妊娠すると、それまで毎日のように食べたり飲んだりしていた身近な食材の安全性について気になってしまうことがありますよね。なかでも牛乳は、3大アレルゲンのひとつであるため、赤ちゃんへの影響を気にする妊婦さんも多いのではないでしょうか。今回は牛乳について、妊娠中に飲んでもよいものなのか、アレルギーの影響があるのか、珈琲牛乳は飲んでもいいのかなどをご説明します。
妊婦は牛乳を飲んでもいいの?
牛乳は、カルシウムをはじめ、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどの栄養素をバランスよく含んでいるため、妊娠中に積極的に摂りたい食材です。
牛乳のカルシウムの含有量は、カルシウムを多く含む他の食材と比べてもトップクラスで、「普通牛乳」の場合コップ1杯(200ml)の牛乳で、約220mgのカルシウムを摂ることができます。
カルシウムが摂れる代表的な食材である魚でも、マイワシの場合約1尾分である100gのカルシウム量が約74mgなので、いかに牛乳のカルシウム量が多いかがわかりますね(※1)。
妊婦が牛乳を飲むとアレルギーの影響があるの?
牛乳は三大アレルゲンに指定されているため、妊娠中に牛乳を飲むと、お腹の中の赤ちゃんがアレルギーを引き起こすのではと心配する人もいます。
しかし、妊娠中に牛乳を飲むことで、胎児が牛乳アレルギーになったり、アレルギーの影響が出たりすることはないといわれています。ママ自身が牛乳アレルギーでなければ問題はありませんよ。
三大アレルゲンには、牛乳以外に「卵」と「小麦粉」があります。これらの食材についても牛乳と同じように、ママ自身がアレルギーを持っていなければ妊娠中でも摂取することができます。
ただし、どの食材にも言えることですが、特定の食材だけを食べ過ぎるのは健康に悪影響を及ぼすため注意してくださいね。
妊娠中に必要なカルシウム摂取量は?牛乳を飲むときの注意点は?
20〜40代の女性の1日におけるカルシウム推奨量は650mgです。妊娠中でも、妊娠高血圧症候群による胎盤低下機能などがある場合を除き、特別にカルシウムの摂取量を増やす必要はありません(※2)。
しかし、妊娠中は食べ物の好みが変わって偏食になりやすかったり、つわりで十分に食べられなかったり、カルシウムが不足しがちです。
牛乳のカルシウム吸収率は他の食材と比べて高く、1杯飲むだけでスムーズにカルシウムを吸収することができるので、妊娠中のカルシウム不足を防ぐには効果的です。
ただし、牛乳には脂質が多く含まれているため、摂取しすぎると過度な体重増加や妊娠高血圧症候群につながる恐れもあります。脂質が気になる場合は、低脂肪牛乳を飲んだり、脂質の多い食材を減らしたりして工夫しましょう。
妊婦は1日に牛乳をどれくらい飲める?妊娠初期は?
栄養が豊富な牛乳は、妊娠中の食生活に積極的に取り入れていきたいものですが、前述の通り、飲みすぎると過度な体重増加など母体への負担が大きくなる可能性もあります。妊娠中に牛乳を飲むときは1日にコップ1〜2杯(200〜400ml)程度にしましょう。
厚生労働省は、カルシウムの1日あたりの上限摂取量を2,500mgと定めています(※2)。
また、カルシウムを過剰摂取すると、吐き気や便秘、体のかゆみなどの症状が現れる「カルシウム血症」になる可能性もあります(※4)。他のカルシウムを含む食べ物とのバランスに気をつけながら、1日のカルシウム上限摂取量を超えないように気をつけてください。
また、妊娠初期は流産のリスクが高いため、食べ物や飲み物の影響が気にする妊婦さんも多くいますが、妊娠初期の流産はほとんどが染色体異常など胎児側の問題です。妊娠初期に牛乳を飲んでも問題はありません。
妊娠中は珈琲牛乳を飲んでもいいの?
妊娠中に牛乳を飲んでも問題ないことはわかりましたが、カフェインが入っている珈琲牛乳は飲んでもいいのでしょうか。
そもそもカフェインとは、コーヒーや緑茶などに含まれる成分で、中枢神経系を刺激し、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症などを引き起こす作用があります(※3)。
特に、妊娠中にカフェインを摂取すると分解に時間がかかり、過剰に摂取し続けた場合は胎盤を通じて胎児に移行する可能性があるため、カフェインを控える必要があります。
ただし、1日1〜2杯程度のコーヒーであればカフェインの影響は心配ないといわれています。珈琲牛乳はコーヒーよりもカフェイン量が少ないため、妊娠中は1~2杯程度であれば、気にせず飲めそうですね。糖分を含んだ珈琲牛乳は、飲み過ぎないように注意してくださいね。
妊娠中は牛乳を飲んで栄養を補おう
牛乳には、妊婦が不足しがちなカルシウムやその他の栄養が含まれているため、妊娠中も1日1~2杯を目安にバランス良く取り入れるようにしましょう。
ただし、飲み過ぎはカロリーオーバーやカルシウム血症を引き起こす可能性があるので、摂取量には注意してくださいね(※4)。
妊娠中に寝つきが悪くなったり冷えやすくなったりしたときには、寝る前にホットミルクを飲むのもおすすめですよ。