新生児が咳をすると、赤ちゃんのお世話を始めたばかりのママやパパは「風邪を引いたのかも」と心配になってしまいますよね。しかし、病院に行くような状態なのか見分けがつかないことも多いのではないでしょうか。そこで今回は新生児の咳について、原因や風邪との見分け方、受診する目安についてご説明します。
新生児が咳をする原因は?
新生児も、風邪を引いたわけでもないのに咳をすることはあります。
たとえば、新生児は体の機能が未熟で、寒暖差や室内が乾燥しているだけでも喉の刺激となり、咳込んでしまうことがあります。
まだおっぱいやミルクを飲むのが下手なので、間違って気管に入ってしまい、咳込んでしまうことも珍しくありません。
おっぱいやミルクをしっかり飲め、睡眠に影響が出ていないければ、新生児が咳をしても、多くは経過を観察するだけで問題ありません。
新生児が一時的に咳をしたときの対処法は?
特に乾燥しやすい冬場に新生児が咳をしていたら、室内の湿度を50~60%まで上げてあげましょう。
新生児がおっぱいやミルクを飲んでいるときに咳をしたら、縦抱きにして背中をさすってあげます。
その後、新生児の様子に変わりがなければ特に心配する必要はありません。おっぱいやミルクは休み休み飲ませたり、少量ずつ飲ませたりすると良いですね。
ただし、新生児の咳がすべて問題ないというわけではありません。ウイルスや細菌感染症、誤飲などで新生児が咳をしている可能性もあるので、注意して様子を見ましょう。
新生児が咳をして鼻水が出るときは風邪?見分け方は?
新生児期の赤ちゃんは「ママの免疫が残っているので風邪を引かない」といわれていますが、新生児期に風邪を引くこともあります。
新生児期は外へ出る機会はほとんどありませんが、「RSウイルス」などによる「急性細気管支炎」になる可能性もゼロではありません。
新生児の咳の状態に加え、鼻水や熱、痰が出ているかどうかなどで病気を予測できる場合があります。以下を参考に、赤ちゃんの状態を把握してあげましょう。
一時的にコンコンという乾いた咳をする場合
新生児に熱などの症状がなく、乾いた咳を一時的にしているだけなら、空気の乾燥やホコリを吸い込んでしまったことが原因と考えられます。
呼吸困難を起こしていないか、経過を観察しましょう。
前述のとおり、加湿器を利用して室内の湿度を50~60%くらいに調整してあげると良いですね。
長期的にコンコンという乾いた咳をする場合
咳だけの状態が長引いているときは、新生児がウイルスや細菌に感染し、気道が炎症を起こしている可能性があります。
発熱や鼻水などの症状を併発していないかどうか、その後の経過に気をつけましょう。
発熱や鼻水を伴う場合は、新生児がRSウイルス感染症にかかっている可能性があります。
RSウイルス感染症は、月齢が低いほど肺炎や細気管支炎などを併発し、重症化しやすいので注意が必要です。
咳だけでなく、新生児の呼吸の回数が多い、おっぱいやミルクを飲まない、顔色が悪い、38度以上の発熱があるなどの症状があれば、すぐに病院を受診しましょう。
ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音を伴う咳の場合
新生児が咳とともに、ゼーゼー、ヒューヒューという音がする呼吸をしている場合は、「乳児ぜんそく」や「細気管支炎」にかかっている可能性があります。
新生児が咳をしたり止んだりを繰り返している場合もウイルス感染による気管支炎などの可能性があります。
また、熱や鼻水など風邪症状から悪化した場合は、RSウイルスなどによる「細気管支炎」かもしれません。
どちらにせよ、早めに小児科を受診してください。
ゴホゴホという湿った咳の場合
風邪の影響で鼻づまりを起こしたり、鼻水や痰がからんだりして、咳をしている可能性が考えられます。
新生児が咳き込む様子がひどい場合は、B群連鎖球菌(GBS)や大腸菌などによる「肺炎」を引き起こしている可能性もあります。
鼻水や痰が喉に絡んで新生児が咳き込んでいると、うまく寝つけなくなったり、おっぱいやミルクがうまく飲めなくなったりすることもあります。そのような場合は、早めに病院を受診しましょう。
新生児の咳がひどいときは病院へ行くべき?
新生児が咳をしている場合は、咳をした後の状態をよく見ることが大切です。
新生児の顔色や機嫌が良く、おっぱいやミルクをしっかり飲めている場合は、急を要する状態ではないと考えられます。安静にして、しばらく様子を見ましょう。
新生児が咳き込むせいで寝苦しい状態が続いていたり、咳が3日以上続いたりする場合は、小児科を受診することをおすすめします。
また、以下のような状態で判断に迷う場合は小児救急(♯8000)に電話をかければ相談することができます(※1)。必要であれば診察時間外でも診てもらいましょう。
赤ちゃんの咳で急を要する状態
- ● 喉がゼイゼイして苦しく、呼吸困難な状態
- ● 激しく咳き込み、おっぱいやミルクを十分に飲めない
- ● みぞおちや胸がへこむほど息苦しくしている
- ● 咳をしすぎて吐いてしまい、ぐったりして元気がない
- ● 咳とともに発熱していて顔色が悪い
新生児が咳をするときは他の症状を把握しよう
新生児が咳をしていると、ママやパパは心配してしまいますよね。
まだ育児に慣れないなかで不安もありますが、まずは焦らずに、新生児に咳以外の症状がないか、しっかり把握することが大切です。
そのためには、普段のご機嫌なときの状態をよく見ておきましょう。新生児の異変に気づくことができるのは、ママやパパだからこそです。
新生児が咳をしたりして「いつもと違うかな?」と感じたときは、その様子や他に変わったところがないかを慎重に見てあげてくださいね。
近くの小児科や総合病院の電話番号や診察日、診察時間をあらかじめ調べておくと、いざというときに心強いですよ。