赤ちゃんがかかりやすい病気の一つに「細気管支炎」があります。大人が発症することはあまりないので、認知度は高くないかもしれませんが、赤ちゃんがかかると、呼吸困難になることもある危険な病気です。今回は細気管支炎の原因や症状、治療法、予防法などをご紹介します。
細気管支炎とは?赤ちゃんはかかりやすい?
細気管支炎とは、細気管支がRSウイルスなどに感染して、炎症を起こす病気のことです。
喉と肺をつなぐ気管支が細かく枝分かれしている部分を、細気管支といいます。細気管支は細く、酸素や二酸化炭素を交換する肺胞とつながっている部分なので、炎症を起こして腫れると、呼吸がしづらくなります。
赤ちゃんの頃は、細気管支がまだ成長していないので、RSウイルスが侵入しやすくなっており、細気管支炎になりがちです。特に生後10ヶ月までの赤ちゃんが発症することが多いのですが、月齢が低いほど重症化しやすいので、注意が必要です(※1)。
細気管支炎の原因は?
細気管支炎の原因は、ウイルス感染です。外から吸い込んだウイルスが気管支を通って、細気管支にまで到達することで発症します。風邪をこじらせて、ウイルスが深く侵入して起こることもあります。
細気管支炎を引き起こすウイルスの種類は様々ですが、冬に流行する傾向にあるRSウイルスが原因の多くを占めます。その他では、アデノウイルスやパラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスなども、細気管支炎の原因になります。
細気管支炎の症状は?
細気管支炎になると、軽い鼻水や咳、鼻づまりなど風邪のような症状が現れます。発熱することもあります。
発症してしばらくすると、呼吸が浅く速くなり、呼吸のたびに「ゼロゼロ」「ヒューヒュー」と喉や胸が鳴るようになります。症状がひどいと、呼吸のときに胸がペコペコと上下したり、呼吸困難で唇や手足の先が青紫色になるチアノーゼを起こしたりします。
咳がひどいと水分補給がしづらくなり、脱水症状を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
細気管支炎の診断方法は?
細気管支炎が疑われるときは、胸部の聴診とX線検査で診断を行います。RSウイルスかどうか原因を調べるために、鼻汁を採取して検査することもあります。
細気管支炎の治療法は?
細気管支炎はウイルスによって引き起こされるので、抗生物質は効かず、特効薬がありません。
呼吸が苦しそうであれば、痰をとかす薬や気管支拡張薬を処方するなど、基本的に対症療法を行います。呼吸困難や脱水症状が見られるときは、入院して酸素投与や気管支拡張薬の吸入、点滴が行われます。
入院の必要がなく、自宅で様子を見ることになった場合は、水分補給をしっかり行いながら、安静にさせましょう。咳で呼吸が苦しそうなときは縦抱きしたり、背中を優しく叩いたりしてあげると、呼吸が楽になることがあります(※1)。
細気管支炎は症状が軽ければ、ほとんどの場合、1週間程度で治まります。
細気管支炎の予防法は?
赤ちゃんを苦しめる恐れがある細気管支炎は、予防することが肝心です。自分で身を守ることができない赤ちゃんのために、大人がしっかりと対策をして、ウイルスに感染させないようにしましょう。
家族全員が手洗いやうがいを徹底し、家の中にウイルスを持ち帰らないように努めましょう。また、赤ちゃんを人混みが多いところに連れて行かないようにすることや、風邪を引いた家族との接触を控えることも、赤ちゃんをウイルス感染から守ることにつながります。
細気管支炎の疑いがあるときはすぐに病院へ
月齢が低い赤ちゃんが細気管支炎にかかると、重症化することがあるため、早期治療を心がけましょう。
呼吸をするたびに「ゼロゼロ」「ヒューヒュー」と音がするなど、赤ちゃんの呼吸に少しでもおかしな点が見られる場合は、早めに小児科を受診しましょう。咳がひどい場合は、クループ症候群や喘息性気管支炎など、他の病気にかかっている恐れもあり、自己判断は難しいものです。
赤ちゃんは自分で症状を訴えられないので、日頃から赤ちゃんの様子をしっかり観察し、体の異変にすぐに気づけるようにしておきたいですね。