「排卵日に性交渉をすると、妊娠しやすい」ということは、よく知られています。しかし、「あの日は排卵日ではなかったのに、妊娠するなんて…」という話をしている人もいるように、排卵日と妊娠の関係については、はっきりとわからない部分もあるかもしれません。そこで今回は、排卵日以外で妊娠する可能性や、確率が高い時期について、ご説明します。
排卵日と妊娠の関係は?
排卵とは、女性の卵巣にある卵胞から卵子が排出されることをいいます。1ヶ月に1度、基本的には1個の卵子が成熟して卵巣から飛び出す日が「排卵日」です。
排卵された卵子が、卵管を通って子宮を目指す過程で精子と結合するのが、「受精」です。無事に卵子と精子が受精すると、受精卵になります。受精卵が分裂を繰り返しながら子宮内膜に着床すると、はじめて妊娠が成立します。
排卵日以外でも、妊娠する可能性はあるの?
排卵日に性交渉をすれば、卵子と精子が出会う確率は高く、妊娠しやすいといえます。妊活では、基礎体温を計って排卵日を推測して、排卵日のタイミングで性交渉を行う人も多くいます。
ただし、妊娠できるのは「排卵日だけ」とは限りません。卵子の寿命は排卵されてから約24時間あるといわれているからです。排卵されるタイミングによっては翌日でも妊娠できるチャンスがあります。
一方で、膣に入ったあとの精子の寿命は、卵子より長い48~72時間程度です。そのため、排卵日当日ではなく、その数日前に性交渉があった場合でも、排卵日まで精子が生き続けることで妊娠する可能性があるのです。
排卵日以外だと、いつが妊娠しやすいの?
結論からいうと、妊娠する確率が最も高いのは排卵日の1~2日前です。排卵日当日はすでに少し妊娠率が下がっており、排卵日の3日くらい前からできるだけ多く性交渉を持つことで、妊娠の可能性は高まります(※1)。
卵子の寿命は約24時間ありますが、実際に受精する能力が高いのは、そのうちの約6~8時間程度。精子の寿命が48~72時間だと考えると、排卵が起こる前に性交渉を行って、排卵によって飛び出てくる卵子を精子が待ち受けている、という状態にしておいたほうが、妊娠しやすくなるのです。
逆に、排卵日の6日以上前や、排卵日から2日以上経過してからの性交渉であれば、妊娠する確率はほとんどありません。受精する前に、精子と卵子の寿命が尽きてしまうためです。
ただし、「排卵した瞬間」を正確に認識することは難しく、実際の排卵日が予測していた日とずれて妊娠した、ということもありえます。「排卵予定日の前後1週間は、妊娠する可能性がある」と考えておきましょう。
排卵日以外の妊娠を防ぐには?
「排卵時期を避けて性交渉を行えば、妊娠しない」というのは、体のメカニズム上は正しいといえます。排卵が起こるのは、次回生理開始予定日のだいたい14日前(2週間前)。生理周期が安定している人であれば、排卵時期をある程度予測することができるので、妊娠を防ぎやすいといえます。
一方、生理不順の人は排卵のタイミングをつかむのが困難ですが、毎朝基礎体温を測ることで排卵日を予測することができます。2~3ヶ月くらい基礎体温の記録を続けてみて、「低温期」から「高温期」に移行する時期に排卵がある、と考えましょう。
ただし、基礎体温は体調の良し悪しやストレスの有無などによって、変動しやすいものなので、基礎体温だけで排卵時期を見極められるとも限りません。望まない妊娠を防ぐためにも、排卵日以外でもコンドームなどで避妊しましょう。
排卵日以外でも妊娠する可能性はあると考えて
妊娠率が高くなるタイミングを知ることは、妊活中の人にとっても、まだ妊娠を望んでいない人にとっても大切なことです。「頑張っているのに妊娠できない」「望まない妊娠をしてしまった」ということにならないよう、排卵と妊娠の関係について理解しておきたいですね。
排卵のタイミングを正確に把握するのは簡単なことではありませんが、毎日基礎体温を計ることで、自分の体のリズムを知るところから始めましょう。