子供の睡眠障害の一つに「夜驚症」というものがあります。成長するにつれて治まることが多く、それほど心配する必要はありませんが、夜驚症だと思っていた症状が実は「てんかん」だったということもあります。今回は夜驚症とてんかんの違いや見分け方などについてご紹介します。
夜驚症とは?
夜驚症とは、寝ているときに突然泣いたり叫んだりする睡眠障害の一つです。
発作は数10秒〜数分ほど続き、呼吸が速くなったり、たくさんの汗をかいたりします。発作が終わると、そのまま眠りにつき、翌朝起きたときには発作を起こしたことを本人は覚えていません。
夜驚症が起きる原因について、はっきりしたことはまだ分かっていませんが、子供の脳は睡眠をコントロールする機能が未熟で、睡眠状態からうまく覚醒できないために起こるのではないかと考えられています。
また、楽しい体験や恐怖体験、緊張する体験が夜驚症を引き起こすとも考えられています。
夜驚症は3歳頃から見られ、小学校くらいまでその割合が増加していきますが、睡眠機能が完成する思春期までに治まることが多いので、基本的には治療を必要としません(※1)。
てんかんが睡眠中に起こることはあるの?
てんかんとは、脳の神経細胞が興奮して起こる脳の疾患です。脳のどの部分が過剰に活動するかによって現れる症状が異なり、視覚障害が起きたり、意識を失ってけいれんしたりします。
てんかんは、突発的に起こるのが一般的ですが、なかには睡眠中によく発作を起こす「睡眠てんかん」というものもあります。
睡眠てんかんの発作では、全身を硬直させて痙攣することもあれば、大声を出したり、手足を振り回したりすることもあるので、夜驚症と見分けがつきにくい場合があります。
夜驚症とてんかんの違いは?見分け方は?
夜驚症と睡眠中のてんかんを見分けるには、以下のことに注意してみてください。
発作が起こるタイミングや回数
夜驚症の発作は入眠から3時間以内に起きやすく、一晩で一回だけ起きることが多いのです。一方、てんかんは眠りに入る前後か、起床する1〜2時間前後の、自律神経の変化の際に起きやすいといわれています。発作の起こる時間帯を 見分けるヒントにしてください(※1)。
日中の発作の有無
夜驚症は日中に覚醒していれば起こることはありませんが、てんかんは日中に発作を起こすこともあります。日中の起きているときに突然痙攣を起こしたり、ボーっとして意識を失ったりしたときは、てんかんが疑われます。
夜驚症とてんかんの見分けがつかないときは病院へ
専門家でないパパやママが夜驚症とてんかんを見分けるのは、難しいものです。
病院では、脳波検査をしたり、医師が発作の状況を動画で確認して診断が行われます。脳波検査とは、電極を頭皮の上に貼りつけ、脳の活動波に異常がないかを調べる検査です。
てんかんの場合、脳波検査によっててんかん特有の脳波の波形(てんかん型脳波)が比較的多く見られます。脳波に異常がなければ、夜驚症の可能性が高いと考えられます。たとえ、てんかんだと診断されても、早期に治療をはじめることで、症状をコントロールできる可能性があります。
寝ているときに子供が発作を起こしたときは、ビデオカメラや携帯電話を使って、子供の様子を撮影しておきましょう。
子供が夜中に起きて大声を出す、走り回るなどの行動が見られた場合は、動画をもって、一度小児科で相談してみてくださいね。