夫婦喧嘩が子供に与える影響は?どうフォローしたらいい?注意点は?

監修専門家 臨床心理士 佐藤 文昭
佐藤 文昭 おやこ心理相談室 室長。カリフォルニア臨床心理大学院臨床心理学研究科 臨床心理学専攻修士課程修了。米国臨床心理学修士(M.A in Clinical Psychology)。精神科病院・心療内科クリニ... 監修記事一覧へ

毎日一緒に生活をしていれば、夫婦喧嘩のひとつやふたつ、あってもおかしくありません。しかし、どんなに些細な喧嘩でも、大好きな両親が喧嘩をする姿を見ることは、子供にとってストレスになることも。そこで今回は、夫婦喧嘩をしたときの子供への影響やフォロー方法、注意点をご紹介します。

夫婦喧嘩が子供に与える影響は?ストレスが溜まる?

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子供が夫婦喧嘩を見ると、その背景までは理解することができず、「大好きなパパとママが喧嘩をしている」という事実しか目に映りません。子供なりに様々なことを想像し、恐怖や不安を心に溜めてしまうことがあります。

そんな状態を見せ続けると、子供には下記のような影響を与えてしまうことがあります。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

張りつめた空気、強張った表情、萎縮してしまうほどの大きさの声…特に激しい夫婦喧嘩は、子供にとって恐怖です。

その恐怖を発散できないままでいると、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」になることもあります。PTSDとは、精神的ストレスが心にダメージを与え、時間が経ってからもその経験に対して強い恐怖を感じてしまうものです。

喧嘩を見た直後だけでなく、将来的にも、心に恐怖心を植え付けてしまう可能性があります。

睡眠障害

夫婦喧嘩を見た恐怖心や不安感から、十分に眠れなくなることもあるかもしれません。

子供は、年齢にあった質の良い睡眠をとることで、成長ホルモンが分泌されます。毎日眠れない、または眠りが浅いという状況では、成長ホルモンの分泌がうまくできません。

成長ホルモンの分泌がうまくいかないと、身長が伸びなかったり、体重が増えすぎたりと、不健康な状態に繋がることもあります。

恋愛や結婚への興味がなくなる

両親がお互いを罵るような言葉を吐くなど、いがみ合っている姿を見続けていると、成長してから恋愛や結婚に興味が持てなくなってしまうこともあります。

「結婚したって両親のようになるならしたくない」「仲が良いのは初めだけなのかもしれない」と、結婚を諦めたり、結婚に対して否定的になったりすることも考えられます。

自己肯定感が低くなる

喧嘩の理由や背景がわからない子供は、「自分のせいで喧嘩している」「喧嘩の原因になる自分なんていない方がいい」と感じてしまうことがあります。

その結果、喧嘩の原因である自分自身を否定的に感じ、自己肯定感を抱けなくなってしまうこともあります。

乱暴になる

毎日夫婦喧嘩を見ていると、暴力や暴言を当たり前のように感じてしまうことがあります。

暴力や暴言が当たり前だと、友達同士で嫌なことがあったときにも悪気なく手を出してしまったり、ひどい言葉を言ってしまったりしかねません。周りの大人が注意しても、「良くないことをした」という意識が芽生えにくいこともあります。

夫婦喧嘩を子供が見たらどうフォローする?

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子供の前で夫婦喧嘩をしてしまったら、「子供だからわからない」と放っておかず、しっかりフォローしてあげることが大切です。怖い思いをしたままでは、いつまでも子供の心のなかに不安が残ってしまいます。

子供は、大人が思っている以上に、良くない雰囲気を敏感に感じ取るもの。「また喧嘩をしてしまうかも」「ママやパパに嫌われたくない」と、両親の機嫌を伺うようになってしまうので、丁寧に説明をしてあげてください。

大人の話が理解できる年齢の子供であれば、「●●ちゃんのことが原因じゃないよ」としっかり伝えましょう。子供が不安にならない範囲で、喧嘩の理由を正直に伝えるのも1つの方法です。

些細な口喧嘩程度であれば、「喧嘩はするけど、ママとパパは仲良しだから大丈夫」と、夫婦が揃っているときに伝えてあげたり、「仲直りしたらか大丈夫だよ」と、今の状況をきちんと教えてあげたりするのも良いですね。

言葉がまだあまり理解できない年齢の子供には、わかる言葉で伝えてあげてください。ママとパパがそれぞれ子供を抱きしめてあげるなど、子供のことを大切に思う気持ちを、スキンシップで伝えるのも安心につながります。

夫婦喧嘩を子供の前でしないための注意点

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夫婦喧嘩はしない方が良いですが、もともと他人だった男女が家族を築いていくなかで、相互の意見の食い違いがあるのは当然です。そうとは言え、暴言や暴力が出るような喧嘩は良いことではありません。

また、直接的な言葉や暴力がなかったとしても、ものを投げることや、大きな音をたてて扉を閉めるといった、恐怖心をあおる行動にも気をつけましょう。

喧嘩をしそうになっても、子供が見ている前では一旦気持ちを鎮めようと、ママやパパがお互いに意識することも重要です。子供の顔を見て、「いま喧嘩するのはやめよう」「後で話そう」など、どちらかが声をかけて、クールダウンできるといいですね。

気持ちが抑えられなければ、一旦どちらかが部屋を離れるというのも良いでしょう。

お互いが喧嘩をしていないときに、「もし子供の前で喧嘩をしそうになったら」という話し合いをしておくのもおすすめですよ。

夫婦喧嘩をする前に子供の気持ちを察して

夫婦喧嘩は、衝動的なことがほとんどではないでしょうか。お互いの怒りや不満をぶつける前に、まずは子供の気持ちを最優先に考えてあげることが、ママやパパとなった2人にはとても大切なことです。

夫婦喧嘩を控える気持ちを持ちつつ、万が一子供の前で喧嘩してしまったときは、不安にさせないよう対応してあげてくださいね。

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