは当然の親心。しかし、そこで親がパニックになってしまうと、子供の不安は募り、症状が悪化してしまう恐れがあります。

悪夢障害には落ち着いて対処し、子供に安心感を与えましょう。心のケアを行っても、症状が一向に良くならない場合は、医師に診てもらってください。

必要なときは医療機関の力も借りながら、子供の健康な睡眠をサポートしていきましょう。

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