基礎体温を記録しはじめると、今までわからなかった自分の体の状態が見えてきます。基礎体温が低いと、「妊娠に影響はないの?」「何か体に異変が起きているの?」と気になる人もいるでしょう。そこで今回は、基礎体温が低い原因と体への影響、高温期の体温を上げるためにできることなどをご紹介します。
基礎体温が低いってどういう状態?
基礎体温とは、人間が生きるために必要最低限のエネルギーを使っているときの体温を指し、寝起き直後で体が一番安静な状態にあるときに計測します。
女性はこの基礎体温が生理周期にあわせて変化し、生理開始から排卵までの時期が「低温期」、排卵後から次の生理開始までの時期が「高温期」に当たります。
「基礎体温が低い」とは、低温期と高温期の体温が全体的に低いことをいいますが、基礎体温は人それぞれ違い、高い人もいれば、低めの人もいます。そのため、「何度以下だと基礎体温が低い」という明確な定義はありません。
しかし、一般的に日本人の平熱は36~37度くらいです(※1)。これを下回ったら、基礎体温が低めであると考えられるでしょう。
基礎体温が低い原因は?
基礎体温が低い原因はいくつかありますが、多くみられるのがホルモンバランスの乱れです。
女性の基礎体温を作り出している女性ホルモンは、生活習慣やストレスなどの影響を受けやすく、疲労の蓄積や寝不足、食生活の乱れ、過度なストレスが引き金になって、バランスが崩れることがあります(※2)。その結果、基礎体温も乱れて低くなってしまうのです。
また、無理なダイエットで痩せ過ぎたり、いつも薄着をしていたり、体を冷やす食べ物ばかりを食べたりしていると血行が悪くなって、体温が低くなることも考えられます。3~4周期経っても基礎体温が低いときは一度婦人科を受診することをおすすめします。
基礎体温が高温期だけ低いと、無排卵の可能性もある?
基礎体温が低い場合、きちんと低温期と高温期の二相に分かれているかをチェックしてください。
低温期と高温期の差が0.3度以下、あるいは高温期がなくずっと低温期が続いていて、高温期のはずなのに基礎体温が低い場合は、黄体機能不全や無排卵月経の可能性があります(※3)。
この状態が続いてしまうと、不妊の原因にもなり得ます。早めに婦人科を受診し、治療を行うことが大切ですよ。
基礎体温が低いと、体にどんな影響があるの?
基礎体温が低くても、目に見える症状はほとんどありません。
しかし、基礎体温が低い原因が血行不良の場合は、妊娠に必要なホルモンが体のすみずみまで十分に行き渡らなくなるため、排卵障害や子宮内膜が厚くならないなど、妊娠への悪影響が出る場合も考えられます(※4)。
「自分は妊娠しにくい体質なんだ」と思っていても、もしかしたら不妊の原因は、基礎体温が低いことかもしれません。
基礎体温が低い・高温期がない状態でも、妊娠できる?
これから妊娠を望んでいる人の場合、基礎体温が低いと妊娠に悪影響はないのかと心配になりますよね。基礎体温が低い場合でも、きちんと排卵が起きていれば妊娠することはできます。
しかし、先述の通り、子宮などの生殖器官の血行が悪いと、排卵がうまくいかなかったり、子宮内膜が厚くならず、受精しても着床できなかったりして、妊娠しづらくなる可能性があります(※4)。
また、高温期が低くて低温期しかない場合は、排卵が起きていない可能性もあります。この状態が続くと自然妊娠するのが難しくなってしまうので、できるだけ早く婦人科を受診して検査をしてもらうと安心です。
基礎体温が低いとき、上げる方法はある?
基礎体温が低いときは、まず生活習慣を見直しましょう。規則正しい生活で、十分な睡眠と栄養バランスの取れた食事をすることで、ホルモンバランスが整い、基礎体温にも良い影響を与えてくれます。
過度なストレスを避け、こまめに解消することも、ホルモンバランスを整えるポイントです。
そして、日頃から適度な運動をすることで、体温を上げる効果が期待できます。運動は全身の血の巡りを良くしてくれて、体の芯から温めることができます。激しい運動をする必要はなく、ストレッチやジョギング、ウォーキングなど手軽な運動をするだけでも体は温まります。
運動をする時間がない人は、普段から階段で移動する、歩くスピードを上げるなどの工夫をして体を動かすのもおすすめです。
基礎体温が低いままなら専門家に相談しましょう
これまで紹介してきた通り、基礎体温が低いときは、生活習慣や食生活の改善、ストレスをコントロールすることで体温が上がることもあります。
しかし、それらを行ってもどうしても改善できない場合もあるでしょう。そんなときは、婦人科で相談するのも一つの方法です。受診する際に基礎体温グラフを持参すると、診断もスムーズですよ。