妊婦はひじきを食べてはだめ?ヒ素が悪影響を及ぼすの?

監修専門家 管理栄養士 渡辺 亜里夏
渡辺 亜里夏 神奈川県立保健福祉大学卒業後、予防医学に興味を持ちドラッグストアへ就職。その後独立し、現在はフリーランスの管理栄養士として特定保健指導、ダイエット指導、コラムの執筆、企業様での研修などを中心に活動。い... 監修記事一覧へ

ひじきは、栄養豊富で食物繊維も含まれているので、健康的な食べものとして人気ですよね。しかし、「妊娠中はひじきを食べてはいけない」「ひじきにはヒ素が含まれている」という話を耳にして、どうしたらいいのか迷っている妊婦さんも多いのではないでしょうか。そこで今回は、妊娠中にひじきを食べてもいいのか、1日にどれくらいのひじきなら食べてもいいのか、食べる場合の注意点についてまとめました。

妊婦はひじきを食べてはいけないの?ヒ素とは?

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結論からいうと、妊婦さんがひじきを食べても問題はありません。しかし妊娠中は、ひじきを食べる量に気をつける必要があります。

一昔前なら、医療施設や行政機関が主催する母親学級の中で、ひじきは栄養を豊富に含んでいるため、妊娠中に積極的に食べたほうがよい食材として推奨されていました。

ところが2004年に、イギリスの食品規格庁が、「ひじきには無機ヒ素が含まれているので食べないほうがいい」と勧告を出したことをきっかけに、問題視されるようになりました(※1)。

ヒ素は猛毒の一種です。大きく分けて有機ヒ素と無機ヒ素の2種類があり、ひじきには毒性の高い無機ヒ素が、高濃度で含まれています。

そのため妊娠中に、ひじきを過剰摂取して胎盤を通じてお腹の赤ちゃんにヒ素が届くと、胎児が奇形や脳障害を持って生まれてくるリスクが高まるといわれています。

妊娠中にひじきを食べるときは、食べ過ぎないように気をつけたいところですが、1日にどのくらいの量のひじきなら食べても良いのでしょうか?

妊娠中はひじきを1日どれくらい食べてもいい?ヒ素含有量は?

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乾燥ひじきには1kg当たりで総ヒ素が110mg含まれていて、このうち毒性の高い無機ヒ素は、77mg含まれています。わかめや昆布は、1kg当たりに0.3mg未満の無機ヒ素が含まれています(※1)。

これだけ聞くと、ひじきを食べることが心配になるかもしれません。

しかし、ひじきは乾燥状態のままバリボリ食べるものではなく、水に戻したり、茹でたりしてから食べるものです。水で戻した時点で無機ヒ素の濃度は1kgあたり11mgと低くなっているので、あまり心配することはないでしょう。

また、厚生労働省によると、体重50kgの成人が1日に4.7g以上の乾燥ひじきを毎日継続的に摂取した場合に、健康を害するリスクが高まるといわれています(※2)。

日本人の乾燥ひじきの摂取量は1日平均約0.9gとされているので、普段通りの食生活を送っていれば問題なさそうですね。

ひじきには、妊娠中の体に嬉しい、カルシウム、鉄分、食物繊維といった成分が豊富に含まれています。小鉢に入ったひじきの煮物を、週に1~2回食べる分にはまったく問題ないので、積極的に食べるようにしましょう。

それでも、どうしてもヒ素のことが気になってしまう場合は、医師や助産師、栄養士に相談してみてくださいね。

妊婦がひじきを食べるときの注意点は?ヒ素を減らす調理法は?

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適正摂取量を守っていれば、妊娠中にひじきを食べることに問題はないとわかったものの、ひじきを食べるときは少しでもヒ素を取り除けたら安心ですよね。

調理するときの工夫次第で、ひじきに含まれるヒ素を取り除くことができます。下記に、ひじきからヒ素を取り除くための調理法をまとめましたので、参考にしてみてください。

水で戻す

乾燥ひじきに含まれるヒ素は、水で戻すと溶け出します。ひじきを約60分間、水に浸けて戻すと、約68%のヒ素が溶け出すといわれています。ふだんより30分ほど長くく水に浸けておくだけなので、ぜひ取り入れたい方法ですね。

茹でる

ひじきを水戻ししたあとに5分ほど茹でるだけで、ヒ素の含有量を減らせます。ひじきの茹で汁には溶け出したヒ素が含まれているので、その後の調理には使わないようにしてくださいね。

他の食品と組み合わせて調理する

ひじき単独で調理すると、どうしてもひじきを食べる量が多くなってしまいます。人参や大豆、油揚げといった他の食材と組み合わせて調理すると、ひじきを食べる量を減らせます。栄養バランスもよくなるので、一石二鳥ですね。

ひじき以外にヒ素が含まれている食材って?

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ヒ素はひじきだけでなく、ほかの様々な海藻類に含まれています。下記に、主な海藻に含まれる総ヒ素濃度と無機ヒ素濃度をまとめました。

乾燥の海藻類1kgあたりに含まれる総ヒ素濃度 ※カッコ内は無機ヒ素濃度

  • ひじき:110mg(77mg)
  • わかめ:35mg(0.3mg)
  • こんぶ:50mg(0.3mg)
  • のり:24mg(0.3mg)

このように比べると、ひじきに含まれる無機ヒ素濃度が圧倒的に高いことがわかりますね。しかし、前述のとおり、適切な量のひじきを食べているぶんには問題はないので、様々な海藻をバランスよく食事に取り入れるようにしましょう。

妊娠中もひじきを美味しく食べよう

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ひじきは、昔から日本の食卓に欠かせない食材として親しまれてきました。ひじきには、妊娠中に必要な栄養素がバランスよく含まれているため、ヒ素のことはあまり気にし過ぎずに、適切な量を食べるようにしましょう。

ひじきに限らず、妊娠中は摂取量に気をつけなくてはいけない食材がたくさんあります。

基本的には、どの食材も過剰摂取せずバランスよく食べていれば問題はないので、いろいろな食材を取り入れながら、妊娠中の食生活を楽しめるといいですね。

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