ヘルシーな飲み物として人気が高い豆乳。健康や美容にも嬉しい効果があるため、妊娠前から習慣的に豆乳を飲んでいる人も多いですよね。でも妊娠中は、なにかと食べ物や飲み物に気をつかうため、豆乳を飲んでもいいのか悩んでしまうことも。今回は、妊娠中に豆乳を飲んでもいいのか、大豆イソフラボンやアレルギーの影響はあるのか、1日にどれくらい飲んでもいいのかをまとめました。
妊婦は豆乳を飲んでもいいの?効果は?
豆乳は、たんぱく質、マグネシウム、ビタミンB1・B2、ビタミンEなどの栄養素を含み、牛乳に比べて低カロリーなので、ぜひ妊娠中にも飲みたい飲み物です。
悪玉コレステロールを減少させ血流を促進するレシチンや、脂肪吸収を抑制し、抗酸化作用もあるサポニンなど、体に良い成分もたくさん含んでいます。
また豆乳には、大豆イソフラボンが豊富に含まれています。大豆イソフラボンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンと似た働きをし、骨粗しょう症や更年期障害の予防に効果的だといわれています。
妊娠中は大豆イソフラボンの過剰摂取に注意しよう
妊娠中の食生活にぜひ取り入れたい豆乳ですが、豆乳に含まれる大豆イソフラボンの過剰摂取には気をつけなくてはいけません。
妊娠中は、胎児の成長や母体をサポートするために、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つのホルモンが重要な役割を果たしています。
しかし大豆イソフラボンを過剰に摂取し続けると、大豆イソフラボン=エストロゲン量だけが一方的に増加してしまいます。その結果、ホルモンバランスが乱れ、胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるといわれています。
また、大豆イソフラボンとは、天然に存在する有機化合物群であるフラボノイドの一種ですが、そのフラボノイドが、胎児のDNA構造を適正に保つトポイソメラーゼⅡを阻害する作用を持つことから、遺伝子の異常を生じさせる可能性も報告されています(※1)。
このような理由から、妊娠中は大豆イソフラボンの摂取量に注意する必要があります。
大豆イソフラボンを過剰摂取すると、乳がんの発症や再発のリスクを高める可能性があることも指摘されているため、妊娠をしている、していないに関わらず、大豆イソフラボンの摂り過ぎには気をつけましょう。
妊娠中の大豆イソフラボンの適正摂取量は?
前述の通り、妊娠中は大豆イソフラボンの過剰摂取に気をつけなくてはなりませんが、妊婦は1日に大豆イソフラボンをどのくらいまで摂っていいのでしょうか。
厚生労働省の食品安全委員会は、大豆イソフラボンの1日摂取目安量の上限値を70~75mg、特定保健用食品(サプリメントなど)としての1日上乗せ摂取量の上限値を30mg(大豆イソフラボンアグリコン換算値)としています(※1)。
妊娠中も大豆イソフラボンの1日摂取目安量の上限値は変わりませんが、サプリメントなどから追加で摂取することは推奨されていません。
妊婦は1日に豆乳をどのくらい飲める?
それでは、妊娠中は1日にどのくらい豆乳を飲んでもいいのでしょうか。
豆乳はコップ約2杯分(400g)で、大豆イソフラボンの1日の上限摂取量に達します。日本食には大豆製品が多く、豆腐、納豆、味噌などにも大豆イソフラボンが含まれるため、それらを食べて、さらに豆乳をコップ2杯飲んでしまうと、簡単に1日の上限摂取量を超えてしまいます。
妊娠中に豆乳を飲むときは、1日に何杯、何パックと決めるのではなく、他の大豆製品をどれくらい摂取するかを考えながら飲むようにしましょう。下記に主な大豆製品に含まれる大豆イソフラボンの量をまとめたので、参考にしてみてくださいね。
食品別の大豆イソフラボン含有量(※2)
- 調整豆乳(1本200g): 約41mg
- 木綿豆腐(1/2丁150g):約42mg
- 絹ごし豆腐(1/2丁150g):約38mg
- 納豆(1パック45g):約36mg
- 味噌(1杯20g):約6mg
- しょうゆ(1かけ5.85g):約0.08mg
- きな粉(大さじ2):約19mg
また、調整豆乳は砂糖や食用油といったもので味が調整されているため、糖質や脂質の摂りすぎにならないよう注意が必要です。できれば、無調整の豆乳を選べるといいですね。
妊婦が豆乳を飲むと赤ちゃんにアレルギーが出やすいの?
大豆はアレルギー品目に指定されているので、妊娠中に豆乳を飲むと、生まれてきた赤ちゃんに大豆アレルギーが出るのではと心配する人もいます。
しかし、妊娠中に豆乳を飲んだからといって、赤ちゃんが大豆アレルギーになるという根拠はないといわれています。ママ自身が大豆アレルギーでなければ、妊娠中に豆乳を飲んでも問題はありません。
その他のアレルギー指定品目についても、豆乳と同じように、ママ自身がアレルギーを持っていなければ妊娠中に食べたり飲んだりしても大丈夫ですよ。
妊娠中は適度に豆乳を飲もう
豆乳は栄養バランスの良い飲み物ですが、妊娠中に飲み過ぎてしまうと大豆イソフラボンの過剰摂取になり、胎児に悪影響を与えてしまう恐れがあります。
他の大豆製品とのバランスをとりながら、適切な量を飲むことで、健康的なマタニティライフを送りましょう。
豆乳に限らず、妊娠中は摂取量に気をつけなくてはならない食品がたくさんあります。食生活に不安があるときは、医師や助産師に相談したり、管理栄養士による栄養指導を受けたりするのもおすすめですよ。